世界最古のクラシックG1セントレジャーS、エンケが優勝!…[和田栄司コラム]

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英タウンムーアのドンカスター競馬場で行われた世界で最も古いクラシック競走G1第236回セントレジャーS(芝1M6F132Y)、今年1970年のニジンスキー以来となる三冠馬に挑戦したモンジュー産駒の3歳牡馬キャメロットは、ゴドルフィンが送り出した伏兵エンケの前に屈して2着に終わった。トレーナーは「上手く行くだろう、と考えていた通りにはいかなかった。ジョセフはスローな流れでじっとして、馬がフレッシュさを欠いてしまった」と語った。

愛バリードイルがただ1頭に絞った9頭立て。レースは、好スタートを切ったソートワーズィを制してペースメーカーのダートフォードが先頭に立った。2馬身のリードを取り、ジョン・ゴスデン厩舎が先頭、2番手、その後ろの内にトーマスチッペンデール、外にはアースメイジャー、下がって中団の内にエンケ、1馬身差で外にゴスデン厩舎のもう1頭マイケランジェロ、同じく1馬身差で内にキャメロット、その後ろにギャランティー、2馬身差最後方に出遅れたメインシークエンスの展開である。

隊列は変わらず4コーナーを左に廻って最後の直線に出て来る。残り1.5ハロン、エンケが抜け出す。キャメロットもエンケに続いたがやや遅れて3馬身の差が付いた。残り1ハロンで2番手に上がったが、残り100ヤードでも2馬身の差があった。それでも最後まで追いかけ4分の3馬身差で2着した。キャメロットから3馬身開いてマイケランジェロが3着。その後ろは1馬身半差でアーサメイジャーが4着した。

ミカエル・バルザローナ騎手は、昨年のダービーをプールモアで制し、今年のドバイWCではモンテロッソで優勝、とにかく大一番に強い。ゴドルフィンのセントレジャー優勝は、95年のクラシッククリーシェ、98年ネダウィ、99年ムタファウェク、04年ルールオブロウ、09年マスタリーに続く6回目となり、1910年~1943年にかけて6回優勝した第17代アールオブダービーに並んだ。

1年前のキャリアデビューとなったドンカスター競馬場で2着、10月ニューマーケット競馬場でメイドンを勝ち上がったが、今年の7月までレースを使わなかった。7月サンダウン競馬場のハンデキャップ戦で2勝目を挙げた後、グッドウッド競馬場のG3ゴードンSでハナ差2着、前走ヨーク競馬場の前哨戦G2グレートヴォルティジュールSは逃げ切ったソートワーズィの2馬身4分の1差3着だった。これで6戦3勝、2着2回、3着1回、初のステークス競走勝ちがG1となった。

それにしても2/5と圧倒的な支持(2番人気は4頭が10/1)を得たキャメロット、エイダン・オブライエン調教師は「マイル&シックスを超える距離で、ジョセフがやらなければならないことはじっとしていることより素早く動くことである。彼は偉大なレースを走ったが、打ち負かされた。皆にとっては残念なことだが、これが競馬です。我々は彼に優勝を期待した。仮にペースが緩くなりそうだったら、ペースメーカーを1枚、否2枚使っていただろう。それが戦法だから」と話す。

「我々はそうならないだろうと踏んだ。しかし、実際はスローペースになり、彼にフレッシュさを欠く原因を作ってしまった。彼が次にどのレースを目指すかは、今確信が持てない。チャンスはあるだろうが、私は知らない」とオブライエン調教師は続けた。19才の息子ジョセフ・オブライエン騎手は、プレスインタビューでかなりの動揺があった。オブライエン調教師の話を受けて、ブックメーカーは凱旋門賞の前売り人気からキャメロットの名前を外した。

海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。