外枠有利の新潟直線1000mで最内枠から内ラチ沿いを通って勝利するなど、その大胆な騎乗に注目度が
日増しにアップしている永島まなみ騎手が、騎乗論から日常まで余すことなく語りつくします!
レディーヴァリューとローズSに参戦!自厩舎の"トトロ"と挑む3日間開催
2024/9/13(金)
先週は逃げて何度も見せ場を作ったまなみ騎手。勝利には手が届かなかったものの、次への手応えを得たよう。今週は3日間開催。ローズSに挑戦するレディーヴァリュー、まなみ騎手の"ゆかりの血統"の2歳馬と迎えるデビュー戦、そして吉村誠之助騎手との対談第2弾まで、今週も盛りだくさんでお届けします!
逃げて見せ場あり!次に繋がる内容だった先週末
——先週は2場開催になった影響もあり5鞍と、いつもよりはやや少なめの騎乗回数でした。とりわけ注目は日曜の中京4R・2歳新馬のアーサーズウェイン。まなみ騎手の期待度は相当高そうだったこの馬から振り返っていただければと思います。
調教でバツグンの動きを見せてくれていたのですごく楽しみだったんですが、ゲートで頭を上げて出るようなところがありました。
調教ではハミ掛かりがいいところがあったものの、初戦ということもあってかハミをなかなかとらないところがあり、直線も思ったよりキレる脚を使えなかったところがありました。幼いところが出たレースだったと思います。一度レースを経験した分、次はもっと頑張ってくれると思います。
——出遅れてしまいましたが、レース前、課題に挙げられていたテンション面はいかがでしたでしょう。
めちゃくちゃおとなしかったです。逆に少し落ち着き過ぎていたくらいで…
——出遅れたことを考えるとそこまで負けていない5着だと思います。次以降楽しみな馬ですね。
そうですね、次走はまだどうなるか聞いてないのですが、次はより調教通りの動きを見せてくれると思います!
——先週日曜の後半戦は逃げて直線半ばまで先頭というレースが続きました。8R・3歳上1勝クラスのジャマンは最後止まりましたが、距離延長で進展のある内容でしたでしょうか。
前に乗せていただいた時はコーナーから手応えが悪くなって直線でやめるところがあったんです。今回は大逃げという形になりましたが、コーナーでグっとハミを取ってくれて、直線でもやめずに頑張ってくれました。
次は秋の福島の1800mで乗せていただける予定なのですが、気持ちの面で変化もありそうなので、今回のように淡々と走れば気持ちもいい方向に向いてくれるんじゃないかと思います。再度この形で運べたら楽しみです。
——ちなみにジャマンは先週"悟りを開いた顔"に対する反響も多くありました。レース後の様子はいかがでしょう。
週明けの火曜に会ったらめちゃくちゃ機嫌が悪かったんです(笑)。普段は触ってもまったく怒らない子なんですが、もう耳を絞って噛もうとしてきて…
——仲良しコンビに抗争勃発でしょうか?
火曜日はそっとしてあげたんです。そうしたら水曜、木曜とだいぶ穏やかになってくれていました!大丈夫です、まだ仲良しです(笑)
いつも通り穏やかになったジャマン ※まなみ騎手ご提供
——安心しました。最内枠からハナを切った10R・浜松Sのクロデメニルは、8着とはいえ直線半ばで思わず声が出るくらいの粘りを見せていました。
揉まれてはいけない子なのですが最内枠を引いてしまい、それもあってハナに行きました。馬場を考えるとあのペースは少し速かったかもしれません。残り1ハロンまでよく頑張ってくれましたし、1000mがベストかもしれません。
——前後半3Fは34.2-36.7という前傾ラップでしたが、まなみ騎手からするとペースは少し速かったのですね。
そうですね。ちょっと速いです。揉まれてはいけない馬なので出していったんですが、すると速くなるところはありますね。理想は外目の枠だと思います。
レディーヴァリューとローズSに参戦!日曜は"トトロ"に騎乗!
