初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『オシゲ3勝目』
2024/5/11(土)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。世の中にははままならないことが沢山あります。どんなに穏やかに毎日を過ごそうと努力していても面倒には巻き込まれるし、悲しいことや耐え難い喪失はやってくるのです。
生きていれば良いことも悪いことも起こるのです。悪いことが起きれば良いことも、良いことがおきれば悪いことも。だからこそ愛馬の好走は嬉しいし、愛馬の凡走は悲しいのです。そして今回は好走の番でした。
まず最初にオシゲが待望の3勝目をあげてくれました。
ゲートが開くと好スタートを決めて馬群へととりつきます。無理してポジションを取りにいかずに中段後ろの外でレースを進めます。向こう正面では外から進出する馬に被せられてしまいポジションを下げることになりました。
須貝先生も言っていましたが佐々木騎手とは手が合うというのもそうですが、良いめぐりあわせなのでしょう。彼が乗ってくれた時は3戦2勝、2着1回。上のクラスでも通用しますと言ってくれているようですので、是非、上のクラスでも乗ってくれると嬉しいなぁと思っております。気づけば準オープン。その壁を突破すれば待望のオープンです。
このままダートで行くのか、芝を試してみるのかといろいろと妄想は広がりますが、須貝先生が熟考してくれるので報告を待つことにいたします。そろそろ夏競馬が始まります。須貝厩舎得意の北海道シリーズ、佐々木大輔ジョッキーがリーディングをとった北海道シリーズです。楽しみ以外の何物でもありませんね。
何故かと言えばカリボール、実力はあったのですが脚元に問題を抱えておりまして、その問題がようやく改善されてきていたのです。前走は好走を期待していたのですが落鉄した上に馬場状態が馬場状態でしたので度外視でした。
状態は引き続き良いとの報告をいただいており、調教がかなり良かったことも相まって、今回こそは、と西村先生や我々関係者一同は期待していたのです。
レース内容はタンザナイトSの時のモリス騎手が乗ってくれた時のような感じでした。好スタートから中段後方で追走、脚をためて直線ではインをつく形。一度先頭に躍り出たものの、最後は2頭にかわされての3着。とはいえOP3着です。代打騎乗の川須騎手のナイスな騎乗、ありがとうございました!
3着……悔しいには違いないのですが、オープンにあがってからのこの二年間。ずっと苦労を重ねてきた中での3着です。途中では馬が自分でレースをやめてた時期もありましたし、ダートだ距離延長だといろいろと試行錯誤をしてきました。
そんな迷走カリボールなのですが、こんなにも凡走が続いている馬を嫌な顔ひとつせずに預かってくれている西村先生にはまず大感謝ですし、西村先生もきっと走ると信じていてくれたようです。そして前走、オープンでもやれるはずだと信じてやってきた結果がようやく出てくれました。
馬場や展開が向いたとか様々な理由もあったかもしれません。それでもOP3着です。気づけばかなりの高齢馬となってしまいましたがまだまだやれる。今回の結果が次走やその先にもつながっていってくれるならば、秋には大きなところを妄想しても良いのです。
個人的には彼の好走はとても嬉しい。何度も脳裏をよぎった引退の二文字を払拭してくれる走りだったと言っておきましょう。次走は福島テレビオープンを予定しております。
というわけで誰かが背中を押してくれたかのようなオシゲの勝利とカリボールの好走。悪いことがあればよいことも起きるのです。だからこそ僕たちは歯をくいしばって生きていくのだと思います。
2歳馬情報です。さっそくですがオツウのラストクロップが移動しそうです。須貝先生から電話がかかってきて書類をそろえて送ってくれとの指示をいただきました。
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。