'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
さあソングラインとアメリカ・BCマイルへ!
2023/11/3(金)
JRA G1が行われない今週末ではあるが、アメリカのサンタアニタパーク競馬場ではブリーダーズカップが行われる。今年は上半期にG1を連勝したソングラインとBCマイルに挑むことになったが、現地からの声を届けてくれた。
力を信じてやるべき事に徹したい
——そちらはレースを3日後に控えた水曜の夜とのことですが、今週もよろしくお願いします。既に枠順も発表されていますね。現地でのソングラインの様子はいかがでしょうか。
現時点で僕は乗っていませんが、調整を見る限り気持ちよく走っていて順調にきているように感じます。いつもと変わらない雰囲気じゃないでしょうか。
——以前も海外遠征は経験がある馬ですね。
そうですね。以前の経験も今回に関しては活かされているのかと思います。課題を言えば、小回りでコーナー4つのコース形態でしょうか。ただ、G1もこれだけ勝っている馬なので、そういう点もクリアして欲しいですし、できる可能性があるんじゃないかと思っています。
——枠順は14頭立て(取り消しがあって13頭)の10番枠となりました。
あまり外過ぎず、内過ぎず、といったところでしょうか。極端にならなかったことは前向きに捉えたいです。流れは忙しくなるのかもしれませんね。
——現地の馬場の質はどうでしょうか。
日本の芝とは全く違いますね。重さもあって、脚に絡みつくような根のはり方をしている印象です。ただ、ヴィクトリアMに関しても、けっこう重さのある馬場状態でしたから、こなせていいんじゃないでしょうか。
——ゲートの仕組みも日本とは異なりますね。
そうですね。そこは準備しておかないといけないと思います。
——レースまでの過ごし方は何か予定されていますか。
既に見てはいますけれど、他馬などのレースは観て行こうと思います。それと、前日には日本馬も出るレースもあるので、そこでの傾向も感じられたらと思います。
——相手関係も未知な面もあって、手応えは感じ辛いんじゃないでしょうか。
いや~、まあもともと相手関係云々よりは、乗る馬の力を発揮できるよう意識していますからね。それに相手関係も日本との実力比較は難しいので、やるべき事はやって、悔いのない走りができればと思います!
急遽の乗り替わり、年間100勝と慌ただしい一日に
——そして、先週と言えば天皇賞・秋(G1)ではドウデュースに急遽、騎乗されたことには驚きました。
いや~僕も驚きましたね。2400m戦(8R)のあたりで聞かされて驚きましたね。天皇賞の2強ムードで2番人気という馬、名前を挙げてもらったことは本当に光栄でした。
——結果は残念ながら7着でしたね。
馬はこれだけの実績を残しているだけありましたね。ユタカさんからも色々と細かくクセは聞いて「頼むな」と任せていただきました。敗因としては一番の要因は力みですね。結果を残せなかったことは申し訳なく思います。
——競馬はその日のテン乗りでも結果が出る場合もあれば、そうでもないこともありますね。
G1で2番人気、少なからずプレッシャーは感じましたし、なかなかこういう経験はさせてもらえないことだと思います。さすがに実力差があり過ぎる馬なら、そこまで意識することもないでしょうけど、レースまでの気持ちの持って行き方は数日前に騎乗依頼を受けるのともまた違いますからね。本当に素晴らしい経験をさせていただいたと思います。
——同じくヘリオスも乗り替わりで勝ちました。
ずっと存在は知っていましたけどね。どんな馬なのかなと思いましたが、これだけの実績を残している乗り味でしたし、スピードもしぶとさもある印象。戦ってきた相手関係からも上位の存在でした。大人しさがあるのはこれだけキャリアを重ねているからなのかもしれませんね。
——マルディランダは違った競馬で勝ち上がりました。
正直なところ、前走が負け過ぎていて昇級では通用しないのかなとも思う節もありました。ゲートも上手くいかず、競馬の内容は変わりましたが、成長を感じる走り。これならもう一つ上でも、と感じました。前走の方が力んでいたようですし、要所、要所で精神面は課題を残していますが、成長はしていますね。
——エピックジョイはどうだったでしょうか。
1400mでも上手に走ってくれました。長く脚を使うタイプだと思いますが、行き過ぎることなく上手く競馬はできたと思います。
——アルテミスSのエリカリーシャンは7着でした。
2戦目でテンションが上がっていましたね。ゲートの中で落ち着かずジッとできなかったことが影響したと思います。
——バルサムノートは3頭で先行する形になりました。
少し強めの扶助で乗りたいと考えました。ただ、リラックスして走らせられなかったですね。ハミに乗り掛かるような走りになってしまいました。
——キングサーガはまたしても惜しい結果でした。勝ったと思いましたが。
よく走ってくれているんですけどね。こういう条件があれば引き続きチャンスはあると思いますが。
——ショウナンラピダスは新馬勝ちでした。
追い切りでの反応はもう一つでしたが、返し馬ではいい感触でした。レースではまだレースをわかっていないようなところがありましたが、いい脚を使ってくれましたね。
——ラストは加速するラップを差し切り、今後が楽しみですね。
まだ距離が延びても大丈夫だと思いますし、楽しみですね。調教の雰囲気からも上積みはあるでしょうから。
——スマイルコレクターはいかがでしたか。
こちらは調教の感触は良かったのですが、返し馬での雰囲気はもう一つ、といった印象。周りの馬を気にするところもあるので内枠で内にいるより、早めに外へ出してあげればよかったです。
——次週は武蔵野S(G3)で予定していたオメガギネスが回避となってしまいましたが、エリザベス女王杯(G1)ではライラックに騎乗されますね。まずは週末、いい結果を期待しています!
ありがとうございます。頑張ります!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。