——3日間開催の今週は全て中京で、土曜2鞍、日曜5鞍、月曜5鞍の計12鞍に騎乗されます。実戦、追い切りで騎乗経験のある馬を中心に伺いますが、土曜の9R、5頭立てのオープン・ききょうSは名付けたスリールミニョンとコンビを組まれます。距離短縮での一戦ですね。
前走の新潟2歳Sはテンにハミを噛んでいたので、距離短縮はプラスだと感じています。新潟2歳Sを使った分少し落ち着きが出ているとのことですし、左回りも問題ないので、あとはこの馬らしいレースができたらなと思います。
——今回は間隔が3週間と縮まります。この点はいかがでしょうか。
ずっと乗ってくださっている助手の西岡さんがうまく調整してくださっているので、イレ込み過ぎていることもないので大丈夫かなと思っています。
デビュー前、スリールミニョンと
——これまで小倉、新潟と使ってきましたが、今回は直線に急な坂のある中京となります。坂はいかがでしょうか。
パワーもある子なので、坂については大丈夫そうです!楽しみです。
——日曜の3R・2歳未勝利ではバイオサファイアと前走のデビュー戦に続きコンビ結成です。新馬戦ではいい脚を使って2着、今回も期待が高まります。
前走は終いいい脚で伸びてくれたので良かったのですが、直線に行くまで2歳らしい口向きを見せていたので、その部分が成長してくれていればよりいいです。
——新馬戦が400kgと小柄な牝馬ですが、急坂のある中京への適性はいかがでしょう。
そうですね、前走乗った時は思ったよりパワーもあったので大丈夫かなと思います。
——5R・2歳新馬では追い切りに騎乗されている自厩舎のネトルと参戦されますね。
今週ネトルの追い切りに騎乗するまなみ騎手
ネトルはすごく従順で跳びの綺麗な子なんです。追い切りにも騎乗させていただきましたが、2歳馬ながら単走でもしっかり動けていました。ゆったり運べる2000mという距離もいいかなと思います。
——マジェスティックウォリアー産駒ですが、芝2000mでデビューとなりました。
ダートでも悪くないとは思いますが、すごく綺麗な跳びをしてくれる子です。お母さんのアニエーゼは自厩舎にいた馬で、私もまだ競馬学校生の時に調教で乗せていただいたことがあって、ダート向きのゴリっとした感じだったんです。ネトルはお母さんと違ってフットワーク軽く、跳びも綺麗ですね。芝で良さそうです。
馬房でくつろぐネトル ※まなみ騎手ご提供
——自厩舎の2歳馬恒例の質問になりますが、まなみ騎手のつけたニックネームを伺っておきたいです。
ネトルは3文字なんで基本はネトル、ネトルと呼ぶのですが、ネトルは3文字ということもあって、普段乗っていたりする際に声をかける時は同じ3文字で"トトロ"と呼ぶ時があります(笑)
——トトロ。
そう、トトロです(笑)。まだ2歳なので乗っている時に他のところに意識がいこうとする時があるのですが、「ネトル~」と声を掛けるより「トトロ~」と声を掛けたほうがより反応しておとなしくなるので、厩舎でも「トトロ~」と声を掛けたりしてます。
——これは大変可愛らしいエピソードですね。
でも厩舎で「トトロ~」って声を掛けていたら、担当の"梶さん"こと梶原さんから「トトロってなんやねん」と言われてしまいました(笑)
母アニエーゼも担当した梶原助手とト…ネトル ※まなみ騎手ご提供
まだ2歳なので、並脚では周りをキョロキョロしたりするところがあるんですが、そういう時やチャカチャカした時に「トトロ~」と声を掛けると我に返るんです。
——今からでも遅くないので名前をトトロに変えるという案も…
まだ走ってないので間に合いますね(笑)
——こちらのネトル、3年半前にまなみ騎手が記念すべきジョッキー初勝利を挙げたアクイールの姪にあたります。アクイールと似ているところはあるのでしょうか。
アクイールは走る時に頭が高くなるところがあるのですが、この子も気持ち頭が高くなるところがありますね。アクイールと同じく人懐っこい子なんです。
まなみ騎手に初勝利をプレゼントしたアクイール
——まなみ騎手、そして厩舎ゆかりの血統だけにより注目ですね。
ネトルの担当の梶さんはお母さんのアニエーゼも担当されていた方なんですよ。アニエーゼはヤンチャなところがあって大変なところがあったのですが、ネトルは従順でお母さんに似てないねと梶さんと話になりました(笑)
