'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月11日時点1556勝
祝・福島リーディング獲得!アイビスSDはファイアダンサーとタッグ
2024/7/26(金)
夏の福島は15勝を挙げて、晴れてリーディング獲得!続く夏の新潟は、2場開催の2回開催を含め、他のリーディング上位騎手も混じってくるが、健闘を期したい。
アイビスサマーダッシュは昨年の1番人気馬に騎乗!
——先週は福島リーディング獲得おめでとうございました!夏の福島リーディングは幾度となく獲られておられますが、今年は違った思いはありましたか。
ありがとうございます。目指してはいたので獲れたこと自体は嬉しく思います。気候の面で言えば今年の開催前半は例年より涼しく感じたくらいだったのですが、開催後半はむしろ今までより暑く感じましたね……。
勝ち星的な面で言えば、もっと挙げられればと思います。前半は明良(菅原明良)の勢いがあって、同じような勝利数でしたね。その中で最終的にトップにいけたのは良かったです。
——それにしても最終週はあの暑さの中で土曜はフル騎乗(12鞍)の予定。結果的に除外もあったので、11.5鞍みたいなものですか。大変でしたね。
返し馬までしていますからね。あそこまで行ってしまうと最後まで乗ったこととそう差はないのかなと。しかも、除外になったからといって、すぐに帰れるわけではないですからね。暑い中で走ってくれる馬のおかげでの成績でもあります。
——先週の福島も35度くらいの気温でしたが、福島と他の競馬場での暑さの違いはありますか。
福島競馬場だけが、というわけではないと思いますが、夏の福島開催は梅雨時期で暑くなりがちですよね。新潟になると、その分、湿度的にいくらかカラッとしますからね。比較的、風も抜けやすいのかなと。週末の予報を見ているとどうなるか不透明ですが、いくらか気温的には楽なのかなと。
——今週から新潟になりますが、土曜の騎乗馬から伺っていきたいと思います。フォティーゾは追い切りに乗られたようですね。
ポテンシャルは秘めていそうですが、中身的にはこれから、という馬かと感じました。体のバランスもまだ良くなる余地がありそうです。ただ、そうは言っても未勝利戦も残り少ないですからね。何とかいい走りができればと思います。
——関越ステークスのフライライクバードはどうでしょうか。
気性的に気分を損ねず走れれば、という課題はつきまとうので、気を付けつつ乗りたいですね。
——ストリンジェンドは福島から新潟に替わります。
以前の成績を含めても安定はしていますからね。どんな形になっても、対応してくれそうです。新潟になる点も問題ないのではないかと思います。
——日曜のダノンブランニューは新馬に続いての騎乗です。
血統的にも期待の大きい馬でしょうし、一度使った上積みに期待したいです。あとは新潟の1400mがどうか、というところでしょうか。
——マルディランダは久々に騎乗されます。
こちらも新潟の1400mがどうかな、という脚質ですが、上手く展開が向いて欲しいです。
——アイビスサマーダッシュ(G3)のファイアダンサーは約2年ぶりの騎乗です。追い切りにも乗られたようですね。
追い切りに乗せていただいたところ状態は順調にきているように感じました。この条件は走れていますから、コース適性は問題ないのかと思います。こちらも後ろからというタイプ。速い馬が多いだけに最後に伸びてくるこの馬に展開がプラスに働いてくれれば何よりです。戦歴や感触からも上がりが掛かる展開や馬場コンディションになってくれた方がいいでしょうね。
——昨年は1番人気。当時は暑さの影響があったようですね。
どんな馬が暑さに負けやすいか、はっきりとした傾向はわからないですが、大型馬であったり、牡馬は夏負けしやすいですね。本当に体調をおとしたり、暑くて走る気を起こさない、どちらのパターンもあるかと思います。
——メアヴィアは未勝利戦で騎乗されましたね。
雰囲気のある馬でしたね。当時も感じましたが、いい成長を遂げてくれれば、という感覚もあったのでどんな変わり身があるか、ですね。
——アパイシュナールは福島に続いてのコンビです。
前走はいい内容でしたね。あれなら昇級でもとは感じています。2走前に勝っているように新潟になるのも問題ないかと思います。
福島最終週は4勝!
