既にコンビ初戦を終えたばかりのハクサンムーンに加え、天皇賞(秋)ではジェンティルドンナに騎乗するなど、大舞台での騎乗依頼が際立ってきた戸崎圭太騎手。そして、3歳牝馬路線では引き続きサングレアルとのコンビで参戦。秋華賞ではオークスのリベンジが期待される。良血馬の再起に期待が集まるローズSへ向けて、その心境に迫ってみた。

走る小柄な馬に共通するポイント

戸崎圭太

－：ローズS(G2)のサングレアル(牝3、栗東・松田博厩舎)はオークスに続いてのコンビです。前回は7着という結果でしたが、その印象から改めて伺いたいところです。

戸崎圭太騎手：オークスはフローラSで強い競馬をしてからの中3週だったので、その負担、輸送の影響はあったのかな、という気はしました。それでも、返し馬での雰囲気はやっぱり走る馬のそれでしたね。

－：その雰囲気を言い表すと、どんな表現が当てはまりますか？

圭太：う～ん……、体で感じています。何て言えば良いのですかねぇ。拳で伝わってくるものと、背中で感じるもの、あとはオーラ……。人もオーラがあると、すれ違い際に“オッ”というような、そんなものですか。

戸崎騎手マネージャー：分かりやすく言うと、ワンピースで言うと覇王色の覇気みたいな(笑)。

圭太：バーッと人がいる中で、どこか1人だけ貫録を漂わせるというか、そういうものじゃないですか。

マネ：キャンターをしたら安心できるというか、不安を払拭してくれるような。重心は抜群だろうし、落ち着いて乗れるなというムードが伝わってくるよね。

圭太：そういうのはあるよね。走りでいえば、体は小さいですが、全身を使って走る、バネがあるタイプですかね。


「あの時季の重賞を通算3戦目で勝てるということは、素質の高さの現れでしょう」


－：最近では小柄でも活躍する馬は多くなってきている気がします。どう考えても、どんなスポーツでも基本的に体が大きい方が有利じゃないですか。それでいて今、小柄な馬が成績を残しているということは凄いことですよね。それらの馬はそんな通ずるモノがあるのでしょうか？

