外枠有利の新潟直線1000mで最内枠から内ラチ沿いを通って勝利するなど、その大胆な騎乗に注目度が
日増しにアップしている永島まなみ騎手が、騎乗論から日常まで余すことなく語りつくします!
初の東京で見事勝利し勢いに乗り越後路へ!初東京のウラ側と返し馬の学び
2024/5/3(金)
話題となった先週の東京競馬場初騎乗。見事最終レースを勝利し今年14勝目を挙げたまなみ騎手。今週は新潟で更なる勝ち星量産の期待が高まります。東京競馬場初騎乗のウラ話、知られざる返し馬のウラ側など、今週も盛りだくさんでお届けします!
エピックジョイで今年14勝目!初東京でしっかり足跡を残す
——注目を集めた東京競馬場初騎乗デーの先週日曜、早速12R・4歳上2勝クラスをエピックジョイで優勝おめでとうございます!
ありがとうございます!
——今年14勝目となったこの勝利を振り返りたいのですが、内枠から好スタートを決められると、道中インの好位で脚を溜められ、直線スムーズに抜け出す完璧な内容でしたね。
レース前に、前走騎乗されていた横山武史さんにアドバイスを受けていたんですが、馬自身がスタートをしっかり決めてくれて、道中もしっかり我慢してくれて、馬の力で勝たせていただいたレースだったと思います。
——横山武史騎手からはどんなお話を伺っていたのでしょうか。
そうですね、「返し馬やレースで行きっぷりがいいと思うし、ゲートを出てからの二の脚が速い馬で、1400mなら折り合いも楽になると思うよ」と、事細かに教えていただいていました。おかげで自信を持ってレースに挑めました。
——私からだけ聞くのはもったいないので、ファンの方にも聞いてもらうことにします。ペンネーム・ソトワクノカズオさんからのご質問です。「最終レースでのエピックジョイの騎乗、目の前で見ていましたが本当に痺れました、おめでとうございました!レース運びは自分が思い描いていたイメージ通りに運べたのか、もし良ければお聞きしたいです」とのことです。
応援ありがとうございます!以前戸崎さんが乗られていた過去のレースも見ていたのですが、枠が出た時に内枠でしたし、なるべくロスなく回ろうと思っていました。他に行く馬がいたらその後ろにつけて、直線が長い競馬場なので追い出しを待つイメージでしたね。
力のある馬だと思っていたのであとはスムーズに進路を見つけてあげられればと考えていましたが、イメージ通りに運べましたし、馬がしっかり応えてくれました!
——1勝クラスを1800mで勝った馬ですが、現状は1400mくらいがちょうどいいのでしょうか?
そうですね、武史さんがマイルで乗った時は少しハミを噛んだとのことですが、1400mだと力むようなところもそこまで見られず、いい形で脚を溜めて運べたのでこのくらいの距離がちょうどいいと思います。
——上のクラスでも楽しみになる勝ちっぷりでしたね。
本当に強い内容で勝ち切ってくれましたし、上のクラスでも楽しみな子です。
——そういえばこのレースではスマイルアップの長浜鴻緒騎手の右のアブミがスタート直後に脱げ、4コーナーで落馬というアクシデントが発生しました。こちら、見た目でこれだけ怖いのですから乗っている側は大変そうですね…。
ゲートで躓いた時や変な体勢で出た際にアブミが脱げる時がたまにあるのですが、本当に怖いです…。私も何度か経験があって、ゲートの中でウルさい馬に対してこれ以上暴れないようにしていたら変な体勢でゲートを出てしまい、アブミが脱げたこともあります。
スタートした後にスパっと履ければいいんですが、今回の長浜くんのようにアブミが前に流れていってしまうとなかなか履くことが難しいんです…。
——話を戻しまして、その一つ前のレースである11R・スイートピーSのモアニは残念ながら10着でしたが、こちらは距離の影響もあるのでしょうか?
そうですね、今の現状だと1800mより1600mのほうがいいかもしれません。小回りの1800mなら対応してくれそうな雰囲気はありましたし、今後距離を延ばすことも考えて、スタートは出てくれたものの脚を溜める形を取りました。モアニ自身脚は使ってくれていますが、最後しんどくなってしまいましたね。
——随分ハイペースだっただけに道中7番手はちょうどいいように思いましたが…。
そうですね、折り合いも問題なくしっかり我慢してくれていましたし、レースにはうまく対応してくれていたと思います!
