'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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12月16日時点1567勝
ジャスティンミラノとのコンビで皐月賞へ
2024/4/12(金)
先週からクラシックが幕を開けた競馬界。桜花賞には残念ながら騎乗馬がなかったが、皐月賞にはかねてより明らかになっていた通りジャスティンミラノとのコンビで挑む。キャリア3戦、初物尽くしと未知な面もあるものの、自身としては2018年以来の勝利となるか。
初物尽くしでも対応できる見立て
——今週の競馬界ではショッキングな知らせもありましたが、ご自身の話題からお願いしたいと思います。ジャスティンミラノと臨む皐月賞(G1)ですが、7枠13番に決定しましたね。
あまり極端な枠にならなければと思っていましたし、内過ぎるとどうかな、とは思っていました。トビもゆったりとしていますし、中山だけにゴチャつく可能性も否めませんからね。内枠でも外に出せればいいのでしょうが、多頭数ですと、周りとの兼ね合いでそうはいかないこともありますから、現状は良い枠なのかと感じました。
——新馬、共同通信杯とスローでした。乗られた共同通信杯はスタートしてからスピードの乗りがひと息でした。基本的には流れが速くなりやすい皐月賞、出脚の差がどう出るのか気になりました。
レースを重ねていないだけにわからない面もありますが、新馬はスムーズに流れに乗っていたので、前回のようなことはないんじゃないかと感じますね。
——ここ2戦は東京。中山は初めてになります。
クリアして欲しいという思いです。能力があることは証明していますし、対応できるだけの器だと思っています。
——共同通信杯はスタートでダッシュがつかず、早めに位置を押し上げました。乗りやすさもありますか。
乗りやすいタイプだと思います。コーナーが増えること、初コースなど色々と懸念材料はあると思いますが、極論を言えば、あまり気にはしていないです。3歳馬であれば、こうして初めてのことが多いものですし、クラシックでは毎年のことですからね。良くも悪くも気にならないです。強いて言えば広いコースの方が競馬はしやすいのかもしれませんけれどね。
——道中の流れも一気に変わりかねないですね。
こちらも気にはしていないです。もう馬を信じて臨むだけですからね。
——パドックや返し馬の気配はどんなタイプか、イメージはありますか。
返し馬はけっこう気の良さを感じましたね。厩舎が「テンションが上がりやすい」とメディアへのコメントで口にされていましたが、そう言われるのも納得できる面はありましたね。
——ただ、それでも前走のように早めに動かしても操縦できるわけで。
テンションの高さと操縦はまた違った領域でもありますからね。乗る分には問題がなかったですよ。
——今年は「混戦」という声も聞こえてきますが、重賞を制して臨む皐月賞ですね。ジョッキー自身、以前に勝利されているレースでもありますが、今年はいかがでしょうか。
こういった有力馬に出会えたことは感謝したいです。先を見据えている器だと思いますし、責任もあると思います。大きなレースで興奮も少なからずありますが、楽しみつつ盛り上がるレースにできるよう努力したいです。
土曜は11鞍、日曜は7鞍の騎乗!
——今週は乗り鞍も多いですね。土曜のタッカーバレットは引き続き騎乗されます。
前走の後にトモに疲れが出たようで予定より延びましたが、追い切りの感触で言えば普通に動けていました。ひと息で走る面がある面が変わってくるといいですね。
——ジュレブランシュやノーブルクライも継続して騎乗されます。
ジュレブランシュは前走が大味な面もあったので昇級して同じ形ができるかと言うと、簡単ではなりそうです。組み立てができるよう競馬が上手くなればもっと安定してきそうです。ノーブルクライは長丁場で安定していて、もう少しメリハリができるといいですが、堅実なタイプだと感じました。
——ティニアは前走が休み明けの影響もあったというお話でしたね。
走れる能力は感じたので、2戦続けて乗れる面で前走からの変化があることに期待しています。
——山藤賞のショーマンフリートはどうでしょうか。
期待はしていますが、前回、乗せていただいた際はまだ素質に走りが伴っていないようにも感じました。距離を延ばしていい面が出てくれればいいですね。
——下総Sのホウオウバリスタはこの馬にとっては流れが忙しくなりそうですね。
そうですね。レースとしては難しくなりそうですが、能力的には現級では上位だと思います。
——日曜のビアンケットや1勝クラスのヴェルトラウムも乗られた馬です。
ビアンケットの乗り味自体は素質を感じました。もう少し力がついてくるといいですね。ヴェルトラウムはゲートの課題もあるのでしょうが、新馬はいい勝ちっぷり。能力的には1勝クラスでもやれていいと思います。
——利根川特別のヴァナルガンド、ドゥラメンテCのホウオウエクレールとこちらも騎乗経験があります。
ヴァナルガンドは中山では安定して走ってくれますよね。ホウオウエクレールは長いところで淡々と競馬をこなしてくれる印象です。あともうひと押しがあれば理想ですが。
クロジシジョーは出遅れ響くも大井の砂にも対応
