'14~'16年とJRA最多勝利騎手&MVJに輝いた戸崎圭太騎手による、大井競馬在籍時代から続く
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11月25日時点1692勝
さあダノンデサイルとジャパンCへ!
2025/11/28(金)
今週をもって東京開催も最終週。そして、ジャパンカップにはダノンデサイルと挑む。戸崎騎手にとってJCは決して縁の深いレースだったとは言い難いが、年明け初戦のAJCCから海外でも手綱をとってきたダノンデサイルに騎乗する。有力馬の一角として臨む大一番、熱いご声援をお願いしたい。
ダノンデサイルは能力を引き出せるかのみ
——いよいよ今週はジャパンカップ(G1)、ダノンデサイルと挑まれますね。
戸崎:枠順は出ましたけど、出た枠でやるには変わりないことですが、理想を言えば競馬はしやすい内枠が良かったですね。
——1週前追い切りに乗りに行かれましたね。
戸崎:正直に言えば少し余裕がある印象でした。先導した2頭が誘導役で、直線を向いて並びかけかした。誘導役がかなり動けるそうで、先着はできませんでしたが、しっかり負荷は掛かったと思います。
そこからの変わり身がどうなのか、気になって、記事など見ていましたが、時計も良くて、スイッチが入ったかなと感じました。
——そのイギリスの際は現地に行かれた方の映像や写真を見ても、とにかくレース前からテンションが高かったですね。
戸崎:テンションは装鞍所から違っていたみたいですからね。返し馬でも違いました。それまではそういうことはなかったのですが、今回も同じようなことがないとは言い切れません。ただ、戦前にああなったとしても、レースで走れるパターンもありますからね。
イギリスの時はレースでも引っかかって盛り上がったというより、既に気持ちが抜けちゃったような感じでした。馬なので、その時によってメンタルは違うと思いますが、今回も引き続き先生や担当の厩務員さんも気を付けて仕上げてくれているので、そこは信じて乗りたいです。
——改めて、それ以前の気配はどうでしたか?
戸崎:一貫してコンディションそのものはしっかり仕上げていただいて、大きく変わりないと思います。ドバイも調教ではむしろ今回よりも重さを感じたんですよね。
それでレースであれだけ変わるのだから、余計に驚かされました。AJCCなんかは落ち着いていましたね。折り合い面で引っかかるわけではないので、あとは変に高ぶることがなければと思います。
——ある程度、流れに乗ることもありそうですか?
戸崎:スタートは上手なのでありそうですね。外枠なので、馬群がバラける方がいい場所に入れると思います。
——乗られていないレースでも凄い走りをしていますよね。
戸崎:特に日本ダービーなんかは突き放されましたからね。観ていて強さを感じさせられました。あの走りができた舞台なら力が入ります。
——イギリスの際は洋芝も合うとおっしゃってました。今度は勝っているとはいえ、東京コースになります。
戸崎:しかし、そのダービーであれだけの走りをしていますからね。幅広く適応できる素質があるんじゃないかと思います。
前も言いましたが、ボロをしながら走ったりするように、なかなかないエピソードのある馬ですね。それだけ余裕を持って走れているわけですし、この馬の能力を出し切れば引けはとらないと思います。
——そして、ジャパンCは戸崎さんも尊敬されるイチローさんがプレゼンターのようですが、JCのレース自体への思い入れはありますか。
戸崎:もちろん勝ちたいです!ただ、ジャパンCでは決して人気になるようなケースが多くはなかったんですよね。
ドウデュースは上位人気で素晴らしい実績のある馬でしたが、あくまで代打という立場。今年は自分がそれなりに乗ってきた馬で、人気で挑ませていただけます。今年はこれまでと違ったテンションでいます。
緊張というよりは、いい精神状態で過ごせています。JCは周りも注目するレースですからね。
——そして、土曜の騎乗馬から伺っていくと、ロイヤルスパイアやラプランセスはどうでしょうか。
戸崎:ロイヤルスパイアの前走は内に刺さるようなところがありました。なかなか芝では勝ち切れなかったのですが、ダートでいい方に向けば。適性があるんじゃないでしょうか。
ラプランセスは中山だとトリッキーだと走り切れなかったですね。外に張ったり、道中で競りかけられるところがありましたからね。改めて左回りに戻ることで、条件は良くなると思います。
——カゼノタカトシは昇級初戦です。
戸崎:前走はいい内容で勝ってくれました。競馬が上手なので、あとは距離も保てばやれるんじゃないかと思います。
——カトレアSのサトノボヤージュは再びコンビを組まれます。前走も非常に強い内容でしたね。
戸崎:期待しています。前走も他馬に乗っていましたが、強い内容でしたね。キャリアが浅い中で競馬も上手だと思います。距離は延びてきますが、クリアしてほしいです!
