
初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『今年もよろしくお願いいたします』
2025/3/4(火)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。今年はじめての更新となります。せっかくなので勝って更新したいと今年も思ってしまい、今の今まで更新できずに3月になってしまいました。では、最近起きた私に関する競馬関係のニュースについて書いていきたいと思います。
まず最初に、マジカルステージの初子が無事1月に生まれております。父はルーラーシップの男の子です。牧場スタッフによると初子にしてはしっかりとしたフレームをしているとのことですし、1月に生まれているというのはなんとなく心強い感じがします。無事に成長していってもらって母の叶えることのできなかった大きな舞台への出走を果たしてほしいですね。


マジカルステージの初仔
で、マジカルさんは今年のお相手はシスキンとなりました。すでに今年の種付けは完了しております。




母のマジカルステージと
一緒に持ってくださっているのは辻助さん。もともとエオスモンが引退した時に辻牧場さんに貰っていただいている経緯があり、さらにはこの年の私の愛馬達、オツウの仔、イイナヅケの仔とたてつづけに不幸が続いてしまい持ち馬がマダムジェニファーの23一頭という状態となっていましたので、是非エオスモンの仔を売ってください。ならば半持ちで、ということになりました。
という流れで半持ちです。半持ちがなんなのかというのはまあ言葉の通り二人で一頭を持つということです。2分の1の権利ですので費用も半分、賞金も半分ですが、リスクも半分というわけです。そして一緒に喜んでくれる仲間がいるぶん楽しさは二倍になる感じですね。
父はデクラレーションオブウォー。初子のエーオとまったく同じ血統となります。関係者のコメントによると初子よりも一回り大きく出ているので期待できるとのことです。
すでに去年の8月から未勝利状態の私です。ここまで勝てないと、いつか勝てる日がくるのだろうか、いつまでも勝てないのでは、と不安になる時もあります。口取りがしたいなどと言っていた自分がものすごい高望みをしているのではないかと思ってしまう今日この頃。
とはいえ毎年自分の馬が勝ちあがってくれるということが、どれだけ恵まれているかと思う日もあったりします。それが自分ではなく周囲のスタッフの皆さんと愛馬達ががんばってくれている以外の何物でもないのでとてもありがたい……。
でもそれで満足してしまってもよいのだろうか……。そんなことを思いつつも競馬はしゅくしゅくと開催され続けています。毎年毎年、今年こそはクラシックへ出走して欲しいと毎年書いていました、が今年もクラシックへの出走は無理のようです。
毎年、毎回思いますが競馬は難しい。今年の2歳は2頭、シニスターミニスター×マダムジェニファーの23、デクラレーションオブウォー×エオスモンの23、芝というよりはダートでという感じがしなくもないですが、とにもかくにもまずは無事にデビューまでこぎつけていってほしいです。今から良い名前を考えなければなりません。
最近馬主とはどうあるべきかとよく考えます。物書きである自分の仕事と馬を走らせるということがかけ離れすぎているので状況を良くするために何ができるのかと考えたりします。
ですが、いつも思い直します。馬主とは応援することが仕事なのだと。複数の現場の人から直接聞かせてもらったことが何度かありますが、何もしないのが良い馬主なのだそうです。
好きにやらせてもらえるとやりやすい。馬主がうるさいことを何も言わないから現場はじっくり取り組むことができる。確かに脚本に置き換えて考えてみると、何も知らない素人のスポンサーが偉そうにああだこうだ言ってきたらふざけんなと思います。結局のところその道のプロにお任せするのが一番なのだということは普通に考えればわかりますよね。
最近実感しているのは、競馬をしていれば良いときもあれば悪い時もあり、それは自分ではコントロールできるものではありません。悪い時はじっと息をひそめてやりすごし、良いときはそれを大いに喜ぶべきでしょう。
そして自分はでしゃばったりせずに静かに見守るのが一番だということ。年を取って仕事も、人との交流も減り、生活が単調になり言いたいこともあまりなくなってきているからかもしれませんが、結局のところ馬主は見守ることが仕事なのでしょう。
というわけで愛馬近況をちょっとだけ。カリボールは再来週の阪神で出走予定になっています。パッカパッカブーも先日入厩しています。中山3週目が目標とのことです。シックスパックは外傷を負って三たび外厩へ放牧です。まずは怪我を治してという感じです。
アーブルラーブルは外厩で坂路を15秒くらいでじっくり乗っています。もともと足元に不安があった馬ですのでじっくりやっていく方針とのこと。オシゲとコウリュウは現在療養中。まだまだ時間がかかりそうです。そしてエルデストサンですが、復帰へ向けて順調に乗り込んでいるかと思われます。4月の北海道が楽しみです。
マジカルステージの仔が生まれ、これからイイナヅケ、マダムジェニファー、プリティジェニーの仔が生まれてくる予定となっています。そしてイイナヅケの24(牡)、マダムジェニファーの24(牝)、バトーデュシエルの24(牝)が一つ年をとりました。気が付けば大所帯となっている感じですが、皆頑張ってくれることでしょう。
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。