初めての個人所有馬ジャスタウェイがレーティング世界No.1の評価を獲得し、種牡馬に。
人並み外れた馬運の持ち主が脚本家という本業のキャリアを活かし、馬主ライフを書き下ろします。
『名前決まりました』
2015/3/12(木)
先週の弥生賞、ベルラップは勝負どころで脚がなくなり見せ場なく9着という残念な結果となりました。休養明けが原因という見方もできますが、結果的に調教が少し強すぎたのかなぁとか個人的には思いました。とはいえ、次はきっと巻き返してくれることでしょう。人気ももっとなくなるでしょうし、超狙い目ですよ。頑張れベルラップ。
▲大和屋オーナーも一口出資のベルラップ
大相撲春場所も序盤戦を終えました。今場所も盤石の横綱白鵬が中心になるのは間違いないようですが、荒れる春場所、面白くなってくれることを期待です。そして、注目の十両、大和屋一押しの輝は現在1勝3敗と黒星先行ですが、まだまだ序盤、十両全体を見渡しても混戦模様と言っていいでしょう。ぜひとも頑張って勝ち越して欲しいところです。
そんなこんなで本題です。今回の更新、メインのネタは表題の通り名前決まりました、という内容、なんの名前が決まったのかというと、我が愛馬、「カイゼリンの13」の名前です。
父ワークフォース、母カイゼリンの牝馬です。去年のセレクトセールで購入させて貰った優しそう目をした可愛らしい仔なのですが、当時ジャス君の嫁落札と話題になっていたのを皆さんご存知でしょうか?その嫁候補、どんな名前を付けようかと色々と考えていたのですが、まあ嫁候補ということですので、色々と考えた結果『イイナヅケ』と相成りました。
▲昨年のセレクトセールで落札されたカイゼリンの2013
愛称は色々と考えた結果、ナヅちゃん、もしくはナヅナヅというのが良いかと思ってます。まんまじゃねえか、と突っ込みをされそうな勢いですが、インパクトがあり且つ牝馬らしい可愛らしい良い名前がつけられたのでは、と自画自賛状態です。
『ズ』ではなく『ヅ』なところがポイントです。最初はズしかつけられないかなと思っていたのですが、辞書で調べるとヅという表記もあって、どちらでも良いらしいということを知りました。『イイナヅケ』と『イイナズケ』文字を見比べて色々と考えた結果、ヅのほうにしてみました。
名前の由来は婚約者、言うまでもなく、そのお相手はジャス君でございます。ジャスタウェイのイイナヅケとして、その名前に恥じない良い走りを期待です。更には現役引退後、ジャスタウェイのお嫁さんとして活躍してくれることを祈ります。
ここで皆さんはあまり知らないことと思うので、競走馬の名前の付け方というのを披露しようかと思います。日本の競走馬の場合、中央、地方も含めてジャパン・スタッドブック・インターナショナルというところへ申請します。所定の申請書類を血統登録証明証と一緒にFAXします。
その書類には父と母、それから馬の登録番号(生まれた時からその番号は登録され、馬には必ずその体内にマイクロチップが埋め込まれています)、そして名前とその由来、英語表記を書き込みます。申請書類をFAXし時期によりますが、数週間で審査し、大丈夫な場合は名前が決定、通りましたよという通知と共に、競走馬登録をする時に必要になる書類が送られてまいります。今回も無事審査を通って一安心でございます。
▲昨夏のイイナヅケ
名前というのは一生を左右するものですので、決して適当に決めているわけではありません。僕のような沢山の馬を持つことができない弱小馬主からすれば、一生懸命考えるのは当たり前のことでしょう。子供に名前を付けるのに適当な名前を付ける親はいませんし、しっかり考えたいい名前を付けてあげたほうが、馬も頑張ってくれるのではないかと思ってしまうのは、ただの思い込みかもしれませんが、僕はそう信じております。
僕の周囲にいる若い馬主さん達も、皆すごくいろいろ考えて名前を付けている人達ばかりです。お酒の席で名前を付けるにあたって、どんなこだわりがあるのかという話題や、その馬の名前の由来なんかで小一時間は盛り上がれます。そうやって真面目に競馬に取り組んでいる馬主さんには、本当に成功して欲しいと思いますし、きっと近い将来そうなることでしょう。その時は是非奢ってくださいね(笑)。
▲坂路で調教中の近影
というわけで現在のイイナヅケ、ノーザンファーム空港の坂路にて順調に調教を積み重ねています。現在坂路でハロン17秒のペースでやっているそうです。他の馬達に比べて特別速い時計というわけではありませんが、まだ春にもなってませんので順調と言えるでしょう。
先日スタリオンレビューの時に会ってきましたが、可愛らしい見た目とは裏腹に、気が強いおてんばだという報告を受けました。とはいえ、昔と異なり触っても大丈夫というお墨付きもいただき(去年の夏ぐらいの時は噛みつくから気をつけてと注意を受けました)、気性の方も成長している印象です。
まあ、大人しいよりは多少気が強いほうが競走馬としても良いのでは?となんでも前向きにとらえる僕がいるのでした。デビューがいつになるかはまだわかりませんが、今からいろいろと楽しみでなりません。
了
※競馬ラボよりお知らせです。
現在、東京スポーツにて、大和屋オーナー特集の連載「言ってはみるもんだ。」が月~木曜日の紙面で掲載中です!
馬主になるまでの経緯など、当コラムでも明かされることのなかったエピソードが満載です!
プロフィール
大和屋 暁 - Akatsuki Yamatoya
脚本家・作詞家・ライター。若くして一口馬主に出資を始め、クラブ馬主歴2年目にハーツクライと運命的な出会いを果たすと、有馬記念、ドバイシーマクラシックを制す大活躍。しかし、ノド鳴りによるアクシデントに見まわれ、突如として引退したことに一念発起、馬主になる決心を固めた。個人馬主としては、初めてデビューを果たした所有馬ジャスタウェイが大活躍の強運ぶりを発揮。遂には、目標であったドバイ遠征を実現させ、ドバイデューティーフリー(現在のドバイターフ)を圧勝。「自らの馬でドバイを勝つという」夢を実現させたばかりでなく、そのパフォーマンスが評価され、2014年度のワールドベストレースホースランキングでは、日本馬史上初の1位を獲得している。
現在の現役所有馬はカリボール、マジカルステージ、ジャスコ、キングロコマイカイ。一口馬主や共有馬ではアウィルアウェイ、ルーツドール、イストワールファムなどに出資している。
本業ではアニメ版「銀魂」、「スーパー戦隊シリーズ」などの脚本を手がけ、2020年公開の映画「デジモンアドベンチャー」も担当。愛馬との数年間に及ぶ足跡を綿密に綴った『ジャスタウェイな本』などの執筆も手がけた。