初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『川流れのコウリュウ』
2024/9/4(水)
皆さん、こんにちは。ライター大和屋です。先日地方競馬の馬主資格を取得したことを書いたと思うのですが、とうとうその日がやってきました。ホッカイドウ競馬に我が愛馬コウリュウが入厩します。
きゅう舎はなんと田中淳司きゅう舎です。ホッカイドウ競馬といえば田中淳司厩舎といってもよいあの常にリーディング独走中の田中厩舎でございます。先日1800勝をいう天文学的な数字を達成したあの田中厩舎でございます。
そんな常勝軍団に顔をつないでくださったのはいつもお世話になっているNさんや辻牧場さん、いつもありがとうございます。感謝してもしきれません。
というわけで状態もあがってきているコウリュウくん。デビューの日は近そうです。一緒に長期休養しているエルデストサンもBTCへ移動したとの報告をいただきました。復帰へ向けて大きな一歩を踏み出してくれました。
エルデストサンも田中厩舎で預かってくださるとの話を小耳に挟んでおりますのでどちらも期待しております。まずはコウリュウのデビュー戦がすごく楽しみでございます。
ではコウリュウ君について少々話したいと思います。この仔、幼少のころに放牧中に鉄砲水に流されてしまっています。牧場スタッフが捜索した結果、河口近くで平気な顔をし草を食べているところを発見。奇跡的に助かりましたが、その時の影響で雑菌が体内に入り込み、ウイルス性のむくみやなんかで脚元に常に不安がつきまとっておりました。
結果デビューが遅れに遅れて今に至るという感じなのですが、ようやく元気になってくれ、状態がよさそうなので入厩しましょうとの話になりました。
なんというか鉄砲水に流されるなんてことを聞いただけでもう自分には理解を超えるストーリーなのですが、こればっかりは自然災害ですのでどうにもなりません。
話を聞かされた時はとても現実のこととは思えず思わず笑ってしまったのですが、よくよく話を聞くと他の馬も一緒に流されてしまっていて、中には死んでしまった仔もいるとのことでしたので笑えない出来事でした。しかも結果を見るとその影響で足がむくんだり速い時計が出せなかったりと影響はかなりありました。
そんな過去を持つ彼がここまで来たというだけで本当に感慨深い思いです。ようやく、本当にようやくここまでもってくることができました。辻牧場の皆さま本当にありがとうございました!
というわけで出走体制がやっとようやく整いました。川に流されても生き残ったその強い星の元、持ってる彼はきっとここから頑張ってくれるかと思います。
ちなみに名前の由来なのですが私が昔やっていた番組に子供のころに川に流され死にかけたというエピソードを持つイケメンのキャラクターがおりまして、そんな彼からインスパイアでオマージュ的な感じかもしれません。はっきりと断言することはありませんが、同じく川に流された縁で、大きな川の流れという意味でコウリュウと名付けさせていただきました。
コウリュウにも主役級の活躍を期待しております。重い過去を持つ男は皆総じて強い男が多いのです。そんなこんなで川流れのコウリュウ。いざ初陣です。すべからく観よ!
とまあいろいろとありましたが基本的には皆順調です。キングロコマイカイは足元に不安が出てしまいしばし休養ということになりましたが、それ以外は皆順調です。
パッカパッカブーはこちらも辻牧場さんの紹介で美浦の堀内厩舎へと転厩になり、現在入厩済みで調整中です。近いうちに使ってくるのではと思われます。
カリボールはセントウルSを使うみたいです。前走は外枠と出遅れが響いたかんじですが、着順ほどは負けていませんので巻き返しに期待です。うまいこと内枠を引いてくれればまた一発あるかもしれませんとか妄想しております。人気もないですし。
エポエポサンもゲート試験に合格済み、同じくゲートに合格しているシックスパックも吉澤ステーブルで調教を積んでおります。マダムジェニファーの22も急がずに調教を積んでいますが急いでいないだけで問題なくきているとのことです。
オシゲもOP入りとなったのでご褒美の休養中、戻ってきた時にはどこから始動するのか今からとても楽しみです。皆頑張ってください!
了
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。