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何気ない戸崎騎手の発言がターニングポイントに

圭太:今となっては、羨ましがられるよね。やっぱり移籍って大変という気がします。御神本だって、最初はバッと乗っていたんだけど、やっぱり一時勝てなくなって。たぶん競馬のリズムが変わってきたんだろうね。ずっと益田では勝っていたけど、勝てないことで。やっぱり移籍ってどんなスポーツでもそうだけど、大変なことだし、環境になれるのもやっぱり時間が必要というか。

矢:そうなんですよ。今は、けっこう短期でも南関東にくるじゃないですか。あれってすごいことだなと思うんですよ。知らない環境に来て、2~3カ月で成績を出せ、と言われても、出せるはずがなくて、僕だってここまで来るのに5~6年は掛かっている訳ですからね。だから、吉原(寛人)さんは結果を残しているし、いま若手で来る子も1回来て全然乗れなくても、また来るという気持ちがすごい。この前も若手の井上幹太(北海道)が来て、成績はそんなに振るわなかったかもしれないけど、毎年来るという気持ちが、僕には想像を絶するすごさというか、それだけでも何か……。

圭太:でも、俺は、チャッと行って出来るタイプかな。何かがむしゃらにやるというか、考えちゃうんだろうね。

矢:僕は人見知りがすごいです。圭太さんはよくしゃべるじゃないですか。それが、競馬って腕だけじゃないし、やっぱり人に好かれる魅力がないと。僕はそういうのが出来ないから、ひたすら結果にこだわり続けてやってきたつもりなんだけど。

「圭太さんに1回『矢野の外枠になった時が嫌だ』と言われたことがあるんですよ。どういう意味かすぐには分からなかったですけど(笑)、それがものすごく嬉しいというか」


圭太:やっぱり騎手にとって人間関係というのは大きいのは大きい。それは間違いなくあるから。

矢:その時点で、ちょっと僕には出来ないものを持っているというか。

圭太:人間関係を築くことは親に感謝しているところでもあって。だから、言ってみれば、中央だと海外から来る訳じゃないですか?それこそ言葉も分からないし、環境も違う訳で。そんな中で結果を出していくというのは、やっぱりすごいことだよな。言葉がしゃべれないから、イコールしゃべらなくて良いから、人間関係もないのかもしれないけど、環境は変わるから。逆に、僕は海外に行って、そこを上手くやれるかと言ったら、今度はしゃべれないからもどかしいというか、逆に難しさが出てくるんじゃないかと思う。でも、こうやって結果を出して、嬉しいよね。

矢:圭太さんが中央に行く時に、川島(正一)先生に一言言ってくれたじゃないですか。それは今でも覚えていますね。昔は他場では乗っていなかったし、左回りが下手なんですよ。今でもそうなの。慣れないというか、左回りは絶対に(騎乗依頼は)入らないと思っていたところに、やっぱり圭太さんの一言で、川島先生からも乗せてもらえるようになって。それで結果も出せて、他場でも乗れるようになったけど、何かその恩というのはものすごく感じています。去年リーディングを獲らせてもらった時も、報告だけはしておこうかなと思いました。

圭太さんに1回「矢野の外枠になった時が嫌だ」と言われたことがあるんですよ。どういう意味かすぐには分からなかったですけど(笑)、多分「スタートを出してくるから、僕より外にいると乗り辛い」ということを言ったことがあって、それがものすごく嬉しいというか、これが売りなんだということが分かりましたね。

戸崎圭太×矢野貴之

圭太:貢献しているな~~、俺、ハハハ。

矢:本当に色々勉強させてもらっています。

圭太:嬉しくなっちゃうね。

矢:正直、僕は記憶が得意じゃなくて(笑)。そんな僕が、圭太さんの一言をずっと覚えているという、それは今でも本当に。

-:ちなみに、川島正一先生にどんなことを言われたのですか?

圭太:南関東にいるのだったら、やっぱり他の競馬場でも乗らないといけないからね。僕が中央に行く前に正一先生に「お前の次は誰なんだ。後釜は誰がいる?」言われたの。それで、聞かれたから矢野の話を出したら「じゃあ、やってみるか」と。

矢:当時は本当にありがたかったです。何かキッカケをキッカケが欲しいと、ずっと思っていたから。

圭太:俺の次なんか一杯いるだろうみたいな話で(笑)。

矢:でも、圭太さんの眼に留まったというのは嬉しいですよね。矢野って、なかなか出てこないでしょ?

「移籍する前には、もう俺の中では(矢野という意識は)あったよ。上手いもんね。だから、何で競馬に乗っていないんだろうなと」


圭太:でも、移籍する前には、もう俺の中では(矢野という意識は)あったよ。上手いもんね。だから、何で競馬に乗っていないんだろうなと。最初乗せてもらえなかったのは、チャンスがなかったんだろうな。難しいですよね、騎手って腕があっても……。

矢:僕は自分で上手いと思ったことはないですけど、運さえあればここまで行けるという意識はすごくあります。僕でもここまで行けるんだから、他のヤツもできるだろうという若手が一杯いると思うんですよね。

圭太:僕もずっとリーディングを獲っていたけど、僕も自分の馬乗りに関して上手いと思ったことはなかったし、運は持っているけど、コミュニケーション能力で来た男だと思っていますから。だけど、やっぱり少なからず勝てる人間というか、上に行ける騎手は自分の能力は必ずあることだから、段々気付いてくるんじゃないかと思う。運や偶然だけでは来られない。だから、若い子なんかには、もっと頑張ればどうにかなるのに、というところがあるにはあるよね。自分は頑張っていると思うかもしれないけど、もっとやれることがあるというのは思うよな。運も自分で掴むものだし、それで結果を出せなければ落ちちゃうから。

-:ちょっと話題はそれますが、今まで何度か戸崎騎手の対談をやらせてもらった中で、今のところ、断トツに一番対談になっている気がしますね。

圭太:いやいや僕だって、知らない人と話せないよ(笑)。

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