アニエーゼには競馬は乗ったことがないのですが、調教では何度も乗っていただけに、お母さんにも乗ってその子どもに乗れるのはすごく嬉しいです。とても顔の可愛い子なので、ぜひパドックでも注目していただければと思います。
現役時代のアニエーゼ
——まなみ騎手と縁のある血統だけに要注目ですね。10R・納屋橋Sでは同じく自厩舎の"ペイちゃん"ことペイシャフラワーと16度目のコンビを結成されます。先週の追い切りはまなみ騎手が騎乗され、ネトルと併せ馬を行っていましたね。
そうなんです、ネトルと併せてたんですが、元々追い切りでズブいところを見せる時がある子がそういう面を見せずにいい動きをしてくれました。左回りの中京は合いますし、うまくペイちゃんらしいレースをしたいところです。
——この日のメインレースであるローズSには、前走まなみ騎手を背に未勝利を逃げ切ったレディーヴァリューと参戦されます。この中間も何度も追い切りに騎乗されていますね。
先週今週と追い切りに乗せていただきましたが、前回より馬が良くなっていて、落ち着きが出たように精神面の成長が見られます。今週の追い切りは馬場が深くて悪かったものの、その中で綺麗なラップで走ることができました。一度使って大きな上積みがありそうです。
——未勝利勝ちは、今回と同じ舞台の中京芝2000mで好タイムの逃げ切り勝ちでした。ベストはハナなのでしょうか。
ハナを切らなくても大丈夫です。周りを見ながら自分のリズムで走れればと思います。
——半年ぶりの実戦だった前走が優秀だっただけに期待が高まります。
そうですね、一度使った上積みがあるので楽しみです!
——月曜に話を移しまして、1R・2歳未勝利のリリードリーマーは今週坂路での最終追い切りに騎乗されていました。
もう当週だったのでそこまでやっていませんが、単走でもしっかり動けていました。おとなしく可愛らしい子です。2歳馬らしくまだちょっとハミに粘っこいところがあるので、その部分がより良くなればいいと思います。ダート変わりはプラスに働きそうです。前向きさを生かしたいです。
——今まなみ騎手が"ハミに粘っこい"とおっしゃっていましたが、どのような状態なのでしょうか?
ハミ受けのところの話で、ハミをさらっていくような状態です。グーっとハミに乗っかるようなことを"ハミに粘っこい"と言います。ハミをさらうに近い状態で、2歳馬のあるあるです。
※ハミをさらう…頭を下げてハミを持っていくような状態
——勉強になる話をありがとうございます。続く6R・3歳上1勝クラスのイスラグランデは昨年4月末以来、久々のコンビ結成となりました。
その時乗せていただいた時はこの子も結構ハミに粘っこいところがありました。1400mは合っていますし、左回りもいいと思います。うまくハマってくれればと思います。
——この舞台ではまなみ騎手を背に2着と好走歴がありますが、芝よりダートのほうがより良さそうでしょうか?
そうですね、ダートのほうかよりいいと思います!
——8R・3歳上1勝クラスのファルシオンは前走に続くコンビ結成となります。前走の上がり600mは32.9とかなり速いタイムが出ていました。
終いすごくいい脚で伸びてくれました。先週追い切りに騎乗させていただきましたが、その時は前が速かった分最後追い付けなかったものの、80秒で上がってきてくれましたし、再度終いが生きる形になるのが理想です。
——同じく強烈な決め手を持つ10R・桑名特別のテラメリタはいかがでしょうか。4走ぶりのコンビ結成となります。
久々に乗せていただきますが、終いにいい脚を使ってくれる子です。身体の小さい子なので、前走(酒井)学さんが乗ってくださった時は馬場が悪かったのが響いたと思います。今回はいい馬場でレースを迎えられそうなので、再度この馬らしいレースができればチャンスがありそうです。
——距離は1400mとなります。まなみ騎手と共に勝利を挙げたのは阪神の1600mでしたが、この距離短縮はいかがでしょうか。
私が乗った中では1600mが一番脚が溜まりそうな条件ですが、1400mでも許容範囲内だと思います!
