初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『セレクトセールに行ってきた 前編』
2024/7/12(金)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。先日セレクトセールに久しぶりにいってきました。コロナ渦以降ずっといっていなかったのでちょっとした浦島太郎気分を味わいましたが、無事に一頭、バトーデュシエルの24を競り落とすことができました。
父ドレフォンの牝馬で値段は3000万円、まったく落とせると思っていなかったので驚いております。では波乱万丈の北海道旅行記、振り返っていこうかと思います。
今回は久しぶりに登場のそうへい君が一緒に来てくれることになりました。なのですが、セレクトセールからはもう案内が来なくなっています。何故ならばもう3年くらいセールに行っていない上にエオスモン以降(ショア―の2018)、私はセリで馬を一切買っていないのです。
というわけで申込用紙をHPからダウンロードして必要事項を書き込んで送ります。これで万全かと思っていたら、数日後、記入漏れがあるとのことで電話がかかってきました。住所を途中までしか書いていなかったようです。
さらに去年、一昨年に実績のない人間は同伴者も一名までしか連れていけないとのことでした。一緒に行くはずだったそうへいくんは別の馬主さんの名簿に入れてもらうことにしてもらいました。とまあ、そんな感じで登録完了。あとは準備をしなければなりません。
飛行機はほぼほぼどの便も満席状態。普通の席を取るのもなかなかに難しい状態でしたが、なんとか朝の7時のフライトの飛行機を予約できました。そうへいは久慈からフェリーで来るとのこと。宿も一日目は千歳、二日目は札幌にそれぞれとって準備完了。あとは当日の朝を待つばかりとなるはずでしたが……。
フェリーが座礁したとのニュースが入ってきたのはその数日後、苫小牧のすぐ近くで座礁したとのことですのでそうへい君の旅程で何か影響があるのではとラインをしてみると、予定の船は欠航となっていたようです。結局そうへい君は前泊して合流することにしたそうです。波乱の幕開けのセレクトセール、しかし波乱はこれだけではありませんでした。
なんということでしょう。私が人生初、飛行機に乗り遅れてしまいました。朝の4時台から起きて準備をして6時に車で出発、駐車場に車をとめ荷物を預けに行き旅券を見せると、なんということでしょうか、案内してくれるお姉さんが目を合わせようとしてくれません。
一応確認はとりますけどもう締め切ってるから乗れません的なニュアンスです。なんとかしようという気はまったくなく回り込んでも目をそらします。結局フライト20分前に到着できなかったので別便でいってくれということになりました。
次の飛行機は満席、乗れたのは9時半のフライトです。結果狙っていた最初のジャスタウェイ産駒のセリには間に合わないということになりました。もしかしたら、呪われているのかもしれないという考えが脳裏をよぎります。
さらには9時半のフライトが機材準備のために遅れが出て、結局10時出発になってしまいました。これは競馬の神様が行くなといっているのかとも思いましたがもう飛行機に乗ってしまったので引き返すわけにもいきません。北海道の地へと到着すると東京と異なり涼しい空気が我々を迎えてくれたのでありました。
荷物を受け取り外に出るとそうへいくんが待っていてくれました。飛行機に乗り遅れた時点で先に行ってくれと言ったのですが、待ってると言ってくれたとても良い人です。
あとで聞いたら9時半到着だと思ったので待ってるといったがこんなに待たされるとは思っていなかったと言っていました。車も借りておいてくれました。ありがとう。
ではさっそくノーザンホースパークに向かいましょう。ナビに行先をセットして出発進行。しばし進むと、何かおかしいことに気づきます。こんな道、通った記憶がありません。
うっそうとした森が続くその道は、本当にノーザンホースパークに続いていく道なのだろうかと思うと同時に、やはり競馬の神様は我々にセリに行くなと言っているのではないだろうかと思ってしまうようなエピソードが次々と襲い掛かってくるのはいったいなんなんだろうと思ってしまいます。
というわけで無事中へ入ることができましたが、駐車場が会場からかなり離れた芝生の上。見渡す限りの車車……沢山の人が来場していて、とても私なんかでは馬は買えないだろうという気になってしまいます。とはいえここまで来たのだから行かねば仕方ないだろう。手続きをすませカタログとボールペンを手に席へ向かいます。
前もって聞いていましたが昔あった自由席だった場所はすでに招待席へと変貌し、以前は会場の外だった場所に自由席が設置されています。そこには食事用のテーブルで場所取りは絶対にしないでくださいと書かれていました。
席を用意してもらうには前年に一億円以上のお買い物が必要だと聞いたことがありますが私はそんな大金を使ったことはありませんので席が用意されたこともありません。こんなこともあろうかとビニールシートを持ってきていたのでちょっと敷いてみたりしました。
というわけで行こうと思ったきっかけになったはずのジャスタウェイ産駒のセリに遅刻した僕は血統でいつもお世話になってるNさんにこれなんてどうでしょうと何頭かピックアップした上場番号を渡したのですが、どれもこれもちょっとピンとこなかったらしくGOは出ませんでした。
そんなこんなで一日目は終了です。気が付けば文字数が結構な感じになっているので後編へ続く。ということにしようと思います。
今週は私の愛馬のカリボールとオシゲがスタンバイしております。なんとか頑張っていただきたい。オシゲもカリボールもチャンスはあるぞと思っていたりする今日この頃なのでした。 了
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。