[フォト]吉田稔騎手「騎手人生、全てが思い出」

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2012年9月18日、名古屋競馬11R子馬座特別が、地方通算2524勝、JRA通算160勝を挙げた地方競馬を代表する名手・吉田稔騎手の引退レースになった。
台風の影響で天候は雨。風も強く、空は暗い。それでも吉田稔の最後のレースを見ようと熱心なファンがラチ沿いに集まっていた。

最後のレースは6着に終わってしまったが、スタンドのファンに向かって帽子を脱いで一礼してから検量室前に戻ると、泥だらけの顔のまま馬上から降りて25年間の騎手生活に幕を下ろした。

その後、ウイナーズサークルで引退式が行われ、騎手人生最後の言葉を口にした。

「今日はあいにくの天気の中、私の為に多くのファンの皆さま、関係者の方に集まって頂き本当に感謝しています。
最後の競馬は、さすがに込み上げてくるものがありました。これまで25年の騎手生活の間には良い思い出も辛い挫折もありました。
どのレースが一番印象に残っているかは自分でもわかりません。それくらい、全てが思い出です。
騎手としてやり残したこともありますが、今後はその夢を馬に託していきたいです。

10月1日から門別競馬場の近くにある牧場で若馬の育成や現役馬の休養など、強い馬を育てる側で競馬に貢献できたら、と思っています。
最初は慌てず、じっくりとやっていきます。ほんとうに長い間応援してくれてありがとうございました」

雨の中の引退式が終わり、集まったファン全員にサインをしてから名古屋競馬場を去った吉田稔騎手。
ホースマンとして、第二の人生は始まったばかりだ。

(写真・取材:高橋章夫)