——2年ぶりとだいぶ久々のコンビ結成となる11R・JRAアニバーサリーSのシゲルバクハツはどうでしょう。
「末脚バクハツ」と言えるくらい終いいい脚を使ってくれる子なんです。後ろから行く馬なので展開に左右されるところはありますが、いいモノを持っている子ですし、この馬のいい末脚を引き出せるように頑張りたいです。
対談第2弾!みんな一番の思い出!競馬学校のサマーキャンプとは
——今回は若手ジョッキーの対談ということで、せっかくですので、世間的にはあまり知られていない競馬学校について色々伺っていこうと思います。まずお聞きしたいのは、競馬学校の試験で一番辛い、大変な試験はなんだったのでしょう。
永島まなみ騎手(以下まなみ):シャトルランです…
吉村誠之助騎手(以下誠之助):僕もシャトルランです…
——全国から体力自慢が集まってくると思いますが、回数はどのくらいだったのでしょう?
まなみ:私はちょうど100回くらいでしたね。
誠之助:僕は120回くらいでしたね。
まなみ:とにかく回数をこなせればOKというわけではないんですけど、100回くらいだった私で残り半分以下くらいでした。
——女性で100回って相当スゴいですよね。
誠之助:めちゃくちゃスゴいと思います…!
まなみ:でも私、体力は中学時代が絶頂期だったので。今はもう衰えてます(笑)。当時は乗馬終わって家に帰って、ごはんを食べた後に家の周りを走ってたんですよね。今やったら50回行くか行かないかだと思います(笑)
——誠之助騎手の120回は相当上のほうだったのでは。
誠之助:いやいや全然です、僕で10番目くらいだったんじゃないですかね。一番上だと僕らの代は(高杉)吏麒だったんですけど、140、150回くらいでした。
まなみ:私の時130回くらいだった。誰が出したか覚えてないけど(笑)。でも同期で受かった子はシャトルランで大体残ってたイメージがありますね。
——自分の中で、"この試験は一番できた"という試験はなんでしたか?
誠之助:僕は食事と面接ですね。
まなみ:食事が見られるんです。2次試験では朝昼晩、どれくらい食べるかチェックされるんですよ。いっぱい食べれたらいいというわけではなくて、体重がギリギリの子はもう食べられないんですよね。食べてもあまり増えてない子はうまく調整できてるんだろうなという判断になります。
——試験のそれぞれの種目の点数などは発表されるのでしょうか。
誠之助:発表されないですね。ただ自分でなんとなくどのくらいやれたかは分かります。面接は阪神の乗馬センターで職員さんと何度も練習したんで。
まなみ:へー
——へーとおっしゃっている乗馬センターの先輩の方がいますが、先輩の方は本当に同じ乗馬センターに通ってましたか?
まなみ:私は練習なかったんで(笑)。2次試験は4泊5日でやるんですけど、毎日のように面接があって、最終日はシャトルランが終わった後に面接なんです。最終日がしんどかった覚えはあります。
——夢に向かって競馬学校に入学されたわけですが、優しかった先輩、印象的な先輩といったら誰だったか伺ってみたいです。
誠之助:佐々木大輔さんでしたね。大輔さんは優しかったです。あと1つ上、39期の先輩方も基本皆さん優しかったですね。(田口)貫太さん、(河原田)菜々さん、小林勝太さん…。
まなみ:私の場合、優しい先輩で思い浮かぶのは原優介さんで、印象的だったのは2つ上の35期の先輩方でしたね。(斎藤)新さん、(団野)大成さん、岩田(望来)先輩…"花の35期"と教官から言われているくらい皆さん上手だったんです。レベチでした。
——"花の35期"に対して、まなみ騎手の37期は何か敬称があったのでしょうか?