——先週土曜日の新潟競馬では惜しくも白星には手が届かなかったものの、見せ場十分のレースもありました。2R・3歳未勝利のダイシンサンディーは3番手から伸び、勝ち馬からアタマ差の2着。惜しい内容でしたね。
本当に惜しかったです…。少しズブいとお聞きしていたのですがまったくそんなところもなく、道中しっかりハミを取ってくれて、直線でも勝てるかなと思うくらい脚を使ってくれました。
——これまでとは一転、先行策での一変となりましたが、先行策はまなみ騎手のイメージにあったのでしょうか?
少しズブく追ってキレるタイプではないと事前に聞いていたので、それなら上手くスタートを出してポジションを取りたいと思っていました。イメージ通りの競馬はできました。
——土曜日は他にも新潟7R・4歳上1勝クラスのキレナイカで3着に入っていますが、1000m通過65.1、なかなかのスローペースでしたね…。
キレナイ馬なんで、ペースが遅い分もう少し早く動けば良かったです。脚は使ってくれているのですが…。ワンペース気味のところがあるので、前前で運ぶ形がベストだと思います。
今週は新潟で計15鞍に騎乗!更に勝ち星上積みへ
——今週は新潟で、土曜6鞍、日曜9鞍の計15鞍に騎乗予定です。いつものように調教、実戦で騎乗経験がある馬を中心に伺います。まずは土曜、新潟5R・3歳未勝利のグレースアイリスは2月の小倉以来、2度目の騎乗となります。
ちょっとテンションが高く、牝馬らしい性格をしている子です。前走も私がもっとスムーズに競馬できていれば結果は変わったと思います。センスはある子だと思っていて、もう一度乗せていただけるということでしっかり結果を出せるよう頑張りたいです。
——6R・3歳未勝利のベッティーナは2走ぶりの騎乗です。当時と違い今回は芝2000mでの騎乗となりますね。
乗せていただいた時は追走に手いっぱいだったので、池上先生に「距離を延ばしてみたらいかがでしょうか」という話をさせていただきました。距離を延長した前走に騎乗した永野くんも「結構ハミをとってくれた」と言っていましたし、以前乗せていただいた時よりいいポジションで運べればと思います。
——昨年の4月にまなみ騎手を背に初勝利を挙げた7R・4歳上1勝クラスのキイロノトマトは今回が3度目の騎乗となります。現級でも3着がありますが、いかがでしょうか。
福島で勝たせていただいた時はセンスのいい勝ち方をしてくれました。スタートはいい子ですし、1200mがどうかも、うまく前前で運べればもう少しやれていいと思います。
——日曜に移りまして、1R・3歳未勝利のタンドレスは1150mのデビュー戦から一転、今回はダート1800mとなりました。
デビュー前に調教で乗せていただいていた時は前向きで、短い距離が合うかと思っていたんです。ただいざ実戦に行ってみると、既走馬相手だった影響もあると思いますが、砂を被ってフワフワしたりするところもありました。距離延長でリズム良く運べれば、調教の良さを生かしてくれるのではないかと思っています。
——条件が大幅に変わるといえば2R・3歳未勝利の自厩舎ベニスズメも同様ですね。これまでの3走と違い、今回は初めての芝となりますね。
ベニは歩様がだいぶ硬い子だったのですが、そういった部分がだいぶ改善して動けるようになってくれていて、今なら芝にも対応してくれるのではないかということで今回芝を使います。スピードはある子で、芝自体は問題ないと思います。ゲートの中の駐立の際にソワソワするところがあるので、うまくゲートを決めて前前で運びたいです。
——まなみ騎手を背に初勝利を挙げ、今回が7度目の騎乗となる6R・4歳上1勝クラスのシゲルオトヒメは6カ月ぶりの実戦となりますが、新潟はいかがでしょうか?
