'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月16日時点1567勝
いよいよ年内ラスト開催!中山開幕週は17鞍の騎乗
2023/12/1(金)
惜しくも勝利に手が届かなかったレースもあったが、先週はジャパンCデーで5度の馬券圏内など気を吐いた。今週からは年内最後の開催になる。さっそく新馬戦でいい勝ちっぷりをみせた馬なども控えている。先に繋がる結果を期待したい。
ショウナンラピダスは2戦目の「壁」を乗り越えられるか?
——今週から中山になりますが、まずは土曜の新馬カピリナから伺っていきたいと思います。
3週連続で乗せていただいたのですが、当初からいい雰囲気を感じていました。追い切りを重ねるごとに着実に良くなっていますね。気持ちも入ってきています。
——シャドウダッチェスは未勝利の頃に2度乗られています。
モマれずに行くことが前提の馬かなと思います。それだけに条件の助けもほしいですね。
——葉牡丹賞のショウナンラピダスはいかがでしょうか。
前走が強い内容でした。追い切りの段階ではどうかな、と感じるところはありましたが、返し馬の段階からいい感触でしたね。
——前走のレースぶりをみる限り、距離延長はどうでしょうか。
距離は問題ないのかなと思います。コーナーリングなどはやってみないと、という点はありますけれどね。
——常々、新馬で良くてもキャリア2戦目で変わることがあるとは仰っていますね。
もちろんこの馬に関してもそう思いますよ。新馬の序盤の行きっぷりも精神面の課題でしょうからね。いい方に出てくれることを期待します。
——追い切り時計を見る限りは、前走以上に上向いている期待もありますね。続いてヴァナルガンドは東京替わりの前走でしたが、人気を下回る結果でした。
スタートで遅れたことで、この馬本来の形にならなかったですね。上手く出てモマれずに行きたいです。
——日曜の未勝利戦からビクトリーフォースやサトノエピックはいかがでしょうか。
ビクトリーフォースは一度使った上積みとダート替わりで期待したいです。サトノエピックも上積みが期待できそうなタイプ。中山になるのも良さそうですね。
——新馬のホウオウシーザーは追い切りに乗られたようですね。
追い切りで動けてはいますけど、本音を言えば、良くなるのはまだ先なのかなという感触はありますね。
エスカルもモマれないことが大事ですね。シーグラスは負けましたが、前走はいい内容。しぶとくて競馬が上手なところを活かしたいです。
天皇賞より持ち直したドウデュース
——先週の回顧に移りますと、ジャパンC(G1)でドウデュースが4着でした。
前走よりも着順を上げた通り、改めて力のある馬だと感じましたね。レースはイメージ通りに行けたのですが、あとはもう少しリラックスできるようアプローチさせてあげられれば良かったですね。
——戦前は天皇賞の行きっぷりであればペースが上がった方がいいとのことでしたが、実質、2番手集団からすればスローだったのではないでしょうか。
そうでしょうね。だいぶ遅かったと思います。欲を言えば速い方がレースはしやすかったでしょうね。どこのポイントが力んでいるというよりは終始、力みはありましたからね。あとは一度、使ったことによる上積みなんかでパフォーマンスは上げてくれたと思います。2着とは差のない走りをしていますからね。
——パドックや返し馬の気配はどうでしたか。
そこは変わりなかったですよ。あとは昔のような落ち着き具合で走れれば楽しみだと思いますが。それでも力は見せてくれたんじゃないかと感じます。
——ダイシンピスケスはモマれそうな枠でしたが、前半から早めに外へ出していましたね。
モマれ弱いところを踏まえて砂を被らないように行きたいと考えていました。トモを滑らせて遅れましたが、上手くリカバリーもしてくれましたね。外々を走らされましたが、やっぱり走る馬ですね。
——アスコルティアーモのレースは好メンバーでしたが、惜しい結果でした。
メンバーは揃っていましたね。展開としてはイメージ通り。あとは重心が低いところも良くなってきていました。力をつけていますし、センスもいいので、今はもう少し距離を縮めても対応できそうです。
