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春の2冠を制したドゥラメンテがダービーのあとに故障。トライアルの神戸新聞杯では皐月賞2着のリアルスティール、セントライト記念ではダービー2着のサトノラーゼンがともに敗れ、混戦の度を増しつつある今年の菊花賞。ひと叩きされた春の実績馬が巻き返してくるのか? それとも神戸新聞杯を制したリアファル、条件クラスからの下克上を狙うスティーグリッツら上がり馬の台頭があるのか?クラシック最後の一戦をデータ面から紐解きたい。
神戸新聞杯組が他路線を圧倒
[前走レース]過去10年、20頭の連対馬のうち、トライアルの神戸新聞杯からの参戦が実に9勝、2着も7回。臨戦過程としては他を圧倒している。
一方で同じトライアルのセントライト記念からは2着と3着が2回ずつあるが、勝ち馬はゼロ。セントライト記念出走馬の優勝は2001年のマンハッタンカフェ(4着)以降出ておらず、同レースとの連勝となると1984年のシンボリルドルフまで遡る。今年のセントライト記念は波乱となったが、本番でも波乱を巻き起こすことができるか。
過去10年で条件クラスを勝ち上がって菊の大輪を咲かせたのは09年のスリーロールス(野分特別)。集計からは除外となったが、04年にはデルタブルース(九十九里特別)の勝利もある。昨年は支笏湖特別を勝ったゴールドアクターが本番で3着。上がり馬の台頭にも注意を払いたい。
過去10年注目データ
[キャリア]ひと夏を越え、各馬とも経験を積んでの長丁場。最も多く勝ち馬が出ているのは10戦目に本番を迎える馬で4勝。7戦目の馬が3勝している。連対率、複勝率を見てもキャリア6〜10戦の馬が狙い所となる。
連対馬は多くてもキャリア10戦まで。勝ち馬に限定すれば少なすぎるのも良くなく、それなりのキャリアが必要だ。
[重賞実績]過去10年で3着に入った30頭のうち、G1を勝っていた馬は5頭で意外と少なめ。G1で3着以内の実績を持っていたのも11頭と春の実績は必ずしも結果と一致しない。なお、重賞勝ち馬は14頭いた。
[距離実績]過去10年の1〜3着馬で2000m以上の距離で未勝利だったのは7頭。そのうち2頭は連対もなかった。近年、絶対的なスタミナは重視されなくなったとはいえ、1戦は2000m以上での連対実績が欲しいところだ。
[前走着順]過去10年で前走から連勝を果たした馬は5頭で、勝ち馬はいずれも前走3着以内。連対馬も8頭が前走3着以内で、前走大敗を喫した馬から過度な穴狙いは禁物。唯一、前走10着以下から巻き返した08年2着のフローテーションもスプリングSで2着に入り、皐月賞、ダービーに出走した経験を持っていた。
[枠順]枠番別過去10年で未勝利は6枠のみ。ただ8枠全てに連絡みがあって、有利不利はあまりなさそう。
馬番別では「1」と「14」がともに2勝2着1回。「3」「6」「10」「13」が2度連対している。一方で馬券絡みがない番号は「8」「9」「11」「17」4つ。昨年2番のトーホウジャッカルが勝って、その呪縛から解かれた。強いて挙げれば中枠が良くないといえるが、「10」は4回の馬券絡みがあり、3000mの長丁場だけあって、あまり神経質にならなくてもいいだろう。
[脚質]過去10年、ハナを切ってそのまま逃げ切った馬はゼロ。しかし、4コーナーで2〜4番手につけた馬(マクリを含む)は8勝していて、連対率、複勝率ともに高い数字。「強い馬が勝つ」という格言もあるレースだが、その言葉を裏付けるように、早めに先団に取り付いて押し切るパターンが圧倒的に多い。
1番人気の信頼度は高めだが…
昨年はダービー馬ワンアンドオンリーが9着に沈み、1番人気の4連勝はならなかったものの、過去10年で5勝、2〜3着がそれぞれ1回と信頼度は高い。
一方で8番人気が2勝(06年ソングオブウインド、09年スリーロールス)、7番人気も1勝(10年ビッグウィーク)と下位人気の一発も目立つ。6〜9番人気あたりは2、3着も多く、このゾーンから穴を狙いに行くのも一つの手かもしれない。
