今週は下半期のダートの頂上決戦となるチャンピオンズC。今年はおそらく上位人気が想定されているナルカミと挑む。

しかし、ジョッキー自身はジャパンCのレース直後に落馬負傷。今週のレースに乗れるのか否か注目を集めたが、無事に騎乗が叶った。

他にも次走報などで競馬界を賑わせてくれたが、今週から始まる年内最後の開催も好結果を期待したい。

敗戦の中京で巻き返しを狙うナルカミ

——まず、ジャパンカップの後に落馬があり、担架で運ばれましたが、水曜のトレセンにも足を運ばれました。現在の具合はどうですか?

戸崎:大丈夫です!皆さまにはお騒がせしました。打撲でその時はやってしまったと思いましたが、日にち薬で良くなってきています。いまもケアをしてきました。

——直後は腫れと内出血がということでしたね。

戸崎:さすがに打撲なので、完調ではないですよ。ただ、腫れがあるだけで骨やじん帯に影響があるものじゃないのでね、乗れます。これが骨やじん帯にも影響をしていたら別問題でしょうが、幸いそういうことはなかったので。

今週は調教の騎乗は控えさせてもらい、治療に専念していました。大好きなお酒も一滴も飲まずにいました。やっぱりアルコールで炎症が出てしまうらしいので、飲みたいけど、我慢でしたね。葛藤はありますけど……(笑)。

しかし、体調を戻すには当たり前のことなので、そんなにストレスを感じることなくきています。心無しかお酒を抜いていることで、体調はいいですよ。

——競馬開催日前日は禁酒されているとはいえ、もともとはけっこう飲まれますよね(笑)。ダノンデサイルの話も気になるところですが、今週はチャンピオンズC(G1)ナルカミと挑まれます。

戸崎:厩舎サイドからも「いい状態で臨める」と聞いています。トレセンも会見に出るだけのために行ったので、追い切りも観てみましたが、動きは良かったですね。

——昨年から3歳ダート三冠が設立され、二冠馬がいたジャパンダートクラシックは圧勝でした。

戸崎:雰囲気が良かったですね。気性面の難しさはあって、向こう正面でもハロン棒の影を飛んだりしていますが、飛んだだけで、ちゃんと走れていましたから。

ペース的には速い流れでも、この馬のリズムと地力に任せた走りではありましたが、手応えよく運んで強い内容でしたね。

——陣営は左回りになる点を必ずしも歓迎しているわけではなさそうですね。

戸崎:中京で走って負けているので、全く気にはしていません。僕は当時乗っていたわけではありませんが、あの時のナルカミとは違うと思うんです。ドンと自信を持って臨みたいですね。

★

——チャンピオンズCは枠順も既に発表されました。

戸崎:まだモマれたことのない馬だけに、そうなった場合がどうなるか、ここは懸念していました。この枠ならそんなこともなさそうですね。

福島で勝った時も番手からですし、必ずしもハナにこだわる馬じゃないですからね。この枠は良かったと思います。

——万が一、出遅れたり、ペースが乱れてマクってくるような馬がいた場合じゃないと、モマれることはなさそうですね。この馬の戦法を思えば、そんなことがなさそうですね。

戸崎:そうですね。タイプ的にはそういうペースにもならないでしょうからね。

——デビュー戦で既に速い時計をマークしていたように、ポテンシャルは示していたわけですが、着実にパフォーマンスを上げていますね。

戸崎:中山で初めて乗せていただいた時は物足りなさもあったのですが、そこからガラッと変わりましたからね。でも、まだまだ成長は見込めますね。まだ完成しているわけではないですね。

——気性面の不安に配慮しつつ、さらなる成長曲線に乗せていけるといいですね。

戸崎:気性に関しては、気持ちを害さないよう努めていきたいですが、フットワークとしては距離が延びてもこなせますし、東京の1600mでもイメージは湧きますからね。

★

——馬場状態はある程度、イメージはつきます。あとは中央の砂の質や中京のコース形態を含め、気になるところはりますか。

戸崎:勝負事なので、さすがにやってみないとわからない面はありますが、特に気にならないですよ。

強いていえば、ここ2戦は地方交流でした。JRAのフルゲートになると、他馬の「圧」や現場の雰囲気の差もあるので、その辺りの差でしょうか。

——田中博康厩舎、ゴドルフィンということで、レモンポップと共通する面もありますね。

戸崎:レモンポップとはタイプは違いますが、ここまでのパフォーマンスで高いものを示しているので、先々も今回も期待しています!

