'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
シャンパンマークと出世レースの東スポ杯へ!
2023/11/17(金)
今週は連日、東京での騎乗。中でも注目は東京スポーツ杯2歳Sと日曜メインの霜月Sだろう。シャンパンマークは新馬勝ちからの2戦目の伸びしろがどれ程か。デシエルトは昨秋にレコード勝ちも長期休養明けという課題もあるが、今後が楽しみになる走りを期待したい。
潜在能力に期待のシャンパンマーク
——今週もよろしくお願いします!栗東への移動などがあり、普段より時間が取れない中でのお話になる分、手短になると思いますが、まずは土曜の話題から。未勝利戦のスマイルコレクターやピュアバブルはどうでしょうか。
スマイルコレクターは新馬前の調教は良かっただけに、実戦に行っての変化があまりいい方に向いていなかったのですが、距離が延びる分でカバーしたいですね。ピュアバブルはまだ非力な感覚がありました。非力とは言ってもダートが走れないという意味ではありませんし、初ダートで変わり身があればと思います。
——ジュレブランシュは追い切りに乗られたそうですね。
走りはまとまっていましたし、距離はこなせると思います。追い切りは良かったので、いい走りを期待しています。
エピックジョイはあと少しという走りをみせてくれましたし、長く脚を使う競馬ができれば。アサクサヴィーナスは道中の折り合いがポイントですね。それでも、前走は詰まった間隔や右回りなども不慣れだったでしょうし、巻き返していい地力のある馬です。多少、馬場が渋ってもこなしてくれると思います。
——東京スポーツ杯2歳Sにはシャンパンマークが挑みます。
出世レースですし、好メンバーが揃ったのかと思います。とはいえ、この時季ですし、キャリアも浅い馬同士。どの馬がどれだけ伸びしろを潜めているのかは未知数ですね。シャンパンマーク自体も新馬からパフォーマンスを上げられる余地はあると思います。
——追い切りにも乗られていましたね。
気持ちも入っていましたし、走り自体も力強さが増したように感じます。精神的にも悪さをするようなタイプではありませんし、2戦目だからと言って、あまり悪い方に出る馬ではないのかと感じます。
——種牡馬が違いますが、半兄のシャンパンカラーがG1を制したことで必然的にこの馬も期待が高まるかと思います。
タイプはちょっと違うのかと思います。この馬の方が距離の融通性はあるでしょうし、大きなフットワークの中にもまとまりを感じます。雨が残っても、ある程度はこなしてくれるんじゃないかと思いますね。新馬は上がりも速かったらしいですが、そういう決め手を活かせればいいですね。
——日曜のホワイトクロウはいかがでしょうか。
気性的に不安定さもありそうですが、成績通り、上位争いはできる馬だと思います。上手く噛み合ってほしいです。
——オメガウインクは昇級になります。
メンバーも変わってきますし、力関係がカギですね。ただ、競馬は上手な馬で安定感はあるはずですね。この馬の上も同じような持ち味があって、似ていますね。
——デシエルトは久々のレースですね。
仕上りこそわかりませんが、能力は証明していますからね。1400m自体は特に心配していないので、あとはモマれる形にならなければ、というところです。
条件が不向きだったライラック
——先週の回顧ではエリザベス女王杯(G1)のライラックは4着。枠や展開が違っていれば……と思う結果でしたね。
そうですね。返し馬から状態の良さを感じました。スタートもよく、ポジションもいいところに行けるかなと思ったのですが、前に入られたり、外から来られたりであの位置に。結果的には、もう少し前にいるか、内枠だったら、というところです。
——ジェラルディーナやディヴィーナが外をかぶせて動き辛い位置になってしまいましたね。
むしろそこよりは内の枠にいた馬ですね。隊列的にももう少し上げて行って欲しかったです。逃げ候補も少なく、ペースも遅い分、外を回していたら余計に届かなかったと思いますからね。そこは問題なかったのかと思います。
——ペース自体も速くないですが、勝負になる2番手集団はもっと遅い流れで追走していた流れ。内枠だったら、という結果ですか。
本当にそうですね。流れは遅くても距離延長やコース形態である程度、前回より有利な条件だっただけになおさらです。
——トリプルループはどうでしたか。
東京でのレースはペースも速かったですけれど、関西圏の1400mになると数字以上に戸惑っている感じでしたね。
——アドミラルシップで勝利されました。
凄く乗り易かったですし、関西圏へ輸送しても勝ち切ってくれて、優等生ですね。この血統らしい長く脚を使うようなタイプになりそうです。
——メタルスピードは久々乗られました。
やっぱり以前と比べるとハミにぶら下がっている走り。もう少し体が起きてほしいですね。そこが以前ほど力を出せていないのかなと思います。
——ヴェルトハイムは展開が噛み合わなかったですね。
スタートもひと息で周りも遅い馬がいて、余計に後方になってしまいました。流れも痛かったですね。
——ノヴァエクスプレスは初ダートで内枠と不利な条件でした。
砂を被っても問題なかったです。4コーナーの反応も良かったですし、ダート適性もありましたね。
——ヴァナルガンドはどうでしたか。
ゲートがうるさかったです。出負けしたことでいつもと違う形になり、流れに戸惑っていました。
——もう少し伺いたい話題もありますが、次週以降にお願いします。2歳戦も盛り上がっていく時季。いい結果を期待しています!
ありがとうございます!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。