——先週のレース回顧ですが、オリエンタルナイトで開催オーラスのレースを締めました。
掛かるところがあると聞いていたので気を付けて臨みました。ポジションも思っていた以上にとれて、収まりましたし。脚質的に長く脚を使うタイプと見ていたので早めに仕掛けました。こういう距離も合いそうでしたし、最終週の馬場もこなしてくれましたね。
——日曜のオーラスで長距離戦、大変でしたね。
はい、精神的にこたえますね(苦笑)。
——マリオロードは重賞で好走した後のレースでした。
形的には良かったと思います。ただ、反応がもう一つ。やっぱり中1週の分の影響もあったのかなと感じました。
——ロープスピニングやジェロニモスは1番人気に支持されました。
ローブスピニングは勝ち馬の後ろにいたのですが、前が残る流れも合わなかったようですし、最後は離されてしまいましたね。ジェロニモスは逃げるつもりで臨みましたが、進みっぷりもひと息。終始、行きっぷりが良くなかったです……。
——ブラックルビーは新馬勝ちを決めました。
追い切りからいい動きをしていて、レースでも楽しみでした。しっかり走ってくれましたね。
——マーブルマカロンは13着と大きく崩れましたが……。
結果論で言えば、1150mが忙しいですね。バラついた走りになってしまいました。
——レガーロデルシエロはテン乗りでの勝利でした。
思っていたよりは後方からになったのですが、展開的に言えばちょうど良かったのかもしれません。追ってからしっかり反応してくれていますし、こういう条件が合っているかと思います。
——ドルフィンスルーも初コンビで勝利しました。
返し馬からフットワークの良さを感じました。ただ、これまでゲートの課題もあったので気を付けていたのですが、上手く流れに乗れて、いい位置で走ってくれましたよ。前回は出していった分、折り合いを欠く面もあったようですが、出してくれたことも今回に繋がったのかもしれません。
——ナクライトは惜しいレースでしたね。
本当はハナに行きたかったですね。1列目で競馬ができれば違った結果もあったかもしれません。
——読者からの質問に今週もお答えいただければと思います。おにぎりさんより「新潟開催がまもなくスタートなので伺いたいのですが、新潟リーディングで米俵を獲得した際、やはりお米はご自宅で全部食べられるのですか?」という質問がありました。
そうですね。いっぺんに送られてくるわけではなく、何度か分けて送られてくるんです。一部はお裾分けしたりしていました。
——福島リーディングの表彰式ではビールのプラカードでしたか。目にしましたが。
そうですね。福島は地ビールなんです。グルテンフリーもあるのでビールは飲まないですが……。
——続いておにぎりさんから「『以前より、一頭、一頭の特徴をとらえたり馬を感じたりするようにしている』『馬とよりコミュニケーションを取っている』とお話されていましたが、具体的にどんなことを感じていらっしゃるか知りたいです」と深い質問です。
簡単に言えば、全部を確認しています。調子だったり、馬が我慢を利くかなどですかね。自分は入場する時になるべく歩かせているのですが、並足をさせている時に僕とのコンタクトを取ってくれるか、指示に従ってくれるか、確認したり。ハミの当て方は高い方がいいのか、低い方がいいのか、簡単に言えば、こんなところでしょうか。
——それは色々な経験をして、今のスタイルに至ったと。
そうですかね。以前も気にするようにはしていたのですが、前に比べたら引き出しが増えてきたようには感じます。
——以前、中央と地方競馬での返し馬の違いの質問でも「大事な時間だ」と仰っていました。
馬によって早目に感じ取れる馬もいれば、そうではないこともありますからね。基本は人よりは長くとっているかもしれません。
——では、戸崎さんのファンの方は現場に行かれたら、馬場入場にも注目してもらえれば、ということですね。
——他の方から「馬は、以前にレースで騎乗した騎手のことを覚えているのでしょうか?馬の方から好き嫌いの態度を示されたことはありますか?」という質問です。
あるかもしれません。そういう場合は思ったほど走ってくれなかった時なんかはそうなのかもしれません。ただ、自分も経験があったかと言えばはっきりとはわからないですが(笑)。
——先日はダノックスさんのダービー優勝記念のパーティーでしたか?出席されたようですね。壇上にも上がられていたようですが、どんなお話をされていたんですか?
ダービーの話ですね。でも、ダノンさんの馬でダービーに挑ませてもらった時というよりは今年のダービーの話でしたよ。
——次週も新潟とのことですが、8月は交流重賞での騎乗はあったりしますか?
入れば盛岡ですかね。
——次週もよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。