'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月23日時点1569勝
中山牝馬Sはククナ&金鯱賞はノッキングポイントとのコンビ!
2024/3/8(金)
中山開催2週目の先週は土日で4勝をマーク。1月の苦戦を取り返すように勢いを加速させているが、今週は日曜に中京への遠征を予定している。他にも遠征の予定も報じられていたが、まずは今週、好騎乗を期待したい。
ノッキングポイントは強敵相手にどこまでやれるか
——今週は土曜が中山ということですが、いつも通り、土曜の話題から伺っていきたいと思います。未勝利戦ではティアードが新馬で騎乗されて、初出走のビップチェイスは追い切りに乗られました。
ティアードは4着と着順こそふるいませんでしたが、内容自体は良かったです。相手関係などもつきまといますが、勝つチャンスは巡ってくる馬だと思うので前進してほしいですね。ビップチェイスはまだ動きはもう一つ上がってきてほしいですね。既走馬相手でレースを学べれば。
——オーネットレオは新馬で3番人気ながら着順は伴いませんでした。
追い切りではすごくいい動きをしていたので、これなら、と期待はしていたのですが、ダートに行ったらあまり噛んだ走りができていなかったですね。だからと言って、芝では現状、スピードも足りないんじゃないかと感じます。今週の水分を含んだ馬場になりそうな点は歓迎ですが、まだ不安材料は残るように感じます。
——血統的にモマれ弱さもあったのかなと感じました。
敗因としてそこもありますね。砂は嫌がっていましたから。
——アクアマリンSのアドマイヤラヴィは追い切りに乗られていました。
追い切りではスイスイ動けていました。この走りを実戦でもみせてほしいです。
——中山牝馬S(G3)はククナに騎乗されます。
凄く乗りやすい馬でしたし、序盤に不利があった中でも上手な競馬をみせてくれました。距離は短くなるのでペースに惑わされなければいいですね。
——牡馬に混じって好走しましたし、上位の存在となりそうですが、使える脚が短いのか、重賞ではロスなく運んでラストに差してくるような形で好走していますね。
道中で溜めているというより、もう少し気持ちが長続きするようになれば脚も続きそうでしたが。長く脚を使えないのは気性的な面もありそうです。金曜は雨か雪もあるようですが、量はどれくらいになるか…ですね。今の馬場状態が決していい訳ではないですが、先週までくらいのコンディションであれば何とか対応してくれるのかと思います。
——ピンクセイラーは1勝クラス勝ち以来の騎乗ですね。
テンションの高さが課題ですので、当日の落ち着きがあれば理想ですね。
——日曜のロフティーイデアルは善戦が続きます。
前走を見てもいい形で進められていながら惜しい結果。地力は上だと思いますし、どんな条件でも好走はしてくれそうですね。
——昇竜Sのアイアムユウシュンはどうでしょうか。
2走前は太目が残っていただけに状態さえ良ければ前走のような走りはしてくれると思います。距離も1400mはこなしてほしいですね。
——金鯱賞(G2)のノッキングポイントは追い切りに乗られていましたね。
1週前追い切りでは状態の良さを感じました。条件も前走より合うと思います。あとはイメージとのギャップがなければ、というところですが、ある程度、流れてくれた方が競馬はし易そうですね。
継続騎乗の馬たちで4勝!
——先週の回顧ですが、重賞に出走したアドミラルシップはどうでしたか。
ゲート内で動いてしまっていいスタートが切られなかったですけれど、道中も手応えにあまり余裕がなく……もう少し欲しかったというのが本音ですね。
——ゲートに関しては他馬が入るのをしぶっていたことが影響ありましたか。
あったと思います。ただ、それにしても新馬からあまり成長が足りないように感じるので、もう少し成長してくれるといいですね。
——セレシオンは惜しかったですね。
レース前は一生懸命になってくれないようなところがあると思っていたので、気を害することのないよう注意して進めました。レース自体は上手く運べていいかなと思いましたが、勝負所で早目に来られた分、ラストで交わされてしまいましたね。競馬なのでよくあることですが、惜しい結果でした。
——新潟、京都、中山と使われてきていますが、適性はどう感じられますか。
どこでも走りをまとめてきそうな印象ですね。あとは気を損ねないよう走れれば大丈夫かと思います。距離は長丁場なら大丈夫じゃないでしょうか。
——ユキワリザクラは個人的には予想外の結果でした。勝ち切るとまでは思わなかったです。
新馬の時は非力感を感じたのですが、パワーアップしてくれたのが大きかったですね。それが勝因の一つであることには違いないです。
——非力とは先週もおっしゃっていましたね。
今回は返し馬の時点でも力をつけたことを感じられました。
——以前、「ここ最近は逃げることが少ないですね」なんて言ったのですが、2月以降は逃げて勝つレースが多いですね(今年は9戦5勝、2着2回)。
そうでしたっけ?他にも逃げて勝ちましたっけ?その時はだいたい内枠じゃないですかね。枠的にロスがあるのを強引に行こうとは思わないですからね。
——ジャグアールは力が抜けていることをわかって乗ったんじゃないですか?
