初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『ヒヒーン初陣』
2023/6/6(火)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。突然ですが我が愛馬ヒヒーンが初陣と迎えるとのことです。新馬一番乗りを果たしたテラメリタと一緒に調教していたのでどうなのかなと思っていましたが今週使うとの連絡が来ました。鞍上は酒井学騎手。阪神土曜の芝1600mを使ってくる模様です。
須貝先生によると「勝ち負けできると思う……多分」……凄い手ごたえを感じているようです。調教も動いているようですし、ノーザンファームにいる頃から常に順調に来ている仔でしたので、さくっと新馬勝ちをしてくれると嬉しいですよね。
先週から始まった新馬戦、須貝厩舎のテラメリタは勿論、シュトラウスとかいう凄い勝ちっぷりの馬なんかもいますので、肩を並べるにはまずはここをクリアーしないと始まりません。是非ともヒヒーン旋風を巻き起こしていただいて、暮れのG1ウィークのインタビューで須貝先生のヒヒーン、ヒヒーン言ってもらわねばなりません。そのためにはまずは今週、実況の方にヒヒーンを連呼していただきましょう。
新馬で良い勝ち方をしてくれれば、SNSでも皆ニヤニヤしながらヒヒーンをいじってくるでしょう。そしてわかっているでしょうから競馬関連のニュースでもヒヒーンは取り上げられるはず。少なくとも月一でコラムを書いているギャロップではカラーで写真をでかでかと載せてくれると僕は勝手に信じています。
冗談みたいな名前になった経緯は過去に話しましたので、それとは違う角度でヒヒーンについて少し語ろうかと思います。
ヒヒーンは父ジャスタウェイ×母イイナヅケの牝馬、須貝尚介きゅう舎に所属しております。ジャスコ、エルデストサンの全妹です。でもってイイナヅケの三番目の子供。ちなみにイイナヅケは毎年ジャスタウェイとの種付けを行っている世界でも稀有な存在です。言うまでもなく私の所有馬で、ノーザンファームさんに預かっていただいています。
ジャスコは残念ながら未勝利のまま引退しましたが、2着や3着にも来ていましたし、本来ならば未勝利は脱出できていたのではと思えるような末脚の持ち主でした。兄のエルデストサンは現在1勝クラスで骨折休養中。怪我さえなければもっともっと上のクラスで戦っていたはずの存在でした。
そんな上の二頭よりもかなり上の評価を生まれた時からいただいておりましたこの仔、育成でも優等生、そしてその後もずっと順調に来ていたとの言葉通り。いつの間にかゲート試験も合格していて、あっというまにデビューの日がやってきたというわけです。
ジャスコの時にも思っていたのですが、この仔が強い馬になってくれれば、世の中も少しは明るく楽しい世界になってくれるはずでございます。ジャス君が走ってくれていた楽しかったあの頃に少しでも近づいてくれると私も、その周辺の皆さんも、競馬ファンの皆さんも喜んでくれると思います。競馬界を盛り上げるため、頑張ってくれ!ヒヒーン!
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。