圭太：日本の競馬だからっていうのもあるんじゃないのかな。スピード競馬ですからね。

－：それはあるでしょうね。

圭太：まあ、小さくても、走る馬というのは全身を使って走りますよね。体を使って走るというか。

－：そのロスが少ないというか？

圭太：レッドリヴェールなんかもそうですもんね。小さいという感じがしないです。

－：あれでいて、札幌2歳Sのあんな馬場をこなしていた訳ですもんね。

圭太：そうですね。精神力は強いですね。男馬で小さくて良い馬はあんまりいないのではないですか？だから、女の子の方が精神的に強いのでしょうね、僕は大好きです。

マネ：気の強い女の子？

圭太：うん。小柄で気の強いタイプの女の子。「(人じゃなくて)馬ね。女馬」。

－：語弊がありますね(笑)？

圭太：大好きですね(笑)。「分かった、分かった、ヨシヨシ」という感じで。自分自身でも相性は良い気がしていますよ。地方時代からもそういう意識はありました。

－：その上でサングレアル自体の精神面というのはいかがですか？

圭太：いやあ、強いでしょう。フローラSもキャリア3戦目でしょ？あの時季の重賞を通算3戦目で勝てるということは、素質の高さの現れでしょう。

戸崎圭太

期待の秋へ向けて、好発進を

－：改めて振り返ると、前回の敗因は体が減っていたことや、ローテーションということですね。

圭太：僕はそう思いますね。

－：今回は休み明けでリフレッシュ出来ているでしょうし、輸送も短いので、なおかつ負担も少ない一戦。良い条件が揃っていると思います。

圭太：ええ、楽しみですね。僕も期待しています。

－：先の話でいえば、秋華賞は京都の内回りのコースでのレースになります。そこに対応出来そうな感触はありますか？

圭太：器用さはあるんじゃないですかね。そういった面では、小柄な部分を活かして走ると思いますね。

－：ハープスターがいない分、厩舎としても秋華賞にかける期待が大きくなる気もします。

圭太：そうですね。また、有力馬に乗れるというのは良いですよね。ワクワク感が。


「サングレアルはオークスで乗せてもらって、秋に更に良くなってくるんじゃないか、という感触もあったのでね」


－：他に癖があるポイントはなかったですか？

圭太：う～ん、特にはなかったですね。先生(松田博資調教師)も「そんなに乗り難しさもないし、思い切って乗って来い」とレース前には言ってくれていたので。

－：そもそも松田博先生は具体的な指示を出さない方でしょうか？

圭太：そうですね。凄く競馬を知っているというか、しっかり信用して乗せてくれているというのはあるかもしれませんね。

－：それでも、ゲートは課題という印象があります。

圭太：う～ん、出は良くないかもしれませんね。ただ、出れば良いというものじゃありませんから。そんなに不安はないです。

－：ヌーヴォレコルトなども出走しますが、サングレアルにも再び評価が高まるはずです。レースへ向けての展望を語ってください。

圭太：サングレアルはオークスで乗せてもらって、秋に更に良くなってくるんじゃないか、という感触もあったのでね。楽しみにしていた馬ですし、これだけの血統馬。お姉ちゃん(ブエナビスタ)に負けないレースになればと思っています。

リーディング争いにも意識

－：この後、秋競馬が始まるので、秋へ向けての意気込みもお聞かせください。

圭太：またG1も始まりますし、有力馬にも乗ると思いますからね……。

－：今の時点でも、かなり良い馬が集まっていますね。(その後、ジェンティルドンナへの騎乗も発表)

圭太：まあ、その予定が変わらなければ、賑わせられるというか、楽しみなG1ばかりなのでね。G1にも限らず、他のレースもですが、良い季節になりますし、頑張りたいと思います。

－：新潟が続くことに関して、何かモチベーションの変化はないですか？

圭太：モチベーションのようなものは(同じ場所での競馬が続く)地方競馬で慣れているので、そんなにはありません。ただ、移動が大変ですね。それに、中山も攻略がある程度出来てきた部分もあったので、中山があってくれても良かったのですが。ただし、新潟コースも嫌いじゃないのでね。広いコースですし、外回りだと直線も長くて、ジックリと乗れて、仕掛けどころも面白いですからね。本当に良い馬に乗せていただいているので、このままリーディング争いも順調に行けるように頑張りたいですしね。変わらず頑張って行きたいと思います。

戸崎圭太

－：やっぱり新潟というのは広いコースではあるものの、ある程度、位置取りも重要ですか？新潟2歳Sのナヴィオンを見ていると、やっぱりあれ程の時計の決着で、あれだけ後ろから行ってると、幾ら33秒4を使っても画面にも映らない状態になってしまいましたからね。

圭太：う～ん、そうですね。坂がない分ね。でも、あの馬の前回と今回が、どんな差か分からないですが。ただ、それほど外回りだったら、そんなに関係ないと思いますね。本当に前残りになる時もありますし。その馬のリズムは崩さない方が良いとは思います。

－：そして、スプリンターズSの行われる新潟の1200m戦は、施工条件の少ないコースです。

圭太：やらないですよね。内回りだと、やっぱりある程度の位置には付けておいた方が良い気がますね。あと、1000mが面白い。好きですね。そして、ダートは本当に前残りが多い気がします。砂も軽くて、坂もありませんから。

－：新潟のダートはもう少しコースを改善して欲しいと思いますね。

圭太：うん、そうですね。ちょっと、あんまり乗りがいがないというか、競馬を組み立てるのに面白さがないかもしれないですね。雨が降っちゃうと余計にね。

－：経験数の少なかった新潟も今夏で更に手応えがつかめるかもしれませんね。次回のお話はG1の話題も入ってくると思いますが、引き続きよろしくお願い致します。

圭太：ハイ！よろしくお願い致します。G1でも頑張ります。