まなみ:なんだったんですかね…?特に何もなかったと思います(笑)
——改めてお二人の過去のJRAインタビューを見たところ、二人とも競馬学校で一番印象的な出来事について"サマーキャンプ"を挙げられていました。この行事について少し聞いてみたいです。
まなみ:そんな大きなイベントごとが他にあまりないのもあります(笑)
誠之助:2泊3日でやるんですけれど、僕は富士急ハイランドに行きました。
まなみ:え、いいな。
誠之助:でも僕あまり絶叫好きじゃないんですよ…
——隣の方、この前コラムで絶叫系が好きとおっしゃっていたばかりです。
まなみ:そうなんです(笑)、私絶叫好きなんでうらやましいです。めちゃくちゃ"ワー!"ってやりたいタイプなんで。私鴨川シーワールドだったんですけど、"ワー!"のほうがしたかったです(笑)。昔は毎年同じところだったらしいんですが、今は毎年行き先が違うみたいです。
——サマーキャンプというくらいですからみんなでテントを張ったりするイベントなのでしょうか。
まなみ:いや、なんかコテージみたいなところに泊まるんです、男女別で。私の時は古川(奈穂)さんと、女性職員さんの3人で泊まりましたね。
誠之助:男はみんな一緒です。プチ修学旅行です。富士急以外だとアスレチックに行ったり、コテージでバーベキューをしたり、キャンプっぽいことをしましたね。
まなみ:私の時は鴨川シーワールドに行ったり、あとは夜肝試しをやりました(笑)。目的地までお菓子を取りに行くんですけど、教官がお化けの役をやってくれるんです。
誠之助:僕も肝試ししたかったです…
まなみ:古川さんとペアだったんですけど、キャアキャア言いながら走って逃げた思い出があります(笑)
——そんな楽しくも厳しい競馬学校ですが、「1億円あげるので競馬学校に戻ってください」と言われたらどうしますか?
誠之助:戻らないです、稼ぎます(笑)
まなみ:一週間くらいならいいですよ!
誠之助:一週間でも嫌です(笑)
まなみ:え、うそ?一週間なら良くない?
初勝利はなんとオープン!劇的勝利を振り返る
——競馬学校での勉強の日々を終え、今年憧れのジョッキーとなった誠之助騎手ですが、3月の小倉デビューの際は緊張しましたか?
誠之助:少ししましたね。
まなみ:誠ちゃんは全然緊張している感じはしなかったかも…。(柴田)裕一郎はガチガチやったけど(笑)
——柴田騎手、どんな感じだったのでしょう。
まなみ:いやもう見て分かるくらいガチガチだったんです。裕一郎は未だにゲートの裏で「緊張してきました…」なんて言うんです。かわいいです(笑)
誠之助:裕一郎は明らかに緊張していて本当にヤバかったですね、僕もなんやこれ?と思うくらいで。ロボットみたいになってました(笑)。逆に僕は緊張するタイミングとしてはパドックで跨ったあたりで少ししたくらいでした。跨ってしまえば意外と緊張はしなかったですね。
——誠之助騎手のデビュー戦の相棒となったムーンセットは、その前走でまなみ騎手が乗られていた馬です。何かアドバイスはされたのでしょうか。
まなみ:「返し馬は引っかかって止まりづらいよ」というアドバイスをした覚えがありますね。
——「3歳で、女の子で、脚が4本ついているよ」というアドバイスではなく…?
まなみ:そういうアドバイスはしてないです(笑)。でもそれが一番大事なアドバイスでしたね、してたら誠ちゃんも初騎乗初勝利を挙げていたかもしれません、反省点です(笑)
——悪い先輩がいらっしゃったものです。さて、そんな誠之助騎手ですが、初勝利はなんとオープンの六甲S・ボルザコフスキーでした。まずは感想を伺いたいです。
誠之助:ハナ差の接戦だったので、ゴールした時に正直勝ったかどうか分からなかったんです。引き上げてきた時に勝ったことがようやく分かって、良かったぁ~という感じでしたね。2着だったワールドウインズとは離れていたのでどっちが勝ったかまで分からなかったんですよ。
まなみ:私この日中京で乗ってたんですけど、確かもう競馬場から帰るところだったんです。競馬場から帰る途中にLIVE映像で誠ちゃんが勝ったのは見ました。
——当然すぐ祝福のメッセージを送って…
まなみ:…私、当時誠ちゃんの連絡先知らなかったんです、つい最近貴重な連絡先を手に入れました(笑)
——それまでどうやって連絡を取られていたのでしょう、手紙、矢文あたりでしょうか。
まなみ:矢文かもしれません、ポーンって(笑)。手紙でもないです、トレセンで会うので連絡取ることもなくて。教えてくれなかったんです!