ちなみに秋華賞では良績を残していた2番人気は、この菊花賞では過去10年で1度も勝っていない。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | (5-1-1-3) | 50.0% | 60.0% | 70.0% |
2番人気 | (0-2-0-8) | - | 20.0% | 20.0% |
3番人気 | (1-0-4-5) | 10.0% | 10.0% | 50.0% |
4番人気 | (1-1-0-8) | 10.0% | 20.0% | 20.0% |
5番人気 | (0-2-0-8) | - | 20.0% | 20.0% |
6〜9番人気 | (3-3-4-30) | 7.5% | 15.0% | 25.0% |
10番人気以下 | (0-1-1-86) | - | 1.1% | 2.3% |
ここ10年は関東馬が音なし
関西馬と関東馬の比較では過去10年関西馬の連対がパーフェクト。出走頭数に大きな違いがあるとはいえ、圧倒的にホームの関西馬が優勢。昨年3着のゴールドアクターは7年ぶりの関東馬馬券圏内突入だった。
騎手別になると内田博騎手(2-0-0-0)、横山典騎手(0-2-0-5)と蛯名、吉田隼騎手がともに(0-1-1-2)と関東のジョッキーも奮闘。所属は関西としてカウントされるが、神戸新聞杯を制したリアファルで菊花賞初騎乗となるC.ルメール騎手の手綱捌きにも注目したい。
わずか4世代で過去10年では最高の16頭を送り込んでいるディープインパクト産駒だが、2着、3着がそれぞれ1回ずつで、まだ親子制覇は達成されていない。
また、現役時代この菊花賞に敗れ3冠達成とならなかったネオユニヴァースはブライトエンブレム、メイショウサムソンはマサハヤドリーム、レッドソロモンの2頭がスタンバイ。父の無念を晴らすことが出来るか。
[乗り替わり]過去10年、乗り替わったジョッキーでの勝利はゼロ。ただし、昨年は蛯名騎手に乗り替わったサウンズオブアースが2着。過去5年は乗り替わった馬が2、4、2、4、3着と上位に来ている。ベルーフは急遽乗り替わりとなったが……。
[騎手]現在、3000m以上の距離で行われているレースはわずか6つ。2010年以降、その長丁場で最も多くの勝鞍を挙げているのは武豊、岩田、内田博、北村宏、横山典、和田竜騎手の6人で3勝。 武豊騎手は(3-3-4-10)と連対率5割を誇る。
ちなみにM.デムーロ騎手は4度の騎乗で5、4、13、4着と掲示板に3度載っているが、C.ルメール騎手は2度の騎乗で16、8着と大敗を喫している。
[馬体重]夏を越して成長した馬の戦いとなることからか、480キロ以上の活躍馬が目立つ。とはいえ、小柄な馬も決して数字は悪くなく、436キロだったトーセンラー(11年)、ユウキソルジャー(12年)が3着。440キロ未満の出走馬が少ないことを考えれば、馬格について神経質になる必要はなさそう。
10キロを超える馬体重の増減は割引が必要。過去10年で馬券絡みを果たした馬はいない。「トライアルを使ってひと絞り」のイメージもあるが、数字の上では過去10年の勝ち馬は7頭がプラス体重だった。
[2冠馬不在]春の2冠を制した馬が菊花賞に出走しなかったのは1997年のサニーブライアン以来。その年はダービー7着で、神戸新聞杯、京都新聞杯(当時は秋に施行)を連勝したマチカネフクキタルが重賞3連勝、ダービー後の自己条件を含めると4連勝で菊の大輪を咲かせている。リアファル、スティーグリッツ、ワンダーアツレッタは3連勝を目指して本番に臨む。
春の2冠馬ドゥラメンテが早々に戦線を離脱。皐月賞2着のリアルスティール、ダービー2着のサトノラーゼンがともに秋初戦で勝ち馬から0秒3差と大敗ではないといえ、不安の残るレースぶりで混戦ムードが漂っている。データ面からも一長一短の馬が多く、今年は重賞初挑戦となるが、減点がほとんどない条件クラスを連勝してきた上がり馬スティーグリッツを狙い撃ちしたい。鞍上の内田博騎手も菊花賞とは好相性。春の実績馬に一泡吹かせる好走を期待する。
相手は神戸新聞杯ワンツーのリアファル、リアルスティール。キャリアの多さが少し気になるが、苦戦傾向の強いセントライト記念組よりも、連勝で勢いに乗るワンダーアツレッタを上に取りたい。