——改めて土曜の騎乗馬ではビップムーランは続けて騎乗されます。

戸崎:中山でも走っていますし、自分の形であれば着実ですね。あとはメンバー次第でしょうか。

——葉牡丹賞のポルフュロゲネトスはどうでしょうか。

戸崎:前走は馬もしっかりして変わってきて、いい内容で走ってくれました。さらに成長してほしいところはありますし、昇級して現状でどこまで戦えるか、頑張ってほしいです。

——ステイヤーズS(G2)ホーエリートも重賞タイトルが待たれるところです。

戸崎:距離が相当長くなりますので、そこが焦点ですね。とはいえ、それはどの馬も同じことですからね。やってみないとわからないですが、凄く乗りやすいですし、タフさも感じるので。悪い方には捉えてはいません。

東京より中山の方が条件はいい馬ですからね。改めて惜しいところまで来ているので、重賞制覇を狙いたいです。

ジャパンCはリベンジされたものの、次戦へ光明

——そして、先週はジャパンカップのレース後に落馬のアクシデントがありました。

戸崎:落ちるだけなら良かったんですよね。それが転倒して、ラチの支柱に膝からいってしまったんですよね。

——大事に至らなかったのは何よりでした。詳しくはまた別の場所で語られると思います。そして、JCは一度負かしたカランダカンに敗れての3着でした。

本来の力を発揮していないとは言えないとは思いますし、健闘しているとも思います。ただ、イギリスであれだけ気性の難しさを露呈したことを思えば、決して悪い結果ではないと感じました。

★

戸崎:イギリスでテンションが高かったので、そこは気になるところでした。どうかなと言う心配がありつつ「我慢はしてくれていた」という印象です。

——これだけ寒くなってきたのに発汗していたりと。

戸崎:そうなんですよね。すごく落ち着きがあったわけではないので、我慢はしてくれていた、という言い方が適切なのかなと。スタッフの方々もしっかりやってきてくれての出走ですし、走ることに影響するほどではなかったですからね。

——ダノンデサイルの場合、走りたがるというよりは、気持ちが上がってしまうという感じですか。

戸崎:走る気持ちの方はあるんでしょうけど、舞い上がってしまう感じですね。余計なことを感じ過ぎてしまう。そこで集中力を欠いてしまったり。

——ただ、傾向で言えば使っていわゆる「ガス抜き」ができた方がいいですか。

戸崎:そう思います。落ち着きが出る可能性を感じています。

——今回は道中の力みやコーナーで寄られている面がなければ……ですね。

戸崎:道中の力みについては、テンションが影響しているのか、1、2コーナー、向こう正面ではリラックスしてなかったですね。

ポジション的にはシチュエーションとしても思っていた通りでいいところでした。その中で折り合いがつけば最高だったんですよね。あとはコーナーも厳しい形になりましたね。

——そして、有馬記念も騎乗することが明らかになりました。

戸崎:ドバイの走り、勝ち方はすごくいいものを感じています。また、あの走りを感じたいです。見せることができれば…。そう思っています。

——次も楽しみですね。他のレースではボウウィンドウはどうでしたか。

戸崎:まだ線が細くて、成長段階でしょうか。レースは上手な印象でした。相手も自分は乗せてもらっていて、いい馬だとは思っていましたからね。

——ジャサルディアはどうでしたか。

戸崎:この馬もテンションは怪しい感じでした。我慢はきいていたけれど、ゲートで一度、突進気味で頭をぶつけて血だらけになってしまうほど。そこで気持ちは切れてしまっていました。それで、スタートはうまくいかなかったですね。

折り合いはついて、しっかり伸びてきてくれていたのですが…、気をつけるところはあるものの、改めて能力はあると感じました。

——そして、サトノボヤージュは連勝を伸ばしましたね。

戸崎:勝たせてもらった時よりシャープになって、いい感じに成長してきていますね。レースはどこからでも競馬ができる形。折り合いもついて、道中、最後の反応も良かったのでしっかり勝つことができました。幅が広がる内容でしたよ。

まだ次戦はどうなるかわかりませんが、違った条件も対応できそうな可能性を感じました。

——ロイヤルスパイアはどうでしたか。

戸崎:前半から一生懸命さが出ていました。これなら距離は短くてもいいかなという雰囲気でしたね。ダートの走りは悪くなかったですね。

——そして、このコラムが公開される頃には終わっているかもしれませんが、12月5日(金)に中山競馬場で横山武史騎手とトークショーが行われますね!トークショーの模様はYouTubeでも配信されるようなので必見ですね。

また、この中山開催は戸崎さんプロデュース「圭太のベリベリベリー」というカクテル(ノンアルコールもあり)が中山競馬場で期間限定発売されるそうです。詳しくは、JRA公式HPをチェックしてください!

そして、ホープフルS(G1)ラヴェニューに騎乗。次週のカペラS(G3)クロジシジョーに騎乗されますね。まずは無事に、ではありますが、今週は好結果を期待しております。

戸崎:ありがとうございます!