初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『アラスカノオーロラ』
2019/3/27(水)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。今回は先日2勝目をあげた馬主・丸山担さん所有の馬、アラスカノオーロラ(牡4、美浦・小島茂厩舎)について触れたいと思います。
このアラスカノオーロラ(4歳牡馬)、女性騎手の3キロの減量が実施された当週に、藤田菜七子騎手が見事1番人気に応えて勝利したことで皆さんの記憶にも残っているのではないでしょうか?父キンシャサノキセキ、母ポジショントーク、ちなみにポジショントークのお母さんはあの名牝シングライクトークです。
小島茂之厩舎所属で担さんがお母さんのポジショントークも所有しています。初出走は去年の2月、ダート1400mの新馬戦に出走し、見事に新馬勝ちを収め、昇級後も期待されましたが、3回走って思うような結果がでません。ですので、戦場を芝へと切り替えると、その強さを発揮し、2着、2着と来て、前走は中団待機からの直線へ向けて徐々に先団へととりつき、直線に向くと満を持して追い出し、危なげなく突き抜けました。その勝ちっぷりは1番人気の横綱相撲的な感じで、安心して見ていられました。上のクラスにあがっても楽しみだと思います。
そのアラスカノオーロラ、その名前に僕らの仲間内でしか知らないエピソードがございます。それは何かといいますと、このアラスカノオーロラという名前、僕らの行きつけの焼き肉屋さんのメニューの名前からとったものなのです。
その焼き肉屋さんは大久保にあるかぶら亭、このコラムにも何度か登場しているお店で、生でも食べられるカルビ刺し(あぶって食べます)や通称棒肉と呼ばれる巨大な肉であるリブロースや刺しの入りまくった若者向けの特上カルビ、お年寄りにも優しい赤身のイチボなど、何を食べても美味しいお店なのです。
昔からこのお店は知っていて、ジャスタウエイが重賞を勝った時など、祝勝会で良く使用していたのですが、ジャスタウエイが引退した後も事あるたびに、ここで宴会を行っておりました。近い話だと丸山さんや保坂さんの共同所有であるシンガポールのジュピターゴールドがG1を勝った時の祝勝会の会場や去年の忘年会なんかもここでした。言うまでもなく担さんも宴会には何度も参加してくださっていて、ここでの食事を重ねているうちに、アラスカノオーロラという名前をメニュー表に見つけ、良い名前だなと思いポジショントークの仔に付けることを思いついたのです。
担さんはかぶら亭のマスターに競走馬にこの名前を付けても良いでしょうか、と許可とりもしている姿を横で見ていたので間違いありません。
では、このアラスカノオーロラ、いったいどんな食べ物なのでしょうか?焼き肉屋だけに肉なのでしょうか?それともサラダ?はたまた一品料理?
というわけでこいつがその写真。一見なんだかわからないかもしれませんが、これデザートです。アイスクリームにメレンゲをコーティングしその下にはイチゴジャム。メレンゲにかけたリキュールをフランベして出てきます。今回、前回と炎は消えてしまい撮影には失敗しましたが、リキュールが燃えている姿はまさにオーロラ。
メレンゲを被ったアイスが流氷的なものをイメージしている感じです。味はというとジャムのさっぱりな甘味とアイスクリームのなめらかさとメレンゲのふわふわが混然一体となり上品なデザートに仕上がっております。お世辞抜きでかなり美味しいですよ。アラスカノオーロラの活躍以来、必ず頼むデザートとなっております。
アラスカノオーロラ、次走は昇級し1000万条件となりますが、きっと頑張ってくれるはずです。マスターの喜ぶ顔を見るたびに担さんや僕らもうれしい気持ちになりますね。こういう名前の付け方もとてもよろしいかと思います。何より、かぶら亭に行くきっかけになりますね。これからもどんどんと活躍してほしい。応援しております。ちなみに彼には馬券でも何度もお世話になっております。
さらにこぼれ話ではあるのですが、このお店にはジャスタウエイとアラスカノオーロラのゼッケンが並んで飾ってありますので、皆さんお店にご来店の際には見ていってください。どちらも本物でございます。
さらにはこのアラスカノオーロラの弟にジャスタウェイ産駒の男の子がいることをここに書いておきましょう。2017年なので今年の夏以降にデビュー予定です。こちらもとても楽しみですね。
さて、我が愛馬達の近況も、カリボール(牡3、栗東・須貝尚厩舎)は調整が順調に行けば、桜花賞の週の阪神の500条件に出走予定です。あくまで予定なので気がつくとニュージーランドトロフィーやアーリントンカップに出走していても驚きはしませんが、前回話したときは自己条件で行きましょうということになっております。
これも相手次第で変わってくるのを覚悟しつつ、出走の日を待ちたいと思います。桜花賞の週まであの桜が散らないでいてほしいなあ。そして今年の2歳馬であるエオスモン、調教が順調という話はしましたが、動きもなかなか良いそうです。友人知人方面より牧場での良い噂が聞こえてきます。本当かどうかは走ってみなければわかりませんが、今からとても楽しみでございます。
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。