外枠有利の新潟直線1000mで最内枠から内ラチ沿いを通って勝利するなど、その大胆な騎乗に注目度が
日増しにアップしている永島まなみ騎手が、騎乗論から日常まで余すことなく語りつくします!
2024年スタート!大活躍の開催最終日のウラ話と大晦日の負けられない戦い!
2024/1/5(金)
2024年、スタート。新年最初の今回は大暴れの年末、そして好スタートを切りたい3日間開催の展望、そして大晦日の思い出や師弟で掴んだ50勝の裏話など盛りだくさんでお届けします!2024年も永島まなみ騎手コラム、"まなみの学び"をよろしくお願いいたします。
2023年ラストウィークは師弟コンビでJRA年間50勝到達!
——あけましておめでとうございます、と言いたいところですが、諸般の事情を鑑みまして、省略させていただきます。まなみ騎手、今年もよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします!そしてこの場をお借りして、地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。少しでも被害が軽微であることを祈っております。
——今年も金沢競馬で騎乗されることがありそうですし、現地のファンの皆さんの前でのご活躍にも期待しています。
そうですね、頑張ります!
——さて、今年の話を始める前に、昨年最後の開催日となった12月28日は阪神競馬場で大暴れ、2勝を挙げてJRA年間50勝到達、おめでとうございます!
ありがとうございます!最後に2つ勝たせていただきました。
——まずは1R・2歳未勝利のクロダブシから伺います。道中中団追走から外に持ち出されると、直線豪快に差し切り勝ちを決められました。
スタートは速かったのですが、内枠で外の速い馬たちが前に行った分砂を被り、馬がビックリして行きっぷりが良くなく、道中踏みながら踏みながらの追走になりました。
ただ最後に砂を被らないところに出したら伸びてきそうな感触があり、砂を被らないところに出したら凄くいい脚で伸びてくれました。初めてのダートが噛み合ってくれた感じです。
ジリジリとギアが上がっていく感じで、坂を上がり切ってからもうひと脚使ってくれて、最後も余力がありましたね。砂を被るところに慣れてくれればいいかなと思います。
——2023年ラスト騎乗だった10R・フォーチュンCは自厩舎のカネフラに騎乗され、大外から豪快な差し切り勝ち。年内最後の騎乗で特別勝ちとインパクトのある結果を残されましたね。
そうですね、年内最後、自厩舎の馬で勝たせていただけたことがすごく嬉しかったです。カネフラも半年ぶりだった中で最後までしっかり頑張ってくれて、馬にも感謝しています。
——3コーナーで6着馬のスマートファントムに一度交わされてからの動き出しでしたが、これはあえてスマートファントムを行かせる形を取ったのでしょうか?
3コーナーで気持ち動こうと思ったのですが、カネフラも半年ぶりの影響かすんなり反応しきれないところがあったんです。そこに大河(スマートファントムに騎乗した角田大河騎手)が外から動いてきて、カネフラのリズムを崩すより大河を行かせようという判断をしました。
——何より自厩舎・高橋康之先生の管理馬で年間50勝、まなみ騎手にとって嬉しい1勝になりましたね。
師匠・高橋康之師(左)と掴んだ年間50勝目
本当に、すごく嬉しかったです。ちょうど高橋厩舎も年内最後のレースだったので、先生からも「最後お互いいい形で締めくくれて良かった」とおっしゃっていただきました。
——こちらのレースについては、ファンの方から質問もいただいたので後ほどまた触れさせていただきます。
2024年開幕!3日間開催は京都で15鞍に騎乗
——今週の騎乗馬についてお聞きする前に、2024年の目標から伺えればと思います。
まずは昨年の成績(JRA50勝、地方12勝)を上回りたいと思っています。ただ具体的な数字を立てるのではなく、目の前の1つ1つを積み重ねていけるよう頑張りたいと思います。
——新年最初の3日間開催は京都で計15鞍を予定されています。今回も実戦、調教で騎乗経験のある馬を中心にお聞きします。土曜の3頭は初騎乗ですので、日曜の1R・3歳未勝利のジョーインテビットは前走阪神でまなみ騎手が騎乗され、先行策から2着でした。
