'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月11日時点1556勝
先週は共同通信杯を勝利!今週は土曜10鞍、日曜7鞍で開催最終週に臨む
2024/2/16(金)
先週はジャスティンミラノとの初コンビで共同通信杯を勝利!G1好走馬も名を連ねた中で出世レースを制し、クラシックへ向けて弾みをつけた。一方、今週のフェブラリーSは乗り替わりとなってしまい乗り鞍はなくなったが、複勝率で言えば高いアベレージを残してきた1回東京は最終週。いい形で締めくくってほしいところだ。
将来性を感じたジャスティンミラノ
——先週は共同通信杯をジャスティンミラノで制されました!改めておめでとうございます。戸崎さんの勝つケースにはよくあるテン乗りでしたが、いかがだったでしょうか。
いい馬でしたね。まだ緩さもある中で、しなやかさが優れているといった走り。乗りやすさも感じました。
——結果、あれだけの末脚を使えていたので脚が違った、というところもありましたが、スタート後には早めにポジションを取られていましたね。サッと上がったので驚きました。
新馬の映像を見ても前々で運べていましたし、ある程度は位置を取れるのかなとは感じていました。ただ、ゲートの割に二の脚はつかず、戸惑うようなところもありました。流れに乗れない可能性もあったのでエンジンをかけたのですが、そこからはしっかりとした脚取りでしたね。ペースも遅くなりそうだったので上げていけたのは良かったです。
——いきなり来たので新馬後の2戦目、テンションが急に上がったのかと思いました。
収まりは良かったですね。道中も終始手応えがあって追ってからの反応も良かったです。
——ラスト2Fのラップは10秒台を連続。あれだけの上がりだとスピード感や景色も違うものですか。
いや~そんなことは。と言うのも馬のフットワークがゆったりとしているので、ある意味、そこまで速さを感じさせなかったです。だからこそ逆に良いことでもあるかと思います。ゆったりしながら速いわけですからね。
——今回は極めてスローでしたが、将来性はどうでしょうか。
楽しみですね!距離は延びても良さそうですし、まだまだ経験はかなり浅いですが、活躍してくれるんじゃないでしょうか。
最終週は土日で17鞍!
——週末の話題の前に……ですが、今週はフェブラリーS(G1)。継続して乗ってきたオメガギネスは乗り替わりになってしまいました。悲喜こもごもと言いますか、良くないこともあれば、良いこともあるものだなと感じましたが……。
いや、それとこれとは全く別問題ですよね。
——あまり聞き辛い話題ですし、答えたくない話題かもしれませんが、心境が気になるファンもいると思います。
そうですね。あんまり言いたくない騎手もいると思います。今の時代、乗り替わりは沢山あって、どの馬でもずっと乗れると思っていないとは常々意識にはあります。ただ、今回に関しては思ってもいなかったので……なんと言いますか、残念ではありますね。
——こうした厳しい話題にも答えていただけるのはありがたいところです。
しかし、競馬は勝負の世界、結果が全てですからね。仕方のないことです。残念な反面、自分も乗り替わりにならないようしなくてはいけない。もうそれ以上も以下でもないですからね……。改めて頑張ります。
——ありがとうございます。今週末の騎乗馬ですが、テン乗りが多いです。イラーナは追い切りに乗られたようですね。
トモがもう少し力強さが出てきてほしいところですが、それでも前走も好走していますからね。力はあると思います。
——デイジーは新馬で前残りの中でも終いは詰めていましたね。
流れに乗れていない中でも頑張ってくれました。2戦目の上積みがあればいいですね。
——フリージア賞のホーエリートや金蹄Sのグリューヴルムはいかがでしょうか。
ホーエリートは追ってからがもう一つという追い切りでしたが、そんな状態で未勝利でも勝ってくれましたからね。現状でこの相手にどこまでやれるか、というところでしょうか。グリューヴルムは長丁場が合う印象。いいイメージを持って臨みたいです。
——ダイヤモンドS(G3)のワンダフルタウンはテン乗りです。
まずはこんな長丁場のレースはそうないので、自分としても楽しんで乗りたいという思いもあります。馬自体は長距離戦の経験があるから頼もしいですね。頭数も落ち着いたので可能な限りいい着順を求めたいです。
——日曜のショウナンラピダスは東京に戻ります。
新馬の勝ち方が良かっただけにあのイメージで走ってくれれば理想です。前走は硬さもあったので、そのあたりが解消されるといいですね。
——キングサーガはお馴染みの存在ですね。
この条件で間隔が空いた時はしっかり走ってくれる馬ですからね。ここでも期待しています。
——コパノリッキーCのレッドラディエンスはどうでしょうか。
以前、福島で乗せていただきましたが、当時は条件が合わなかったように感じます。東京で改めて期待したいです。
重賞含め先週は3勝!