誠之助:そんなことないです(笑)
まなみ:連絡先売ったりしないのに!(笑)
——ジョッキーの皆さんは初勝利を挙げるまで、勝てないとその分どんどんプレッシャーが大きくなるものなのでしょうか。
まなみ:私の場合は同期の小沢くんが初騎乗初勝利を挙げていて、古川さんも先に勝たれていて同期が先にポンポンと勝っていた分の焦りはありましたね。
誠之助:僕はあまりなかったですね…。いつか勝てるやろっていう思いはありました。同期が先に勝ちましたが、特に焦りはなかったです。
——吉村騎手にやられたというレース、まなみ騎手にやられたというレースはありますか?
まなみ:やられたってレースはまだないんですけど、誠ちゃんがデビューした翌日に1番人気になったジョーメッドヴィンという馬に乗っていて、そのレースを私が14番人気のラブカムーンで勝っちゃったのはよく覚えてます(笑)
誠之助:僕が外目の枠だったんですけど、勝てなくて、誰が勝ったんやろと思って見たらまなみさんでした…。
——デビューから5カ月、レース、そしてプライベートで今一番苦労していることというご質問も届いております。
誠之助:何事にも苦労してる気がします…。どうしても乗るたびに課題は出てくるので。いち早くその課題をクリアしていきたいなとは思っています。全体的に苦労はあります。プライベートだと…なかなか車の免許が取れないことですかね。
まなみ:それは結構大事(笑)
誠之助:週中に地方交流で乗っているとなかなか教習所に通う時間がないんですよね。あともうちょっとで仮免なんですけど。
まなみ:全然まだまだやん、まだ初めましてくらいだ(笑)
——まなみ騎手はよく免許取る時間ありましたね。
まなみ:デビューした年の夏は北海道に滞在していたんで、その時に取ったんです。昼間することがなかったので、10日くらいで、それこそ1日6時間くらい入れて。
誠之助:まだ免許ないので今日もまなみさんに送ってもらいました…。早く取れるよう頑張ります。
——ちなみに、まなみ騎手が今プライベートで苦労していることは何かありますか?
まなみ:寝て食べての繰り返しで今が楽しいので特にないです(笑)
いつも永島まなみ騎手コラム"まなみの学び"をご覧いただきありがとうございます!コラム開始1周年、ここまでまなみ騎手に色々な質問に答えていただきました。
"ファンの皆様と共に歩む"コラムとして、これからもファンの皆様の質問を幅広く頂戴し、ご本人に聞いていこうと思っております。
競馬に関すること、そして日常生活について、永島まなみ騎手にこれだけは聞いてみたい!ということをぜひご応募ください。頂いたご質問、メッセージは上記のようにご本人に届けさせていただきます。
すべてのご応募はメールにて受け付けております。メールの件名に「まなみ騎手へ」、本文にお名前(ペンネーム)を記載の上、以下のアドレスまでご質問をお願いいたします。皆様ぜひご投稿よろしくお願いします!
manami_nagashima@keibalab.jp
プロフィール
永島 まなみ - Manami Nagashima
2002年10月27日生まれ、兵庫県出身。
父は兵庫競馬で数多くの重賞を制した永島太郎元騎手(現調教師)。父の背中を見てジョッキーを志し、幼少期から乗馬を始め、2018年に競馬学校騎手課程37期生として入学。2021年にジョッキーデビュー。
同年3月14日中京2Rでアクイールに騎乗し初勝利を挙げると、1年目はJRA7勝を挙げる。そして2年目の22年に3倍となるJRA21勝を挙げ躍進。外枠有利が定説の新潟直線1000mで、セルレアを内ラチ沿いから勝利に導くなど大胆な騎乗も多く、ファンを魅了する騎乗に注目が集まっている。趣味は映画、ドラマ鑑賞、料理。好きな言葉は「一生懸命」。常に上を目指す期待のアスリート。