前走乗せていただいたのですが、馬場入りをゴネたりと、ゲートに入る前までに幼いところがありました。競馬に行けば少し掛かるところがあるくらい真面目に入ってくれましたし、最後追い出してからワンペース気味な馬なので、前走のように前前で運ぶのが理想的です。
——2R・3歳新馬のカンカールは調教に乗られていますね。兄ペイシャモンシェリがダートの短距離馬でしたが、こちらはダートの中距離デビューとなります。
先週Cコースで乗せていただきましたが、牝馬らしいチャカチャカするところがあり、非力なところもあるのでその部分は使いつつの印象もあります。ただ前向きさのある気性は新馬向きだと思います。走り出してからの折り合いは問題なさそうですし、新馬は1800がいいのかなと感じています。
——3R・3歳未勝利はクリノキングマンと挑まれます。楽しみな一戦ですね。
前走は最後の最後で他の馬に交わされた際に、耳を絞ったりするところがありました。スタッフさんがこの中間ずっと併せ馬をしてくださり、今週の追い切りに乗った際はまだ少し他の馬を気にするところがありましたが、成長してくれていると思います。
新馬は上手に立ち回ってくれましたし、一度レースを経験したのはいいほうに出そうです。前前で揉まれない形が理想ですね。
——新馬以来2戦ぶりの騎乗となる5R・3歳未勝利のレイムは距離延長となります。
先生(高橋康之師)が毎回乗ってくださって、フォームも良くなったとおっしゃっていました。普段調教は前向きに走ってくれるのですが、実戦だと後方からのポジションになりやすいところがあるんです。距離延長分、少しでも前のポジションを取れればと思います。
——12R・4歳上2勝クラスのビッグボーンリタはこのコラムでお馴染みの存在です。京都替わりはプラスでしょうか?
福島で勝っていますし、阪神や中京のような広いコースより京都のほうが良さそうです。昇級戦の前走も最後追い出しのタイミングがなく、直線だけの競馬になってしまったのですが、それでもメドの立つ競馬をしてくれましたし、今回は減量もあるので楽しみです。
——月曜の4R・3歳1勝クラスには、先週まなみ騎手が騎乗し3着だったハリウッドパークが登場します。
ズブいところのある大きな子なので、窮屈なところに入ってしまうと上手くギアが上げられない馬なのですが、前走は私の1、2コーナーのポジション取りが悪く、3、4コーナーで後手後手に回ってしまいました。
直線はすごくいい脚を使ってくれましたし、ハリウッドパークのリズムを崩さないようなポジションでレースを運びたいです。
——7R・4歳上1勝クラスのベファーナは前走に続き2度目の騎乗となりますね。
競馬になるとハミを噛むところがあり力んでしまいますが、最後はジリジリ脚を使ってくれましたし、道中どれだけ体力を消耗させずに折り合いをつけられるかが大事だと思います。そこに重点を置いて乗りたいです。
——8R・4歳上1勝クラスのトーホウキザンは何度もまなみ騎手が騎乗されている馬です。距離短縮がプラスに働きそうでしょうか。
キザンはゲートだけが…。縛ってもレースに行くと潜ったり落ち着かないことがあるんです。コース形態は合っていると思いますし、ガツンと噛むところもあるので1400mが一番合いそうです。スタートを上手く決めたいです。
——9R・蹴上特別のモズブーナーは今週の最終追い切りにまなみ騎手が騎乗されましたが、併せ馬相手に2秒先着というなかなか見ないタイム差でした。
併せ馬だったのですが、併せた相手が最後なかなか動ききれず、この馬だけサッと脚を伸ばす形でした。走るまではゴネるところはありましたが、走り出してからは真面目に走ってくれました。レースでも馬の気分を害さないように運べればと思います。
愛犬と過ごす充実の大晦日!そして50勝到達時の裏話とは…
——さて、改めて2024年もよろしくお願いいたします。元日のスポニチさんでは煮込みハンバーグを作っている姿が大きく取り上げられていました。
ハハハ、前代未聞ですよね(笑)。
——年末年始は実家に一泊二日される予定だと前回おっしゃっていましたが、いい大晦日になりましたか?