コースは問わないと思います。歩様が少し硬いタイプで、スタート後に少し動きが嵌まり切らないところはありますが、終いはいい脚を使ってくれる子ですし、うまくかみ合わせてあげられればこのクラスでもやれると思います。
表情豊かなベニスズメ ※まなみ騎手提供
——前走は接戦の末6着だった7R・4歳上1勝クラスのヘクトパスカルは、今回連続騎乗となります。今週の坂路での追い切りはまなみ騎手が騎乗され、4F50.2とだいぶ速いタイムが出ましたね。
元々ガツンと行ってしまう子ですが、今回もハミをかなりとってくれました。それがこの子の良さでもあると思いますし、折り合いに気を付けて運びたいです。前走も直線を向く時はかなりいい手応えで迎えていたので、折り合い一つです。新潟のコースは合いそうです。
——10R・駿風Sはまなみ騎手の初特別勝ちを飾ったことでお馴染みのアジアノジュンシンで挑まれます。
勝たせていただいて、本当に1000m直線が合っていると思います。少し右トモが踏ん張り切れない分、ゲートを出てからスピードが乗り切らないところがありますが、上手く先行できればと思います。前走は馬場も悪く、今のある程度綺麗な馬場なら違ってきそうです。
初東京騎乗のウラ話!集合までも一苦労!?
——改めて東京競馬場初勝利おめでとうございます。先週まなみ騎手が「初めての東京で、私だけ右回りで走らないように気を付けます(笑)」とおっしゃっていたので、ちょっと不安になりながら観ていました。
ちゃんと左回りに回ってきました(笑)
——デビューからもう3年以上経っているとはいえ、やはり初の競馬場での騎乗は新鮮でしたか?
本当にすごく新鮮でした!模擬レースとは全然違いましたね。
——初の東京競馬場ということで、レース以外で戸惑ったことなどがあれば伺いたいです。
返し馬に行く時は大輔(佐々木大輔騎手)だったり、永野くん(永野猛蔵騎手)だったりや横山くん(横山琉人騎手)の同期2人に色々聞きながら行きましたね。
それぞれの条件用にポケット(発走前の待機スペース)があるのですが、東京の芝1800mや芝2000mだとどこにいればいいのか分からず、本当に初心者として(笑)、色々教えてもらいました。
——もし違うところを教えられていたら…
みんなちゃんと正しいところを教えてくれました(笑)
——そういえば東京競馬場は調整ルームから検量室前までかなり遠い構造だけに、移動も大変だったのでは…?
そうですね、もう自転車で走り回ってました(笑)。東京競馬場は検量室前の手前に上り坂があるので、もう立ち漕ぎしながら頑張りました…。
——さて、ファンの方からの質問です。ペンネーム・しのさんからのメッセージです。「まなみちゃんいつも応援しています。東京競馬場で初めて生で見れて感動しました。質問なのですが、私は京王線沿いに住んでおり、東京競馬場から帰る電車でもしかしたらまなみちゃんに会えるんじゃないかとちょっとドキドキしていました。ジョッキーの皆さんは電車で帰っているのでしょうか?」というメールをいただきました。
応援ありがとうございます!栗東まで帰るのに、最初は京王線に乗って、新宿経由で帰ろうとしていたんです。
ただ節内移動(土日で騎乗場所が違うケース)の時は事前にJRAに行程を申告しなければいけないのですが、「電車で新宿乗り換えで帰ります」と話をしたところ、「初めてで迷いそうですし、タクシーのほうがいいですよ?」と言われ、日曜の帰りはタクシーになりました(笑)
確かに私、方向音痴だし迷いそうだなぁと思って。最初は電車の予定だったので、もしかしたらしのさんにお会いしていたかもしれません。
——昔ミナリク騎手と中山競馬場終わりの武蔵野線で会ったことがあるのですが、電車で帰られる方もいるのでしょうか?
いますいます、私もレースが終わって新幹線で帰る時、京都から普通にJRで帰っていますし、ファンの方の隣にいることもあるかも…。
——少し関連したご質問もあります。ペンネーム・leyさんからのメッセージです。「先週は初めての東京での騎乗お疲れさまでした。個人的には幼い頃から遊びに行ってた東京競馬場でまなみ騎手の騎乗&早速の勝利が見られて感慨深かったです。バレットとしてお姉さんも東京にいらっしゃったと思いますが、日曜日はレース後にお二人で東京のどこかに行かれたりしたんでしょうか」というご質問がありました。
日曜はモアニの佐藤理オーナーさんご夫妻と、(高橋康之)先生と、姉と一緒に東京のすごく綺麗なホテルで鉄板焼きを頂きました!
——いつものパターンからすぐ帰ったかと思いました…。
いつもだったらすぐ帰るんですが(笑)、食事会に誘っていただいたので。すごくおいしかったです!
日曜の競馬後のコースディナー ※まなみ騎手ご提供
——そもそも開催終わりにお姉さんのみなみさんとどこかに遊びに行くということ自体あるのでしょうか?
