'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!
12月9日時点1566勝
阪神JFでコートアリシアンと初コンビ!
2024/12/6(金)
1週前は京都に赴いたものの、ウェイワードアクトは2着。オープン初戦で勝利とはならなかった。今週も同様に中山と京都に転戦するが、日曜は2歳G1の阪神ジュベナイルFでコートアリシアンと初コンビを組む。異例の開催日程のため、従来と異なる舞台になるが、ジョッキー自身は続けて淀へ向かうことがいい結果に繋がるだろうか。期待したい。
瞬発力を感じさせるコートアリシアン
——今週は日曜の阪神ジュベナイルF(G1)にコートアリシアンとのコンビで臨まれます。実戦では初コンビながらも、調教で騎乗されていますね。
騎乗する前にレース映像だったり、改めて確認しました。率直な印象としては精神面であったり、操縦性が心配だなとは感じていました。トレセンでは2週連続で騎乗させていただいたところ、その心配もしなくて大丈夫かなと思いましたけどね。
それでも、新潟への輸送を経験しているとはいえ、京都まで向かうわけですし、あとは当日にテンションがどうなるかといったところでしょうね。
——個人の印象ですが、1週前の追い切りは特によく映りました。
いい動きをしていて、順調だと思いますね。タイプ的に切れ味や速い脚が持ち味だなと感じています。
——今まで数多く乗られていた厩舎ではないと感じます。それでいて、テン乗りの馬で2週連続の追い切り騎乗となったのも意外に感じました。
やっぱり操縦性の問題ですね。確認をしたかったので。(伊藤大士)先生は当該週はどうするか悩んでいたようですが、こちらからお願いしました。1週前に気合いをつけた分、テンションが上がるかも気になりましたが、余裕のある走りでしたよ。
——これまでの2戦ではいずれもスタートで後手を踏んでいます。今回はどうなりそうでしょうか。
レース映像を見ると、ちょっと遅いかなという印象は受けますね。だからと言って、あまり急かしてリカバリーしていこうとすると折り合いが難しくなるのかもしれません。
——右回りという点はどうでしょうか。
追い切りでは問題なかったですよ。あまり心配はしていません。
——2歳G1でありつつ、来年のクラシックを窺うようなレースだと思います。ただし、今年は京都の芝ということで、3開催続いている馬場の中での争いとなります。
タイプ的にはやってみないと…というところではありますが、頑張ってもらいたいですね。
——ワンターンの外回りコース、そこまで枠順は問題ないでしょうか。
馬場が馬場なのでね。それを抜きにしたら、タイプ的には内の方が良いでしょうね。微々たる差をいえば偶数の方が良さそうです。
——戸崎さんが阪神ジュベナイルFに騎乗するのは久しぶりのこと。過去には惜しい争いもありました。それらの馬たちと比較して完成度等はいかがでしょうか。
良いモノを持っていますよ。そのあたりでいい勝負をして欲しいと思っています!
——今週のその他の騎乗馬ですが、ヴィンブルレーはダート替わりになりますね。
ダートは走ってみないとわからないですが、力的には未勝利を勝てる馬だと思いますね。
——タマモカンパネラはどうでしょうか。
仕上ガリ的に急仕上げと聞いていました。ちょっと苦しさをみせてきている、とも伺っていたのですが、追い切りでも気分良く走れていなかったですね。そのあたりがどう影響するか、でしょうか。
——ホウオウスーペリアは道悪の際に勝ち上がりましたね。
勝った時はロスなくいけましたね。このコースなので、ああいうレースができれば理想です。
精神面に課題をみせたウェイワードアクト
——先週のレースではウェイワードアクトは京都に乗りに行ったものの、勝ちあぐねてしまいました。
理想のレースはできたと思います。4角を回る時も手応えは十分。突き抜けると思ったくらいです。ただ、追ってからがもう一つ。色々、考えたのですが、気性なのかなと。後々、考えると2走前も同じような負け方だったなと。
——間隔が詰まると良くないのでしょうか。
いや、状態が悪い感じはしなかったです。そこは問題なかったでしょうね。
——となると、馬具の助けなども必要なのでしょうか。
そうですね。1400mも問題なかったですからね。
——ワイドアラジンは強い相手だったとしても、このコースで好走歴があったので、もう少し見せ場があるかと思いました。
一回、リセットさせた方がいいのかもしれません。進言させてもらった内容としては、距離を詰めて後ろからでもいいから脚を使わせるような形にした方がいいのかと。少しダラけてメリハリがない感じで惰性で走っていましたからね。
——コブラはペースも噛み合わなかった印象ですが。
先生とも話をして後ろからいって差す競馬ができているので、そんな形をイメージしていました。ただ、状態もいいのか、スタートも二の脚も良くて、下げるのも苦労しましたね。条件は合っていると思うので、うまく噛み合えばチャンスはありそうです。
——ランスオブセヘルは昇級初戦で距離を短縮という条件でした。
ペースも落ち着いて運べました。それでもひと息で走ってしまっていましたね。
——ステークホルダーは開幕週のこのコースで外枠だったのがどうかなと思っていました。
今回はスタートを切れて、あとは楽にポジションもとれました。こういう勝ち方も板についてきて、内容も良くなってきています。オープンも見えてきたんじゃないかと思います。
——ダンディズムは昨年に続く出走。流れも違いますが、昨年は距離が長いと言われていたので、このコースはどうかなと思っていました。
スタートがうるさくて出られなかったです。枠もあっていいポジションを獲れましたね。この馬にとっては淡々としていた流れだったのは良かったです。追ってからのメリハリという点は、勝ち切れない面がありそうですね。それでも、この年齢ながらも衰えているようには感じなかったです。
——シンヨモギネスはマクっていく競馬で3着でした。
レース映像を見ると、スタート、テンでついていけないだろうと思っていました。ポジションをどうしようかとも感じていたのですが、少し遅くなったところでポジションをあげられました。もう少しレースが上手になれたらいいのですが、フットワークも大きいですし、こんな戦法になりますね。
——ダノンマカルーは条件を替えたところで、内枠になってどうなのかなと感じておりました。
内枠でもう仕方ないとリズムをとることだけを意識しました。終始、手応えも良かったですし、進路を見つけながらいけましたよ。ただし、フットワークは1200mじゃないですからね。現状の集中力では1200mがいいかなと共います。
——エオアリイはどうでしたか。
理想の形はとれて勝てるかと思ったのですが…。ただ、道中からハマり具合がもう一つでしたね。追い切りの方が良かったくらいです。
——この秋は毎年のことながら、ライアン・ムーアさんなども来日中です。話されたりはしていますか?
話したいことはあるんですけどねえ。英語が喋れないのであきらめています(笑)。挨拶くらいならしますけどね。
——そろそろ冷え込んできました。騎乗する際も大変じゃないでしょうか。
週末はもっと冷え込むとは報じられていましたが、今のところはそんなに大変でもないですよ。
——冬場はカイロを貼ったりされるそうですが、中も着こんだりされますか。
上は普段より一枚、重ね着します。モンベルのやつですね。自分の場合、下は普段と変わらないです。着こみ過ぎると暑くなって違和感があるんですよね。
——体調もよく競馬に臨めているようでそこは何よりです。次週は中山での騎乗ですね。有馬記念(G1)ではレガレイラに騎乗されることも発表されました。今週もありがとうございました!
ありがとうございます。
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。