そうですね、実家で久々にコロンと一緒にまったりして、楽しく過ごせました!
コラムでお馴染み、愛犬の永島コロンくん
——三姉妹揃うことでチャンネルの取り合いが発生するとのことでした。永島家が平和に年を越したか若干心配だったのですが…。
今年は穏便に終わりました(笑)。今年は姉が大晦日にいなくて、私と妹と母と祖父母で年を越しました。いつもおじいちゃんがアメリカなど海外の映画を観ているのですが、今年はその映画をテレビで流しながら家族でおしゃべりしていましたね。いつもは紅白を流したりするものの、普段と変わらない楽しい一日でした。
——永島家のお正月はおせちなどが出るのでしょうか?
毎年おばあちゃんが手作りでおせちを作ってくれるんです!これがめちゃくちゃ美味しいんです。最高です。
——ちなみに大晦日、何か印象的な出来事はありましたか?
なかなか外にも出ませんでしたからね…。あ、大晦日に妹とすごく久々にゲームセンターに行きました!大晦日に2時間ほどショッピングセンターに行ったのですが、そこで私、馬のぬいぐるみを2つ取ってきました!
——あのクレーンゲームのプライズですね。
そうです、レッツゴードンキを取りたくて…。私が初めて目の前で見たG1(15年桜花賞)を勝った好きな馬なので。
永島まなみ厩舎に加わったレッツゴードンキ
現在の"まなみコレクション"たち
妹は昔からゲームが上手いのですが、私はあまりしないのでクレーンゲームが苦手で…。妹と一緒に燃えて、取れるまでクレーンゲームと戦ってきました(笑)。やったら取れないと気が済まないので、レッツゴードンキに2000円くらい使っちゃいました…大晦日、遊んじゃいました!(笑)
——1泊とはいえ愛犬のコロンくんと過ごせたのは大きなリフレッシュになりそうですね。
めちゃくちゃ幸せでした…!ずっとくっついていてくれて、1月1日も起きたら私の上で寝てました(笑)。コロンが重くて起きました…。
——そんなまなみ騎手にファンの皆さんから質問が届いております。ペンネーム・なとかりさんから「今年最後のレースで勝利するなんて持ってますね!しかも2度目の特別レース勝利で50勝目とは…。来年凄いことが起こるんじゃないかと思わずにはいられません!」というメッセージを頂きました。
ありがとうございます!
——そんななとかりさんから2つ質問をいただいています。まず1つ目。「カネフラで勝ったフォーチュンCで、ゴールする時に左腕を下げていましたが、あれはカネフラが頭を上げないようにするためですか?」というご質問です。ファンの皆さん、細かいところを見ていらっしゃいますね…。確かに気になりました。
そうですね、(西村)淳也さんと最後並んでいたので、なるべく頭を下げたいと思っていたんです。ただ何回もレースを見返しましたが、私の理想としている追い方がまったくできていなくて、カネフラの力で勝たせてもらったレースだなと思います。
——あれはまなみ騎手が理想とするフォームではないのですね。
そうですね。全然まだまだだなと思います。カネフラの手応えも良くて勝てそうだったので、最後私もいっぱいいっぱいになってしまったところがあると感じています。
——大接戦になった際、ジョッキーの皆さんはどちらが勝ったか分かるのでしょうか?
