デインドリームがバーデン大賞連覇…和田栄司コラム

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ロミタス産駒の4歳牝馬デインドリームは、7月アスコット競馬場のG1キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSをナサニエルに僅差で破ったのに続いて、2日バーデンバーデン競馬場で行われたG1バーデン大賞を連覇した。バーデン大賞の勝利は半馬身だったが、ピーター・シールゲン調教師は彼女の努力に喜んだ。

「彼女はレース後もパーフェクトな状態です。我々はそのパフォーマンスに満足している。ペースが上がらなかったものの彼女は万全で、アンドレアシュはムチを使ってハードに追わなかった。次はロンシャン、我々はそこを目標にしている」とシールゲン調教師は話した。ブックメーカーのスカイベット社による凱旋門賞前売り人気で、デインドリームは6/1の2番人気、三冠を目指すキャメロットの3/1に次ぐ人気である。

8日、愛ダブリンのレパーズタウン競馬場では凱旋門賞へのプレップレース、G1第37回アイリッシュチャンピオンS(芝10F)が行なわれた。12頭の最終登録から出走して来たのは半分の6頭、しかし見ごたえある良いレースになった。人気の中心はナサニエル、ジャンロマネ賞で復活したスノーフェアリーが2番人気、ペースメーカーを使うバリードイルのセントニコラスアビーが3番人気で続いた。

レースはペースメーカーのダディーロングレッグスが積極的に飛ばした。バックストレッチに入り階段状の坂を登り、半ばで8馬身差を付ける。2番手はナサニエル、その内にG2ダービートライアルSをここで勝ったライトへヴィー、3馬身差でスノーフェアリーが4番手、更に1馬身半差でセントニコラスアビー、2馬身差最後方が愛ダービー2着のボーントゥシーの展開である。

左廻りの4コーナーを廻り、残り2ハロンでナサニエルが先頭に立つ。これを3馬身差で追うスノーフェアリーが直線3番手に上がり、最後は弾けるように残り200ヤードで抜き去り昨年の雪辱を果たした。1馬身4分の1差2着にナサニエルがしぶとく残り、セントニコラスアビーは4分の3馬身差3着。勝ち時計はグッド表示の馬場、2分00秒92、1984年のサドラーズウェルズの勝ちタイムが2分00秒9、この時代はまだ100分の1単位まで表示されていなかっただけに、これは実質的レコードと言っていいだろう。

負傷欠場のライアン・ムーア騎手に替わったフランキー・デットーリ騎手は、このレース5回目の優勝、前年の雪辱を果たすと共にスノーフェアリーとの相性を4戦1勝、2着2回、3着1回とした。スノーフェアリーは昨年のエリザベス女王杯からG1・3連勝、これが7つ目のG1優勝で通算成績を21戦9勝、2着4回、3着4回とした。ナサニエルはこれが初めての輸送競馬、早めに交わしに行ったことを考えると敗れて尚強しの感じはする。セントニコラスアビーはこんなものなのだろう。

それにしても凄い弾け方だった。思わず凱旋門賞の本命は決まりと言ってしまいたくなるようなレース振りだった。凱旋門賞前売りオッズで、スノーフェアリーは8/1に上がり、ナサニエルと並んでの3番人気、その後にオルフェーヴルが10/1で続いている。エド・ダンロップ調教師は「レース後の状態も良く、凱旋門賞を万全の状態で臨める。その後は、チャンピオンSだが、フランケルの力が違い過ぎる。従ってブリーダーズカップに行こうと考えている。まだアメリカには行ってないし、6番目の国でも勝ちたいと思っています」とコメントした。

凱旋門賞へのプレップ、今週は15日に、英ドンカスター競馬場で42年振りの三冠馬を目指す凱旋門賞前売り1番人気のキャメロットが出走するセントレジャー、16日には仏ロンシャン競馬場で、凱旋門賞と同じ距離で行われる3つの競走、3歳牡馬によるニエル賞、3歳以上牝馬によるG1ヴェルメイユ賞、オルフェーヴルが出走を予定している4歳以上によるフォワ賞が組まれる。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。