本当にないですね…。いつも一緒にまっすぐ帰っちゃいます。新潟でもそうですし、小倉でもすぐ帰っちゃいますね。
——東京競馬場関連の質問をいくつかいただいたのですが、一つ私も気になることがあり伺います。ペンネーム・S.Kさんからのご質問です。「東京競馬場での騎乗お疲れさまでした。東京競馬を見ていて気になったのですが、返し馬を見ていると、各ジョッキーがそれぞれ違う方向に返し馬に向かっていました。これはどちらに行ってもいいのでしょうか。基準があれば教えてください」とのことです。
基本左でも右でもどちらでもいいんです!規則はないですね。基本はゲートの場所に向かってやるのですが、返し馬で長く踏みたい馬がいれば逆から行く馬もいます。基本はスタート地点のほうに向けて返し馬を行うことになります。
——待機場所はレースの条件によって変わってくると思いますが、時間までに着ければどこに行ってもいいのでしょうか?
集合合図が掛かって、ちゃんと場所に集まれればどこにいても大丈夫です。ポケットにいてもいいですし、発走時刻を遅らせなければOKですね。
発走委員の方が赤旗を振って、それが集合の合図になるんですが、ポケットにいるかどうかは特に関係ないんです。発走の5分前くらいにこの赤旗が振られるので、旗が振られたらジョッキーは各自発走地点に集合しないといけないのですが、間に合えばそれまでどこにいてもいいです。
馬によっては1頭で歩かせていたほうがおとなしいという馬もいるので、そういう場合はポケットに行かずに待つこともありますね。
——もし仮に赤旗が振られた後に集合が遅れてしまった場合、制裁はあるのでしょうか。
ジョッキーに対する制裁はないですが、ジョッキーが集合場所へ行こうと促してもゴネてまったく進まないケースも多々あるんです。この場合、馬に調教注意などの制裁がある場合はあります。
——東京競馬場に限らず、返し馬で焦ったご経験があれば伺いたいです。
結構あります。返し馬で止まりづらい馬がいましたし、それこそポケットから発走地点まで行けないのに、本当にゴネてしまってその場でクルクル回って進まない馬がいたり、色々経験させていただきました…。ゲートにたどり着くまでもヒヤヒヤです。
ゴネてなかなか動かない場合は、「すいませーん!引っ張ってくださーい!」と大きな声を出して職員さんに来ていただいて引っ張っていただきます。
——普段中継にはなかなか映らないところですが、そのような苦労があるのですね。
そうですね、職員の皆さんに助けていただいています。本当に一人でも欠けていたら競馬は成り立たないなと思いますね。
——今週も勉強になるお話をありがとうございました!今週末も更なる活躍を期待しております。来週もまたよろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします!
日曜の競馬後、タクシー内で姉のみなみさんと ※まなみ騎手ご提供
いつも永島まなみ騎手コラム"まなみの学び"をご覧いただきありがとうございます!コラム開始8カ月、ここまでまなみ騎手に色々な質問に答えていただきました。
"ファンの皆様と共に歩む"コラムとして、これからもファンの皆様の質問を幅広く頂戴し、ご本人に聞いていこうと思っております。
競馬に関すること、そして日常生活について、永島まなみ騎手にこれだけは聞いてみたい!ということをぜひご応募ください。頂いたご質問、メッセージは上記のようにご本人に届けさせていただきます。
すべてのご応募はメールにて受け付けております。メールの件名に「まなみ騎手へ」、本文にお名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまでご質問をお願いいたします。皆様ぜひご投稿よろしくお願いします!
manami_nagashima@keibalab.jp
プロフィール
永島 まなみ - Manami Nagashima
2002年10月27日生まれ、兵庫県出身。
父は兵庫競馬で数多くの重賞を制した永島太郎元騎手(現調教師)。父の背中を見てジョッキーを志し、幼少期から乗馬を始め、2018年に競馬学校騎手課程37期生として入学。2021年にジョッキーデビュー。
同年3月14日中京2Rでアクイールに騎乗し初勝利を挙げると、1年目はJRA7勝を挙げる。そして2年目の22年に3倍となるJRA21勝を挙げ躍進。外枠有利が定説の新潟直線1000mで、セルレアを内ラチ沿いから勝利に導くなど大胆な騎乗も多く、ファンを魅了する騎乗に注目が集まっている。趣味は映画、ドラマ鑑賞、料理。好きな言葉は「一生懸命」。常に上を目指す期待のアスリート。