——そういえば今週は予定していたミッキーファイトが出走予定を延期というアクシデントもあっただけに重ね重ね共同通信杯の勝利は良かったと感じます。その他の先週のレース回顧ではマルディランダはどうでしたか。
前走より道中の雰囲気は良かったですよ。ただ、実績のある展開になった中での惜敗。少なからずプラス体重の影響もあったのかなと感じます。
——ダノンスウィッチは未勝利を勝った時が大味かつインパクト大でした。このクラスでもやれても良さそうな馬じゃないかと思っていました。
プランとしてはぽつんと最後方でもいいくらいでしたね。砂を嫌がるとも聞いていたので。ただ、ゲートも決まってしまったのでいい位置を取れたらと思いましたが、周りが速かったですね。外枠ならまた話は違ったと思いますが、この枠であれば行き切るか、後方かという形が理想だったと思います。早めに外へ出しましたが、その分の距離ロスもありました。ただ、いいモノは持っていますよ。
——アドマイヤマツリは追い切りの感触より走ったのではないでしょうか。
追い切りも良さはありましたが、それ以上でしたね。新馬は周りの馬を気にしていましたが、解消されつつあるようです。勝つチャンスは出てきたと思います。
——サトノレイズは特殊な展開でしたが、相手にも恵まれたとはいえ圧勝でした。
馬自体は良くなっていましたね。形的にも良かったですし、この行き脚があるなら1800mにも対応してほしいです。
——クイーンC(G3)のテリオスサラはどうだったですか。
左にモタれる面を懸念していましたが、実戦では大丈夫でしたね。イメージ通りには進められたのですが、やっぱりもう少し成長が伴ってほしいですね。
——ヴェルトハイムは差し切り勝ちでしたね。
勝てて良かったです!乗せ続けていただきましたし、ようやく依頼に応えられた思いです。やっぱり間隔が空いた方がリフレッシュされて感触もいいと改めて感じました。
——今開催ですが、41鞍で8勝、複勝率は50%を超えています。ここ最近の騎乗の感触はどうですか?
自分としてはいい感触で乗れています。馬との関係性も良くなっていると思いますし、楽しめて乗れているんです。勝ち鞍はもっと勝っている人がいるのでもっと勝たなくてはいけないと思いますが……。
——それにしても、ずいぶん昔と比較させていただくと下半身の安定性なんかはだいぶ変わったんじゃないでしょうか。
よく言っていると思いますが、癖が強くて癖で乗ってしまうところがあったのが解消されてきましたね。そんな面からもいい感覚があります。自分ではとても上手い騎手だとは思いませんよ。それでも、自分なりにまだまだこんなもんじゃないし、もっと良くできる可能性を感じています。
——はるか昔、このコラムに載せたかどうか、記憶はあいまいですが、よく「自分は追えない」なんておっしゃっていた記憶があります。
そこは変わらず「追えない」と思いますね。それでも、昔とは違うと思います。それなりの年齢になってきて、ある程度、騎手としての上がり目も見えてきた感覚はありますが、それでも、今以上にどうにかできる意識はあるので突き詰めていきたいですね!
——勝負の世界にいる以上、向上しないとやっていけませんよね。
そう思います。
——G1の騎乗情報も出てきそうなそろそろ時季ですが、成長した姿で頑張ってください。ありがとうございました。
ありがとうございました!
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プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。