初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『だから言ったでしょう!笑』
2023/6/15(木)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。我が愛馬ヒヒーンがやってくれました。実況のおじさん達をヒヒーンヒヒーンと嘶かせてやりましたよ、この仔ったら。
単勝5番人気の24.1倍という低評価を覆し、スタートからゴールまでなんとも危なげない優等生な競馬っぷりで1着でゴール。見事新馬勝ちを収めてくれました。
調教やたらと動いている馬、坂路で軽々51秒台とかもうG1で戦かってる馬か!みたいな感じのお馬さんが一杯いたので人気にはならなかったようですが、うちの仔も結構良い調教をしていたようでしたので頑張ってくれるのではないかと思っておりました。蓋を開ければすべてがこちらに流れが向いてくれたかのような感じでした。
断然の一番人気の馬が大きく出遅れ、他の人気馬達は出遅れたり包まれたりとうまく実力を発揮できなかったようにも見えました。まともに他の仔達が実力を発揮していたらどうなっていたかとも思いますが、自分の馬が勝つときはこんなもの。全てが嚙み合って勝利が転がり込んでくるものなのだと思います。
ゲートが開いてレースがスタートすると、上手にスタートを決めて好位の二番手に取りつくと、そのまま折り合って逃げ馬をマーク。直線に向くと押し出されるように先頭に立つと、ほぼほぼ仕掛けることなく上がり最速の脚をくりだし余裕の先頭ゴールイン。100点満点の競馬だったと思います。単勝2410円馬連5000円、3連複4910円(馬連よりつかないとは……)、3連単52210円也、結構つきましたねえ。
というわけで私の今年入って最初の勝利はヒヒーンちゃんがもたらしてくれました。次走は未定、放牧に出るとのこと。まだまだ成長の余地を残しているそうですので、これからもっと良くなってきてくれると思います。
牡馬混合のこの時期の新馬戦を完成途上の状態で勝ってくれるのですから、妄想はどんどんと膨らんでいきますね。G1直前の須貝先生の共同記者会見でのインタビューも夢ではなくなったのではないかと思います。本当にヒヒーンを連呼してくれる須貝先生の姿が目に浮かびます。
お陰様でヒヒーンちゃん、がっつりトレンドになっていた模様です。あの直線の実況を聞いてお茶を吹いた人もいっぱいいることでしょう。これから先、もっともっと大きなレースで戦うことになればさらに沢山の人に笑顔が届けられることでしょう。大切なのは笑いです。
皆さんもいろいろと大変なことや悩んでしまうこと、頭にくることもあるでしょうが、そんな時はヒヒーンのレースを見てください。世の中には私のようなバカなことを真面目にやって楽しんでいる人間もいるのです。難しく考えていたのがアホらしくなるかどうかはわかりませんが、ヒヒーンを連呼する実況の方のプロの喋りを聞いてもらえればほっこりすること間違いなしです。
というわけでヒヒーン号は見事にやってくれました。新馬戦を勝ち上がって世の中を少し明るくしてくれたはず。次に控えるのはオツウの息子、パッカパッカブーが世の中をきっとほっこりさせてくれるはず。現在吉澤ステーブルまで来ております。順調に調教を重ねていますので入厩もそう遠くないかと思われます。名前をつけたときは縛りをかなぐり捨てて自由になれたような気がした50の夜だったのですが、ヒヒーンがインパクトのあるデビューを飾り、予想通りに凄い話題となってしまった今、来年の彼らの弟、妹にはどんな名前をつけようか……今から考えておかないと、とか思っていたりいなかったり……。
念願の今年の初勝利、本当に良かったです。ヒヒーン!
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。