——イエヴァンポルッカは脚質とペースを考えれば窮屈なレースになりそうでしたが、上手くハマりましたね。
以前に乗せていただいた時よりもしっかり体を使えて走っていましたし、レース内容も良くなりました。この条件も合っていますね。
——新馬のグローリーアテインはどうだったですか。
追い切りではもう一つ動けて欲しいなと思いましたが、返し馬からいい走りでしたね。内容的にも良かったと思います。ゆったりとしたフットワークからも広いコースも合っていたと思います。
——ピックアチェリーは惜しかったですね……。
今回はゲートがスムーズ。流れにも乗れていい内容でした。勝ったかと思いましたが。
——マルディランダのレースも上位4頭はレベルが高かったように思いますが、不利もありながら健闘しました。
その通り上位は強い相手でしたね。ただ、不利もありましたが、前走からペースもガラっと変わり、時計も速かったですからね。相手も手強かったです。状態自体は前走と変わりなくきていたと感じました。
——ジャスリーは出遅れがあったとはいえ、1400mは以前から適性を感じられていた距離ですよね。
ただ、気性的にちょっとアテにならないところがあるんですよね。進んでいったり、いきなりヤメたり。距離は合っていると思いますが……。
——新馬のオメガインペリアルは8着でした。
いいモノはあるのですが、線の細さを感じたように追ってからがフラついたりしていました。もう少し体質的にしっかりしてくるといいですね。
——エリカカリーナは強い内容でしたね。今後が楽しみになりました。
強かったですね。追い切りから成長を感じていて、自信を持ってレースに臨めました。道中はかなり手応えが良くて、狭いところでもアッサリ割って出てこられたくらいです。
——ただ、懸念するのは血統的には1200mに向いていきそうな感じもあるのかな、と推測しましたが。
その可能性はあるかもしれないですね。でも、現段階ではある程度、柔軟に条件をこなせれば何よりです。
——クイーン賞(Jpn3)のパライバトルマリンはどうでしたか。
2着馬が道中で来るのはわかっていましたが、ハンデも軽かったですし、リズムを保ちつつ、行かせすぎないようにと意識しました。
——前回、敗れていますし、勝負に行かないといけないのも納得ですが、やっぱり軽い馬場の方がいいのでしょうか。
それはあると思います。最後は絡まれた分もあり、3着になってしまいましたが、頑張ってはくれているんですけどね。
——騎乗されたことのない馬ですが、イクイノックスの引退が発表されました。同じレースに乗られていて強さを感じることもあったと思います。
僕はあの馬は早い段階から相当強いと感じていましたね。
——現在の4歳世代は早い段階からレベルが高いとおっしゃっていましたね。
いや、世代レベルよりもあの馬かな。とにかくどんな競馬もできるし、相当乗り易そうですよね。ドバイシーマクラシックを逃げ切ったあたりからより強さを感じました。天皇賞の時もマークする意識はなかったですけど、楽に先行していたのは全く違和感はなかったですからね。
——クリストフ・ルメール騎手も乗り易さとポニーのようだとたとえられていましたね。
まあ、ポニーより競走馬の方が乗り易いと思うけど(笑)。
——先日はアーモンドアイの顕彰馬選定記念のトークショーに出席されていましたが、近年で言えばアーモンドアイも一時代を築きましたが、また違った強さですか。
アーモンドアイの場合はゲートだったり、精神的な面の課題は少なからずありましたからね。成長曲線はまた違うと思うんです。客観的に見る限りイクイノックスの方が早い段階での完成度は高いんじゃないかなと。
——そして、話題は変わりますが、先日はJRA通算1400勝達成記念のノベルティを制作されていましたね。今回は歯磨きセットということでした。その意図はあったんですか?
いや、今までノートだったり、付箋とか文房具が多かったじゃないですか?日用雑貨としての思い付きです。
——てっきり剣道道場向けで子供たち用かと思いました。
配るには配りますよ。でも、子供を意識したわけではなかったです。あくまで思い付きですね。
——次は1500という大台も迫っていますね。次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。