——レース回顧では東京スプリント(Jpn3)のクロジシジョーは見ての通りと言いますか、スタートが悔やまれる内容でしたね。
前走から興奮するようなところがあったのが影響しましたね。ゲートの中でも勝った時より落ち着きが足りなかったです。そのあたりは続けて使っている影響があるのかもしれません。それでも馬場も白い砂になって適性がどうかと思いましたが、こなしてくれましたね。今後へ幅が広がる内容だったと思います。
——久々に大井競馬場での騎乗でしたね。しかも、フリオーソ産駒です。
(7Rで)自分の勝負服も着られましたし、やっぱり周りからもたくさん声を掛けてもらえるので、他の競馬場とは違った気持ちになりますね。久々に乗られてよかったです。勝てれば何よりでしたが。
——アイベラの敗因は馬場でしょうか。
う~ん、正直、はっきりとした敗因はわからなかったです。未勝利馬ながらそれなりに走れる馬ですが。
——京葉Sのメズメライザーはどうでしたか。
いや~こちらは失敗してしまいました。もともとモマれ弱い面は理解していましたし、前走を見てもいい形で差してこられていたように期待はしていました。スタッフの方にも敢えて控えるような競馬をとっている、と伺っていて、今回も競馬を教え込むことが重要かと思ったのですが、結論としては中途半端な形になってしまいました。
あの流れでしたし、もっと行けば良かったですね。申し訳ない騎乗でした。前走でも走れていた通りこのクラスでもやれる馬なのですが。
——ホウオウスーペリアは初騎乗で勝たれました。
すごく競馬センスがある印象でしたね。馬場も上手にこなしてくれたので内を選択できました。
——タイセイフェスタは3歳1勝クラスを制されました。
我の強い馬といった印象を受けました。もう少しこちらの指示を聞いてくれると良くなりそうですが、レースに行けばしっかり走って馬場も苦にしなかったですね。
——馬場という点で言えばサトノルチルは堪えられなかったのではないでしょうか。
本当にその通りですね。乗り味も良くていい雰囲気でした。上手くいって粘り切れないあたりは非力な面が出てしまいましたね。
——ジュビランスも馬場の影響だったということですか。
返し馬から硬めの捌きだと感じていたのですが、掘れる馬場に脚をとられて、バランスを崩していましたね。
——関西馬ストライクオンで未勝利戦を勝利されましたね。
少しコーナーで外に張る面もあって、手応えもあやしかったのですが、直線では走りもハマってくれましたね。バランスが良くなれば昇級してもやれると思いますよ。
——阪神牝馬S(G2)のライラックはどうでしたか。
あの馬体減りが影響したと思います。
——改めて皐月賞に関する話も伺うと、「楽しむ」というワードも最近では聞くことが増えてきたようにも感じます。
やっぱりそこは以前も伝えたように、馬とのコミュニケーションを重視するようになったことが大きいと思います。
——よく「自分は小心者だ」と自虐的に仰っていた時もありましたね。
いやいや、そこは変わらないと思います。小心者は小心者でしょ。ただ、昔に比べると変に緊張したりということはなくなりましたね。逆に言えば、良くも悪くも爆発するような興奮はないかもしれません。どんなG1を勝っても派手にガッツポーズするようなことはないんじゃないかと思います。
以前も言ったようにドゥラドーレスの毎日杯で結果を残せず、怪我の影響もあり成績も下がった時もあり、そこを経ての今だと思うので。
——落ちてから盛り返すことはなかなか簡単ではないですよね。
盛り返してるかどうかはわからないですけどね。そこは周りが判断することでしょうし。ただ、自分としてはいい方向になっていると思います。
藤岡康太騎手が調教をつけていたジャスティンミラノ
——しかし、本日(木曜)は藤岡康太騎手が亡くなられる、というショッキングなニュースが伝えられました。東西の所属の違いもありますし、プライベートなどで親交があるとは伺ったことはありませんが、同じ時代に長く乗ってきたジョッキーの訃報です。
康太も色々挑戦したいこともあったでしょうし、まだまだ長く続いていくはずのジョッキー人生でしょうから、本当に残念でなりません。先日の高知や海外でもジョッキーの落馬事故は伝わってきますが、無事に怪我無くレースを終えることの大変さを改めて感じさせられます。
僕が大阪杯と阪神牝馬Sで阪神へ行っていたこともありますが、ジャスティンミラノには1週前、2週前の調教に乗っていたことで、こちらから聞かずとも、わざわざ事細かに状態を伝えにきてくれました…。そんな人柄でしたね。
——戸崎さんもJRAでは大怪我になるような落馬はないものの、2019年には落馬で長期離脱もありました。
幸い落馬が多くないこともありますが、怪我と隣り合わせなのが競馬ですからね。改めて気を引き締めて臨みたいと思います。
僕は康太の騎乗っぷりって好きだったんですよ。本当にどっしりしていて、大胆な競馬ができる。あそこまで思い切ったことができるんだ!?ってよく驚かされて素晴らしかったと思います。
皐月賞は康太の分もいいレースをしたいと思いますし、結果を出すことで喜んでくれるんじゃないかと思います。そんな思いも背負って挑みたいです。
——今週もありがとうございました!
ありがとうございました。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。