ロンドン五輪に湧く英国[和田栄司コラム]

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ロンドン五輪に湧く英国、競馬の方は昨日31日からウエストサセックス州チチェスターのグッドウッド競馬場で恒例のグロリアスグッドウッド開催がスタートした。連続5日間で行われるこのミーティング、今日1日はフランケルが連覇を狙って出走する第126回サセックスS(芝1M)に注目が集まる。

昨年に続いての4頭立て。しかし、フランケルがペースメーカーを使うので、実質的なライバルは2頭になった。去年は、フランケルが先行、直線に入ってゴーサインを出すと2着キャンフォードクリフスに5馬身差を付け、タイム1分37秒47で優勝した。今年はペースメーカーを使う為、どこから仕掛けてどの位千切るかが焦点である。

サドラーズウェルズ産駒の5歳の牡馬ブレットトレインは、フランケルのペースメーカーとして昨年のG1クイーンエリザベスⅡ世Sからコンビを組み、今回が4回目となる。3歳時はリングフィールド競馬場のG3ダービートライアルSを勝っている馬、ペースメーカーとしては贅沢な力量である。既に今年は、ロッキンジSとクイーンアンSでフランケルの優勝に貢献している。

ゴドルフィンが送るピヴォタル産駒の4歳の牡馬ファーは、今季初戦となったサースク競馬場のハンデキャップ戦を6馬身差圧勝した後、ロイヤルアスコット開催のG1プリンスオブウェールズSでソーユーシンクから2馬身4分の3差3着に追い込み、また前走のG1エクリプスSでもナサニエルの半馬身差2着に入っている。ここ2戦はマイル&クォーター戦を使っているが、勝ったサースクのハンデキャップ戦はマイル戦、そのマイル戦で直線最後方から一気に追い込んだ脚がその後の活躍を象徴するものだった。

ここ4年連続で優勝馬を送り出した3歳馬の参戦は今年1頭だけ。ダークエンジェル産駒の3歳牡馬ゲイブリエルである。2歳時に2戦2勝、今季はハンデキャップ戦を使われ3戦目のヘイドック競馬場で1勝を挙げた。勢いを買われてロイヤルアスコット開催のG1セントジェームズパレスSに挑戦、勝ったモーストインプルーヴドから3馬身4分の3差5着と大健闘した。古馬9st7lb(60.5キロ)に対して3歳馬9st0lb(57キロ)の斤量差を生かして検討して貰いたいものである。

ガリレオ産駒の4歳牡馬フランケルは、G1・7勝、目下11連勝、今年もロッキンジSを5馬身差、クイーンアンSを11馬身差で圧勝している。前走のクイーンアンSを終えた時点でワールドクラシフィケーションのレーティングが142、これは突出した名馬の域に入った。管理するヘンリー・セシル調教師は、サセックスS最多の6勝を誇る。フランケルの連覇とセシル調教師の7勝は戦う前から約束されたも同然である。

グッドウッド競馬場はロンドンのヴィクトリア駅からドーバー海峡に向かったチチェスターにある。丘を登り、最初のコーナーを廻って下って直線に入る右廻りのマイル戦、直線から仕掛けてどの位千切るか、日本時間の今夜23時10分にスタートを切る。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。