'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
府中牝馬Sはライラックとの再コンビ!
2023/10/13(金)
東京開催2週目は土日で18鞍の騎乗。中でも府中牝馬S(G2)ではライラックと再コンビを組むことになった。他の騎乗馬も背中を知った馬が多い印象。先週はアクシデント等々があって力を発揮できなかった馬もいたようだが、その分も挽回すべく固め打ちを期待したい週末だ。
成長感じるライラック
——今週は東京での騎乗ですね!早速、土曜の騎乗馬から伺っていきたいですが、未勝利戦のキャネルは中山の際に「東京の方がいい」とおっしゃっていましたね。
ただ、中山でも頑張ってくれていましたね。競馬が上手な馬で対応力が上がってきていたのだと思います。
——白秋Sのヴェルトハイムはどうでしょうか。
こちらはこの距離で安定していますね。ただ、定量戦でここ2走より斤量が上がる点は課題になりそうです。馬格自体はある馬ですが。
——府中牝馬S(G2)のライラックは紫苑S以来の騎乗ですね。
追い切りに乗せていただいたところ成長を感じましたし、走り自体はいい感触でした。東京コースよりも他のコースの方が合いそうなタイプなのが本音ではありますが、上手くカバーしたいですね。
——どうしても位置取りが後ろになる印象がありますね。
正直、ゲートは速くないですし、その後の二の脚もつかないタイプかなと思います。その分、そんな競馬になる印象はありますね。
——ロードミッドナイトはどうでしょうか。
これまでは1200m以下のコースで頑張ってくれていましたが、もう一つ詰め切れない面を補えればいいですね。
——アメリカンチケットは以前、追い切りに乗られたようですね。
2週前でしたが、雰囲気のある馬でした。まだ2週前ということもあって、フワついている面もありました。そこから追い切りを重ねているので上がってきてくれるといいですね。
——サトノトルネードの前走は惜しかったです。
広いコースの方がいいと思いますし、東京で勝ち鞍がありますからね。これは楽しみですね。
——メイショウコバトの前走は相手が悪かったですが、昇級でも対応しています。
安定した競馬をしてくれますね。ベストコースは東京ではないかもしれませんが、引き続き好勝負してくれるのではないでしょうか。
——オクトーバーSはマイネルクリソーラに騎乗されます。
昇級にはなりますが、安定していますよね。東京にも経験がありますし、楽しみです。
ソングラインは無念の敗戦も今後が楽しみな存在も
——先週の毎日王冠(G2)はソングラインと挑まれました。
このレースに関してはスムーズに運べず、申し訳ないレースでした……。
——それにしても、脚が余っていない馬が前に出てこられたのは痛かったですね。
いや、それでも馬にも、ファンや厩舎にも申し訳なかったです。正直、脚色だけ見れば、スムーズに出せていても、このスローの流れで言えば切れ負けした可能性も否めませんが、それでもあの着差ですからね。ただ、春にも乗せていただいて、一度使った方が反応の良さが良くなる印象は感じていたので、次に向けてはさらに上向いてくると思います。
——ミシェットは惜しい結果でした。
返し馬からいい感触でしたし、実戦の内容も良かったです。早い段階で勝ち上がれそうです。
——ダノンロッキーは厳しい内容になりましたね。
う~ん、追い切りよりは芝での走りはいい感触でしたが、攻め馬からもう少し変わってきてほしいですね。
——エピックジョイは休み明けの分もあったように思いますが、勝ったような着差でしたね。
いや~勝ったかと思いましたけどね。ハミに乗っかかるところはありますが、競馬は上手ですし、いい走りをしてくれました。
——サウジアラビアRC(G3)のエコロマーズは5着でした。
先生からは前々でということでしたが、周りの方が速かったですね。馬のタイプ的にも距離を延ばして前々という競馬が合っているように感じました。
——シャンパンマークは全体時計こそ速くはありませんが、速い上がりで押し切った点は楽しみじゃないでしょうか。
そうですね。追い切りでいい走りはしていましたが、その良さを出してくれました。新馬ながら注文がつかない内容でしたし、ドッシリしていて頼もしいです。楽しみですね。
——時計自体は詰められそうですか。
はい、まだまだ伸びしろはあると思いますよ!
——シャドウフューリーはどうでしたか。
スタートが影響しましたね。内枠だったのでポジションをとって外目を伸び伸び走らせる形を想定していました。返し馬では落ち着いていたので、これは大丈夫かなと思ったのですが、ゲートに入ると気持ちがたかぶりますね。他のジョッキーが乗っている時も傍から観ていてそんな印象もありました。
——オメガウインクは勝ち切りました。
新馬とは違った形でしたが、最後はしっかり伸びてくれました。ただ、距離は少し忙しさもありましたね。
——キングズロアは案外な結果に感じました。
もっと走れると思いました。敗因はわかりませんが、レース中では見せなかったものの、怖がりなところがあるそうで、周りに気を遣って走り切れていないとしか……。直線も反応が無かったですからね。結果、ハナに行って良かったのかもしれません。
——エンブレムボムはどうでしたか。
ここのところ動けているようになってきた、とは陣営から聞いていました。スタートには気を付けましたが、いい形でしたし、スムーズに行けました。
——レッドシュヴェルトもスタートに尽きますか。
そうですね。ただ、本当は外に出したかったところ、他のジョッキーが声を挙げていて、ゴチャついていたようで行かなかったんですよね。普通に捌けていれば、という結果でしたし、右往左往したことで、後ろにいた丹内(祐次)には迷惑を掛けて申し訳なかったです。
普通のゲートだったら、あの位置にはいないでしょうし、勝ち切っている馬だと思います。能力はこのクラスを突破できる馬だと思います。
——レッドベルアームは1番人気に推されていましたね。
4コーナーでは突き抜けるほどの手応えでした。そこからが反応が全くなかったですね。後から聞けば、どうもDDSPだったようですが。
——エンドウノハナは惜しい結果でしたね。
乗り易いタイプでしたね。スタートして流れに乗り辛くポジションは悪くなりましたが、最後までしっかりとした足取りでした。
——オメガギネスは想像以上の走りだったのではないでしょうか。
「強い!」の一言ですね。レースぶりも使うたびに良くなっていますし、行きっぷりも違いました。追ってからの反応も良かったです。
——ワンターンのコースや不良馬場といった未経験の条件でしたね。
難なくクリアしてくれましたね。だからと言って4つコーナーがダメとは思いませんし、それだけ奥がありそうですね。スタート自体も決して速い方ではないですし、芝スタートもどうかと思ったんですけどね。今後も気を付ける点はあるかと思いますが、今後が楽しみです。
——今回は追い切りにも乗られましたが、馬への理解度も深まったんじゃないですか。
そう思います。
——それにしても、乗らなくなった馬も含めて、この路線は定期的にいい馬が巡ってきますね。
本当にそうですね~。難しいこともありますが、嬉しい悩みではあります。
——次週もよろしくお願いします。ありがとうございました!
ありがとうございました!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。