阪神芝1800m戦は有馬記念の裏に当たるため有力騎手が少なく、メンバーは手薄になるかと思っていたが、池江厩舎がディープインパクト産駒2頭を投入してきたので、注目度が増している。
POG的に話題になるのはジークカイザー(牡2、栗東・池江寿厩舎)。キャロットCで1億2000万円の高額で募集された馬で、母は北米でGⅠなど8勝を挙げている。調教開始当初は地味だったが、ここへきて動きは良くなってきており、1週前調教(以降調教は全て1週前)はCWで6F86秒台、5Fが69秒台、上がりは12秒1でまとめており、併せた相手に2馬身程先着している。 「ピッチ気味の走り。ここまで追い切りはしっかりこなせているが、レースを使えば更に良くなってきそうなタイプ」(池江師)と、先々まで楽しみである。
ただ調教の動きなら、ロードプレミアム(牡2、栗東・池江寿厩舎)のほうが一歩リード。2週前にCWで上がり11秒台をマークし、ジークカイザーに先着。1週前も6F83秒台、5F67秒後半で、終い1F12秒と速い時計をマークしている。全兄のロードグランツは高い素質を感じさせながら、新馬戦2着だけで惜しくも引退している。兄の分まで頑張ってほしい。

ロードプレミアム

▲兄の分まで頑張れるか ロードプレミアム


池江厩舎の2頭が目立ってしまうが、セネッティ(牡2、栗東・音無厩舎)も負けてはいない。こちらも調教は活発で、調教を初めてすぐに坂路52秒台を楽にマークする脚力を見せ、1週前も坂路54秒4-12秒6(馬ナリ)と順調に進んでいる。半兄に新潟2歳S、デイリー杯2歳S3着のピークトラムがおり、春頃は「POG向き」と言われていた馬。ここから巻き返したい。
前日の阪神芝1400m戦は、コイスルキセキ(牝2、栗東・西園厩舎)(牝2、栗東・西園厩舎)。CWで一杯に追われ6F83秒、5F67秒半ば、1F12秒4で、併せた馬を大きく追走し最後は5馬身くらい離している。半兄のオレニホレルナヨは1600万クラスまで出世しており、兄以上の活躍を期待。
桜花賞3着、オークス3着のジェルミナルを半姉に持つオンブルオール(牝2、栗東・角田厩舎)は、調教の動きがもう一つ。最終調教でどこまで詰めてくるか。
中山は、有力騎手が揃う日曜日の芝1600m戦が楽しみ。ルメール騎手を確保したイマジンザット(牡2、美浦・斎藤誠厩舎)が主役か。 「ディープインパクトの仔らしく軽い動きをする。性格はとても素直で、センスの良さを感じる」と押野助手。 兄姉にショウナンアルバショウナンタレントと重賞勝馬が並び、セレクトセールでも6300万の値がついた良血馬。調教も水準以上で、初戦から勝負態勢だ。

ジークカイザー
牡、栗東・池江寿、ディープインパクト×ヒルダズパッション
POGシメイ

ロードプレミアム
牡、栗東・池江寿、ディープインパクト×インディアナギャル
POGシメイ

イマジンザット
牡、美浦・斎藤誠、ディープインパクト×シャンラン
POGシメイ

他では、アークアーセナル(牡2、美浦・国枝厩舎)が、美浦坂路55秒8の時計。これは古馬を含め先週水曜日の9番目、2歳馬では3番時計となり、仕上がりは上々。
先週除外になってしまったスターズレディ(牝2、美浦・栗田徹厩舎)も、改めてデビュー戦。1週伸びたが、オーバーワークにはなっておらず、デキ落ちは無かろう。
同日ダート1800m戦は、マイティーゴールド(牡2、美浦・尾関厩舎)の動きがいい。2週前の美浦坂路では馬ナリで54秒7。重い美浦坂路で、この時計を楽に出せる新馬はなかなかいない。鞍上はムーア騎手を予定していたが、騎乗停止のため戸崎騎手に。本人希望の騎乗という話もあり、この馬の評判の高さが伝わってくる。
インザバブル(牡2、美浦・新開厩舎)も、ウッドで古馬1000万のストーミングを追走して併入と動きは活発。一族はダービー馬ディープブリランテ、天皇賞馬バブルガムフェロー、菊花賞馬ザッツザプレンティの出ている一族で、奥を感じさせる。
前日中山2000m戦は、関西馬も遠征してきて華やかさを増している。 血統的に目立つのはフラジョレット(牡2、栗東・池江寿厩舎)。翌日の有馬記念で有力視されているラブリーデイの半弟になる。 「まだいくらか緩さは残るかな。大型馬でも動きには柔軟性があるし、芝でも走れそう」と池江師。 この言葉通り、まだ仕上がり切れていないのか調教の動きは遅れてばかり。血統馬らしく、レースで一変なるか。
動きの良さならチーフコンダクター(牡2、美浦・上原厩舎)。2週前まではモサッとしていたが、1週前はウッドで67秒台を馬なりでマークと変わり身を見せている。ヒシアマゾンアドマイヤムーンの出たマイケイティーズの一族。久々に大物を見たいものである。

チーフコンダクター

▲良血の流れを汲んでいるチーフコンダクター



アークアーセナル
牡、美浦・国枝、ダイワメジャー×ディスカバリングビューティー
POGシメイ

スターズレディ
牝、美浦・栗田徹、ヴィクトワールピサ×レディマールボロ
POGシメイ

チーフコンダクター
牡、美浦・上原、メイショウサムソン×ファーストチェア
POGシメイ

新規入厩では、待ちに待ったサトノケンシロウ(牡2、栗東・池江寿厩舎)がようやく栗東入りした。全姉にエリザベス女王杯勝ち馬ラキシス、全兄にマイル戦線で活躍中のサトノアラジンがおり、セレクトセールでは2億円もの額がついた超期待馬。ただ成長が遅く、POG本の取材時は小柄で評判も低調だった。そのためデビューは最初から年内は厳しいと聞いていたので、進行そのものは予定通りと言えるのかもしれない。馬体は450キロくらいまで成長しているが、まだまだ弱いところはあるようなので、この後も順調に行けるかが課題になる。このあたりの問題をクリアできれば、血統的にオープンまで行ける馬。皐月賞は無理でも、京都新聞杯に出られるくらいにはなってほしいものだ。
マクスウェル(牝2、栗東・藤岡健厩舎)は、大きなアクシデントは無かったものの、小柄な馬体を考慮してか、ゆっくりと時間をかけての調整で年末入厩となったか。従兄弟には来年のクラシック候補でホープフルS最有力のバティスティーニがおり、こちらも負けていられない。