そうですね。これまでの内容が良かったので。無難と言いますか、包まれさえしなければと思ったのでポジション取りもゆとりを持って運びました。
——ここ2戦は相手が悪かっただけで、クラスが上がってどうでしょうか。
いいんじゃないですかね。状態的にはいくらか硬さが出てきたように思いましたけど、これで休ませるような話はされていたのでね。
——プロミシングスターは惜敗が多いものの、昇級初戦での力関係が焦点になるレースだったと思います。
モマれたことが少なく、その時のレースぶりがイマイチだったようで、レースぶりがどうなるか、そこだけ気になっていました。ましてや内枠ですからね。あとはリズム重視。行く馬を行かせて、保てればと思いました。レースは上手に走ってくれましたね。最後の脚も光るものがありましたよ。この形で競馬ができるようなら幅が広がりますね。
——ダイクロアイトは3着。距離の問題でしょうか。
感度がいいと言いますか、すごく繊細な性格をしているように思いましたね。前半は流れに乗って行けなかったのですが、道中はいい押し上げ。4コーナーでは勝てるのかなとは思いましたね。最後はジリっぽくなった分はもう少し地力がつけば、というところでしょうか。
——リチャは前走が勝ったようなレース。今回は勝ち上がりました。
2着の馬がしぶといのはわかっていましたからね。そこで差し切れたのは力があった証拠だと思いますし、内容は良かったと思います。
——オーシャンS(G3)のショウナンハクラクはどうでしたか。
折り合いが難しそうな感じもありましたし、ジョッキーにも聞いてはいました。そこに注意して乗りましたが、馬場はいい方が合っているんじゃないかと思いますね。
——時計が掛かる良馬場くらいがベストですか?
いや、速くても合いそうですよ。あとは折り合いが良くなれば、もっと位置は取れるのかもしれませんね。
——フランスゴデイナは前走が案外な結果でしたが、巻き返しました。
状態の違いですかね。前走についてはわからないところはありますけど。ただ、今回は道中の力みが目立ちましたね。
——そこまで力んでいるとは気づきませんでした。
我慢はききましたけど。その分、勝ち馬が楽をしてしまいましたからね。本来ならこっちがペースを作れる立場でしたからね。もう少しリラックスできるならペースも上げていけたのですが。それでも力は通用していいと思います。
——セリオーソは勝ち馬こそズバ抜けていましたが、最後に止まったような走りに見えました。
止まったというか、体が浮いてしまう走りでしたね。前にというより上に飛んでいるような走りですね。あとは気性の面もあるのかもしれません。
——アフィリオンは戦前からも折り合い面が課題に挙げられていましたね。
今回は「前半に行かず、最後に伸ばすようなレースをしてほしい」と言われていましたが、何回か経験が必要そうですね。あそこまで(の力み)となると適性を図るのは難しく、ひと息で走っちゃいますからね……。フットワークはいいものを感じたのですが。ポンと行けば逃げ切れるのかもしれませんが、そうすると後に繋がらない面もありそうですからね。
——キャネルのレースは惜敗続きの馬同士の争いといった相手関係でしたね。
本当にそうですね。揃った感はありましたが、道中は力みがありましたね。その中でもよく頑張ってはいますが、もう少し距離が短くても良さそうですね。
——エーリアルは2着でした。
凄く乗りやすかったですね。楽にハナも行けたのですが、今回は相手が悪かったですね。
——エコロヴァルムは相手関係的にもチャンスでしたね。
外枠も良かったですね。自分のリズムで運べたと思います。
——そろそろG1シーズンが近づいてきています。昔はG1だろうが、未勝利だろが、勝つことに価値を感じていたと思います。今はどうですか。
変わらないですね。もちろんダービーを勝ちたいといった思いはありますけどね。そりゃG1を勝ちたいですし、大物に乗りたいという思いはありますよ。ただ、例えば今は関西圏に行くと頭数も揃い辛いですからね。週に2回しかレースがないですし、それは寂しいですし、もっと乗りたいと思ってしまいますね。
——それでも関東で乗っている時に関西の厩舎から依頼がない訳ではないですよね。
そこは若手、20代の騎手たちの底上げもあるからじゃないですかね。彼らが頑張っていますから地元で信頼を得ているということだと思います。特に(坂井)瑠星や(横山)武史、あとは6年目の世代ですか?あの数年間の若手たちは層が厚いなと思いますから。
——若手と言えば今週から新規開業厩舎もスタートしますね。
やっぱり(福永)祐一さんが調教師としてスタートされるので楽しみです。依頼を頂いて乗れないレースがあったのですが、「馬に合った騎手を選びたい」とインタビューでもおっしゃっていましたし、依頼されるよう頑張りたいです。
——ちなみに先週も今後の騎乗予定は触れました。今週は阪神牝馬Sの騎乗も明らかになりました。それ以外で遠征はありますか?
ないと思います。
——次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。