初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『やってくれました』
2022/6/27(月)
ではレースを振りかえります。前走は休養明け、芝1600ｍのレースへと距離短縮し挑みましたが、見どころのあるレースで3着でした。今回は叩き2戦目、芝の2000ｍに戻しての未勝利戦、前走に引き続き鞍上は西村騎手で挑みました。
1枠1番、スタートはまずまず、ですが二の足があまり早くなかったので無理せず先行グループの後方の内側、5番手にポジションを取りました。内枠だしあまり切れる脚がないので今回は逃げるかなぁとか漠然と思っていましたが、結果的に無理しなかったのが良かったですね。一番人気の馬は折り合いを欠いていたように見え、そうそうに手ごたえが怪しくなって、4コーナーでは2着馬が抜群の手ごたえで外を回って先頭に並びかけました。相手の手ごたえが抜群な反面、こちらは激しく仕掛けていました。これは2着馬圧勝かとも思いましたが直線に向くと2着馬を目標にじわじわと伸びていきました。西村騎手が必死に追ってくれたお陰で2着馬に並びかけることができ、ゴール前できっちり捕らえて先頭でゴール。キングロコマイカイにとって大切な1勝であると同時に西村騎手通算200勝目となるメモリアルの勝利となりました。僕にとっては辻牧場さんとのタッグでの初勝利。キングロコマイカイは辻牧場さんにお願いしている繁殖牝馬から生まれた仔の中での一番仔。男の子でしたので一つ勝ってくれることがとても重要だと思っていました。いやあ、本当に良かったです。
前にも書いたかもしれませんがキングロコマイカイは我が愛馬オツウの二番仔、期待があまりにも大きかったのでノーザンファームの方になんとかお願いしてキングカメハメハをつけさせてもらった経緯がありました。
無事受胎して出産、ということになりましたが、出産当時は競走馬になれないのではないかと危惧されるほど足が曲がっていたそうです。競走馬を目指すのか目指さないのかという選択を迫られ大変でしょうが目指しましょう、という決断をした瞬間から辻牧場スタッフの皆さんの大変な苦労が始まりました。
脚元に気を付けながら矯正しつつの育成です。僕には育成の細かい内容などはわかりませんが、他の馬に比べても大変な苦労があったかと思われます。それでも育成は進んでいき、無事入厩、ゲート試験に受かって初出走。正直勝つまではどうかなぁという内容でしたが、2戦目、3戦目も鞍上の指示によく従い、器用な競馬をしているような印象がありました。3戦目の後に吉澤ステーブルへと放牧に出しました。これは結果論であり私見ではありますが、無理せずにここでじっくり放牧に出したのがとてもよかったのだと思います。4か月の間吉澤ステーブルさんでしっかりと乗り込まれた結果、馬が筋肉質になってきたとの報告の通り、迫力のある馬体となって競馬場に戻ってきてくれました。
その予感の通り前走の3着激走。さらには休養明けの手ごたえだったという西村騎手のコメントの通り、今回は最初から最後までしっかり走ってゴール前きっちり前を行く馬をつかまえてくれました。走破タイムは2.00.6、なかなか良いタイムでしたので上のクラスにいってもきっと頑張ってくれることでしょう。須貝先生も手ごたえを感じているようでした。
というわけで今回メイチの仕上げをしていたそうですので、キングロコマイカイは休養となります。北海道でちょっとゆっくり夏休みを過ごしていただき、これから先の戦いに備えてもらいましょう。今回の勝利、須貝厩舎の皆さんは勿論、辻牧場さんの各部署のスタッフの皆さん、そして吉澤ステーブルと沢山の人達の協力のお陰です。本当にありがとうございました！今回の勝利は本当に嬉しい！
そして我が愛馬カリボールがオープン昇級後、初となるレースを迎えます。CBC賞、通常ならば中京で行われるスプリント重賞ですが、今回は小倉での開催とあいなりました。ハンデ戦ですのでチャンスはあると思います。前走が見事なレースで、勢いもありますのでやってくれるのではと思っているのは僕だけではないはずです。須貝先生もチャンスはあると言ってくれておりましたので、秋の大きいところという妄想を是非実現させていただきたい。しかもサマースプリントシリーズですので、ここでもし勝つなんてことになれば、そっちのほうの妄想も膨らんできたりします。まだ走ってもいませんが、馬主はこうやって妄想に妄想を重ねていくのでございます。
もし勝ったらスプリンターズSかその前にもう一戦してボーナス狙っちゃう？とかね。とにもかくにも久しぶりの愛馬の重賞出走です。わくわくしながら一週間を過ごしたいと思います。あんまり人気ないのかしら？
そしてもうひとつ、今回残念な結果だったマジカルステージは馬の状況次第ではありますが、中一週でもう一度使ってくるかもしれません。どこを使ってくるかはまだ流動的ではありますが、きっと次は巻き返してくれることでしょう。そしてエルデストサン、もしかしたら北海道シリーズの新馬戦を使うかもしれませんとの情報を小耳に挟みました。詳細わかりましたらまたお伝えしようと思います。
そしてもう一頭の2歳馬。ジャスタウェイ×マダムジェニファーの牝馬、名前が『プリティジェニー』と決定いたしました。マダムジェニファーの娘がプリティジェニーというのはうまい感じでいったのではと自画自賛。プリティは日本語でかわいい。ですので、ウィキで大和屋の作品を確認して、こんなもんまでやっていたのかと思っていただければ幸いです。
リカちゃん派にバービー派に……ジェニー派だっていたのです。小柄な牝馬ではありますが、動きはなかなかとの報告を受けております。今回初めてとなる西村真幸調教師にお願いすることになりました。とても優秀な成績を収めている調教師さんです。既に入厩しているとのことですのでそう遠くない未来に競馬場で会えるのではないかと期待しております。まずはゲート試験。頑張ってね！
というわけで今週末はカリボールが出走します。鞍上は西村騎手、最近のうちの馬の勝利はほぼほぼ彼が挙げてくれていますのでとても楽しみにしております。今週の勢いそのままに同じ勝負服で重賞制覇といってくれることを祈ります。久しぶりに重賞勝って大騒ぎといきたいところですね。関係各所の皆さま、宴会の準備よろしくです！
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。