——ジャサルディアも昇級初戦となりますね。
戸崎:乗り味の良い馬で、前走もいい勝ち方で昇級しても通用しそうです。フットワーク的にはもっと距離があっても対応できそうですが、気性的にはマイルでもと感じます。
——日曜のアルファリラエは1週前追い切りに騎乗されましたね。
戸崎:血統的には短いところのようですが、トビもゆったりしていて、この距離からとなりました。現時点ではまずまずの仕上がりといったところでしょうか。
——パンジャも昇級となります。
戸崎:中山の方が走りやすいタイプだと思います。まずはこのクラスでも力をつけてくれればと思います。
落馬でヒヤリも…!?直後に勝利
——レース回顧も伺うと、兵庫ジュニアグランプリはラッキーキッドに騎乗されました。
戸崎:いいスタートを切ってくれたけど、内にモタれましたね。道中もモタれたり、外に張ったり…さらに他の馬もフラフラしていて、ゴチャつきました。3、4コーナーの勝負どころも進路を詰まるようなところもあり、なかなかスムーズな競馬が叶いませんでした。
条件も大きく変わって、まだまだキャリアも浅いですからね。それでも崩れなかったように、競馬になったことは収穫ですね。いい経験になったと思います。
——キョウキランブはモマれなければパフォーマンスを発揮できる馬ですが、それにしても、理想的な展開でしたね。
戸崎:戦前、スタッフからも長く脚を使う馬で、前走のような競馬が理想と聞いていました。そのイメージで乗りましたが、応える走りをみせてくれました。
——その戦前は落馬もありましたが…。
戸崎:首をむち打ち症みたいな感じになりましたが、続けて乗れたくらいだったので無事でした。
——フィンガーは相手が悪かったですね…。
戸崎:チャンスは十分だと思っていました。いい内容では走ってくれているのですが…1頭手強い馬がいましたね。
——サクセスカラーは手応え的には差し切れるのかと思ったのですが。
戸崎:外枠だったので組み立てが難しいなと感じていました。ポジショニングとしてはうまいところにハマれて、あとは伸びてくれるかと思いきや反応がなかったですね。ポジションとりにいった分、伸びなかったかもしれませんね。
——ウェイワードアクトはブリンカーを着けてからさらに上がっている感がありますね。
戸崎:そうですね。枠順は内でしたが、無難に外で運べればなんて思っていたところ、押し込まれて内々になってしまいました。少しの道を開けてくるような手応えで強い内容でしたね。押し込まれるとは言ったものの、こちらの馬が接触しにいっているくらいでしたので影響はなかったのですが。
それにしても、ブリンカーを着けてからスタートの出だしが全く違うのでね。効果はあると思いますよ。
——リスレジャンデールは楽な勝ちっぷりでしたね。
戸崎:とても強い走りでしたね。乗り味も良くて、最後もしっかりしていました。とにかく乗りやすいので、このまま行ってくれたらと感じます。距離はどちらかと言えば長めな方が向きそうですね。
——福島記念(G3)のクリスマスパレードはどうでしたか。
戸崎:近走ではスタートが出ていなくて、気を付けていました。ただ、うまく出てくれて、運びは楽になりましたね。追い切りでも乗り味はいいなと感じていたくらいで、実戦に行ってメリハリがない走り。
追ってからの反応がないあたりは、いい頃とは違うのかもしれませんね。おそらく結果は出ている時は体もグンと伸びていたように感じました。
——スナークピカソは上半期の走りを思えば物足りない結果が続きますね。
戸崎:前走からモタれるところがあったようなんです。となると、気性的に走れていないでしょうね。苦しくなってきてモタれていて、そんな雰囲気を感じました。
——シャンソンドールは負けて強しの内容と感じました。
戸崎:ちょっと我が強いところはありますが、うまくハナにいけました。ただ、競られたのが痛かったですね。厳しい展開になってしまいました。
——詳しくはJRA発表をご覧いただきたいですが、次の中山開催では、開催前日にトークショーがあったり、オリジナルカクテルも発売されるんですね。
戸崎:そうなんですよね。カクテルは自分も関わっていますが、飲みやすい味になっていると思います。
——そして、今週はジェンティルドンナがなくなるという残念なニュースもありましたが、既にコメントは発表されていらっしゃりますね。週末はいい結果を期待しております!
戸崎:ありがとうございます。
プロフィール

戸崎 圭太 - Keita Tosaki
1980年7月8日生まれ、栃木県出身。99年に大井競馬の香取和孝厩舎所属としてデビュー。初騎乗、初勝利を飾るなど若手時代から存在感を放っていたが、本格的に頭角を現したのは08年で306勝をマークし、初めて地方全国リーディング獲得した頃から。次第に中央競馬でのスポット参戦も増えていった。
11年には地方競馬在籍の身ながらも、安田記念を制して初のJRAG1勝ち。その名を全国に知らしめると、中央移籍の意向を表明し、JRA騎手試験を2度目の受験。自身3度目の挑戦で晴れて合格し、13年3月から中央入りを果たした。移籍2年目はジェンティルドンナで有馬記念を制す劇的な幕引きで初の中央リーディング(146勝)を獲得。16年も開催最終週までにもつれた争いを制し、3年連続のJRAリーディングに。史上初となる制裁点ゼロでのリーディングだった。19年にはJRA通算1000勝を達成、史上4人目のNARとのダブル1000勝となった。プライベートでは2022年より剣道道場・川崎真道館道場の総代表を務めている。2025年5月よりYoutubeチャンネルを開設。





