
'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
人気コーナー!トップジョッキーならではの本音、レースへの意気込みをお届けします!

7月21日時点1642勝
3週連続で追い切りに騎乗!安田記念はブレイディヴェーグと臨む
2025/6/6(金)
ダービーが終わり、今週から新馬戦が始まり、3歳馬は年長馬の争いへ。新たなシーズンへ差し掛かる競馬界だが、例年夏競馬といえば戸崎騎手にとって勝ち星加算が期待できる季節といえる。また、次週は再び始球式への参加が決定。今度は仙台での登板となるが、お近くの方は声援をお願いしたい。
ブレイディヴェーグと久々のコンビ、勝利に導けるか
——今週は安田記念(G1)でブレイディヴェーグに騎乗しますね。過去にも乗られたことのある馬ですが、調教にも頻繁に騎乗されましたね。
3週連続で追い切り乗りましたが、順調に来ていますね。1勝クラスを勝たせてもらった時も能力を感じていたものの、ずいぶんと筋肉の質、パワーアップは感じています。それもあって、1600mに使っているのかなと感じます。
——あくまでイメージではどちらかと言えば後方になる印象はあります。
やはりG1ですし、後方にはなりたくはないですね。レース本番での動き次第でもあり、わからない部分もありますが、なるべくそれなりの位置で運びたいです。ここ最近は道中で気分を害するようなところもあったようなので、もちろん流れに乗った場合に脚が溜まるのか、という懸念もありますが。
——追い切りに乗り続けた変化はありましたか。
特にクセもなく乗りやすいので、何かを変えていくというところもないのですが、毎週の状態確認はできましたよ。折り合いやリズムよく終えられたと思います。
——改めて馬の特性はどう感じられますか。
さっきも言いましたが、筋肉量は増えてきているのでね。よりキレ味、速い脚は出るようになったと思います。いいスピードを持っている馬です。
——位置取りの話もありましたが、差しが利く流れが理想ですか。
馬場の傾向もありますが、後ろから一辺倒では楽ではないでしょうからね。それは大いにあると思います。
——その他のレースではホウオウヌーヴォーは追い切りに乗られました。
追い切りではムキになるところは不安でありました。あとは追ってからバラつきがあるので、そこがどう出るかですね。
ナムラペルルは毎回上手に走ってくれています。チェンジオブハートは勝ちに行くと甘くなってしまう面はあので、前走みたいな形が理想かもしれません。
——ニヴルヘイムは昇級初戦です。
前走が凄くいい内容でした。背腰が弱くて前半でついて行かず、道中から動くようなあの形が現状はベストでしょうね。となると、現状は東京替わりがどういう方向に向くか。前走までは「東京の方が良い」とは言っていましたが、カバーできるような乗り方をしたいです。
——カラヴァジェスティも昇級初戦です。
ゲートが遅いのが課題です。それでもしっかり脚はあるのでね。東京でも走って欲しいです。精神的には激しいところもあって、特徴ある動きはしますけどね。激しいようで悪さをするほどではないですからね。
——スタンリーテソーロは再び乗られます。
クラス上がって慣れてきたのかなと。一つでも上を目指したいです。
——新馬のグリーンエナジーは追い切りに乗られました。
馬格はあるものの、体に緩さはある馬でした。気持ちはあるので、その点でカバーできればいいですね。
——ノヴァエクスプレスは先週は残念ながらレースが中止になってしまいました。
返し馬でも「これなら!」と思う凄くいい雰囲気でした。それだけに中止は残念ですね。あのコンディションを維持できていれば。力は通用すると思います。
——先週は雷でレースが中止になってしまいましたね。現場ではどんな様子だったのですか。
競馬場では怖さを感じるくらいの雷でしたよ。近くに落ちたんじゃないかな、というくらいでしたね。中止の判断は妥当だったんじゃないかと感じました。
ダービーは7着、また来年へ
——日本ダービー(G1)ではエムズに騎乗されました。これまで以上に多頭数でのレースながら、スムーズに流れに乗れたんじゃないでしょうか。

タイプ的には凄く走る気満々、元気な男の子という印象でした。凄く乗りやすさもあって、勝った馬の後ろにつけてリズムよく行けました。最後は、追ってからは勝ち馬に離されたので、そこはまた力をつけられればいいですね。
——テン乗りでの騎乗。パドックや返し馬での気配はいかがでしたか。
バネのある感じで良さは感じました。緩さもあり、成長もしてくれそうですよ。長いところで頑張りそうな馬ですね。
——箇所や期間は違いますが、少し前に怪我をされていた北村友一騎手が勝利したことに感じる面はありませんでしたか。レース後に握手をされていましたね。
祝福はしたいと感じました。皐月賞あたりかな、ダービーへかけて、2、3度と会話をしていたんです。ダービー初勝利ですし、良かったと思います。
——目黒記念(G2)のホーエリートは惜しかったですね。
もう悔しかったですね。よく頑張ってくれています。非常に着実に力をつけて、状態も良かったのでね。どうにか、という思いでしたが、まだまだチャンスはありそうですから、どこかで重賞を勝てれば。
——ちなみにダービーや目黒記念の時に雨は残っていたんですか?
土曜の雨は残ってはいるけど、乾いていますね。もう内でいいかなという傾向でしたよ。今週もそうなるのかなとは感じていますが、レースを観つつ判断したいですね。
——クルミナーレは上位人気に推されていました。
返し馬では凄くいい感触でした。まだ緩さは残っていて、止め際などは怪しい歩様になりそうだったので…体調が良くなってくれれば。こんな走りではないと思います。
——レッドリベルタも惜しい着差でした。
この馬が走る感じの雰囲気で行ってくれたんですけどね。コーナーも手応え良くしっかり伸びてくれました。交わせるかなと思いましたが、残念です。
——ウェイワードアクトはブリンカーを着けて、距離延長でしたね。逃げる形になるとは驚きました。

先生ともハナに行っても良いんじゃないか、と話していました。ブリンカーなのか、体調なのか、スピードの乗りが良かったですね。最後止まってしまったのは失敗していますが、そこは乗り方でカバーできます。今後も1400m、1600mどちらでも対応できそうです。
——シャンパンマークは道悪の影響でしょうか。
う~ん、今回は息の重たさがありましたね。
——直接面識はないかと思いますが、今週は長嶋茂雄さんが亡くなられました。元野球部として感じたことはありますか。
選手時代は知らず、監督としてずっと観ていたのでね。自分が競馬の世界に入る前、野球を観ていた頃の監督というイメージでした。すごく感覚派なのが印象的だなと。日本のスーパーヒーローですから、ニュースには驚きました。
自分が勝った有馬記念(2014年)も競馬場に来られていたんですよね。ジェンティル(ドンナ)と同じ誕生日だったそうで、そんなエピソードも含めスターだなと思っています。
——そして、次週は楽天モバイルパークの交流戦で再び始球式ですね。
戸崎圭太騎手が通算2度目となる始球式に登板!
JRA福島競馬場&VIESTA仙台ナイター
6月12日(木)中日戦(18:00試合開始)17:58頃
場所 楽天モバイルパーク宮城
そうなんですよね。前回のリベンジをしたいです。
——今回は前回以上に練習もされたようで、楽しみですね。始球式から2日後は函館スプリントS(G3)のために北海道、日曜は阪神での騎乗。ただし、函館スプリントSは抽選に入るといいですが…当面、その他の遠征はなさそうですね。今週もありがとうございました!
ありがとうございました!
プロフィール
戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。2025年5月よりYoutubeチャンネルを開設。