今回はゴールした時に分かりました。届いたなと思った時に、淳也さんから「おめでとう!」と言っていただいて、ああ勝てたんだと改めて思いました(笑)。
——なとかりさんのもう1つの質問を伺います。「ゴール板を通り過ぎた後、2着だった西村ジョッキーから声を掛けられていましたが、なんといわれたのでしょう?反応的にはおめでとうと言われているように思えたのですが…」とのことです。
ちょうどテレビに映っていたのですが、ゴールした直後に淳也さんが「おめでとう!」と言ってくださって、その後馬を止めて帰ってくるところで淳也さんに「まなみの圧にビビッて負けたわ~」と笑いながら褒めてくれて、祝ってくれました(笑)
——直線はファンの歓声も凄そうですが、その中で他のジョッキーの方の声は聞こえるものなのですね。
聞こえますね。前で走っていても、後ろでゴチャついている時の「ワー!」という声も聞こえます。
——レース中などもよくジョッキーの皆さんはお互い声かけしていると聞きますが、中には直線叫びながら追っている方などもいらっしゃるのでしょうか。
中にはいます(笑)。みんなではないですが、結構出している人はいますね。接戦の時に「うぉわぁ!」と言いながら追っている人もいます。
——まなみ騎手も結構声を出すほう…?
レース中はあまり声を出さないですが、ゲートの中ではよく馬に向けてしゃべってます(笑)。最後の馬がゲートに入るまで、馬に「大丈夫だよ~」とか、「あともうちょっとだよ~」としゃべりかけますね。
馬に話しかけると私も変に力まないと言いますか、落ち着いて挑めるところもあるんです。ゲートの中はよくしゃべりますね。
——だと今週末はトーホウキザンにいっぱいしゃべりかけないといけませんね…。
パワーが凄くてしゃべりかける余裕がないくらい潜ろうとしてくるので、頑張ってしゃべりかけようと思います(笑)。賢い子なので頑張ります。
——さて、最後になりますが、楽しみなニュースが入ってきました。シルクロードS(1月28日、京都芝1200m)で、自厩舎の"トゥラヴェくん"こと、トゥラヴェスーラとコンビを結成することが発表されましたね!
ありがとうございます!すごく楽しみです!カネフラのフォーチュンCのレースの後にお話をいただきました。
厩舎でリラックスするトゥラヴェスーラ
——トゥラヴェくんは以前追い切りに騎乗された際に絶賛されていたのが記憶に新しいです。
短い距離の重賞で好走している馬はこれくらいの沈み方をするんだと感じさせてもらった馬で、私にとってすごくいい"先生"です。先生と重賞に挑めるのが楽しみです!
——更なる飛躍を目指す2024年、ファンの皆さんにメッセージをお願いいたします。
昨年は取りこぼしが多いと思っていて、自分の中で課題にしていたところです。今年は細かい技術を磨いて、昨年より成績を上げられるように一生懸命頑張りたいと思っていますので、応援よろしくお願いします!
いつも永島まなみ騎手コラム"まなみの学び"をご覧いただきありがとうございます!コラム開始4カ月、ここまでまなみ騎手に色々な質問に答えていただきました。
"ファンの皆様と共に歩む"コラムとして、これからもファンの皆様の質問を幅広く頂戴し、ご本人に聞いていこうと思っております。
競馬に関すること、そして日常生活について、永島まなみ騎手にこれだけは聞いてみたい!ということをぜひご応募ください。頂いたご質問、メッセージは上記のようにご本人に届けさせていただきます。
すべてのご応募はメールにて受け付けております。メールの件名に「まなみ騎手へ」、本文にお名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまでご質問をお願いいたします。皆様ぜひご投稿よろしくお願いします!
manami_nagashima@keibalab.jp
プロフィール
永島 まなみ - Manami Nagashima
2002年10月27日生まれ、兵庫県出身。
父は兵庫競馬で数多くの重賞を制した永島太郎元騎手(現調教師)。父の背中を見てジョッキーを志し、幼少期から乗馬を始め、2018年に競馬学校騎手課程37期生として入学。2021年にジョッキーデビュー。
同年3月14日中京2Rでアクイールに騎乗し初勝利を挙げると、1年目はJRA7勝を挙げる。そして2年目の22年に3倍となるJRA21勝を挙げ躍進。外枠有利が定説の新潟直線1000mで、セルレアを内ラチ沿いから勝利に導くなど大胆な騎乗も多く、ファンを魅了する騎乗に注目が集まっている。趣味は映画、ドラマ鑑賞、料理。好きな言葉は「一生懸命」。常に上を目指す期待のアスリート。