凱旋門賞のラインナップをジャッジ…[和田栄司コラム]

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G1第91回凱旋門賞(芝2400m)デーまで、あと2週間を切った。トライアルは全て終了、凱旋門賞の最終登録が待たれる現在です。英国のブックメーカー、スカイベット社による前売り人気を見ながら出走予定馬を診断して行くことにしましょう。

ディフェンディングチャンピオンのデーンドリームはドイツ産、ロミタス産駒の4歳牝馬。キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSとバーデン大賞を連勝して来た。去年はベルリン大賞とバーデン大賞を連勝しての参戦で、この時期にピークを合わせている。通算成績は17戦8勝、3着4回。

去年の凱旋門賞は、1400mの通過ラップが1分26秒31、残り600m35秒49、400m23秒16、200m12秒11、走破タイムは2分24秒49のレコードだった。23日にケルン競馬場で行なわれたG1オイロパ賞では、僚馬ジローラモが優勝、しんがりにオヴァンボクイーンが敗れたが、2頭共バーデン大賞で問題にしなかっただけに前売り1番人気4/1も納得出来る。

デーンドリームに並ぶ1番人気に推されているのが日本の三冠馬オルフェーヴル。日本産、ステイゴールド産駒の4歳の牡馬で、G2フォワ賞(芝2400m)を使って勝ち、人気が急上昇した。しかし、道中の折り合いの悪さも露呈、4コーナーで内を突いて、早めに抜け出したが、残り600m35秒43、400m23秒84、200m12秒45では、いかにラチ沿いの魔術師の異名を取るクリストフ・スミヨンでも過信は禁物と言えるだろう。

1度は凱旋門賞前売りから消えたキャメロット、15日にエイダン・オブライエン調教師がレーシングポスト紙に「もう1戦考えている」とのニュースが伝えられ、スカイベット社を除く全社が再登場させている。5/2から6/1の倍率で、ラドブロークス社は5/2の1番人気だが、他は3番人気が圧倒的である。

英国産、モンジュー産駒の3歳の牡馬は、セントレジャーで1970年ニジンスキー以来となる三冠馬に挑戦したが、スローペースの為脚を余した感じで4分の3馬身差2着に終わっている。それだけに凱旋門賞への参戦は考えられないこともないが、セントニコラスアビーをエースとして送り出すだけの自信がない表れとも思える。最終決定を待ちたい。

4番人気は6/1でナサニエル。愛国産、ガリレオ産駒の4歳の牡馬は、昨年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS勝馬だが、今年の初戦となったG1エクリプスSで復活した。連覇を狙ったキングジョージでデーンドリームにハナ差交わされ、前走G1アイリッシュチャンピオンSではスノーフェアリーの強烈な追い込みに屈して連続の2着。前々から組み立てられる競馬センスの良さは強みであるが。

7/1で続くのが昨年の3着馬スノーフェアリー。昨年のエリザベス女王杯連覇の後、香港に渡り腱を痛めた。この傷害からの復帰に手間取り、8月ドーヴィルのG1ジャンロマネ賞で復帰した。レースの上りが、600m35秒6、400m25秒6、200m11秒8、これを12馬身差の後方から追い込んだ脚は、日本で弾けた雄姿そのものだった。

愛国産、インティカブ産駒のスノーフェアリーは、続いてG1アイリッシュチャンピオンSでナサニエルを下し凱旋門賞に歩を進めて来た。エド・ダンロップ調教師は、良馬場を条件に使いたいと言っている。個人的な印象では、トライアルを通じて一番強い勝ち方だっただけに、この倍率ならば狙ってみたいと思っている。

8/1で続くのは昨年の2着馬シャリタ。牝馬戦ながらヨークシャーオークスとヴェルメイユ賞、G1を連勝して来た。特に前走のヴェルメイユ賞は、トライアル3レースの中で雨中の中での戦いとなったが、流れも速く、1400m通過1分29秒50、レースの上りは残り600m35秒74、400m23秒44、200m12秒12、これを2番手から200m残して2馬身差の圧勝。昨年の2着馬は、アガ・カーン殿下の立派なエースに育っている。

12/1で続くのはアンドレ・ファーブル厩舎のゴドルフィン馬マスターストローク。米国産になるモンズーン産駒の3歳の牡馬で、8月ドーヴィルのG2ドーヴィル大賞典で初めて重賞勝ちを収めた。通算成績は6戦4勝、2着2回。2500m戦の上りが、残り600m36秒2、400m23秒6、200m11秒9、最後は4番手に下がりながら、外に出して追い込んだ脚は注目に値する。大レースに強いミカエル・バルザローナ騎手も魅力である。

同じ倍率で続くのがバリードイルの昨年の5着馬セントニコラスアビー。昨年は僚馬トレジャービーチを追って残り600mで先頭に立つ競馬だったが、後続に追い込まれた。今年はG1コロネーションカップを勝ち、G1・4勝馬となったが、キングジョージとアイリッシュチャンピオンSが共に3着、限界がある。

14/1の倍率で続く昨年の6着馬ミオンドル。昨年は使い過ぎが祟ったことからの反省か、今年はサンクルー大賞典とベルリン大賞のG1を連勝、秋はフォワ賞を使っただけの5戦2勝で臨んで来た。ファーブル厩舎の1頭で、こちらはマキシム・ギュイヨン騎手が乗ることになるが、正直過ぎる外からの追い込みでは届かない可能性の方が強そうだ。

他、キングジョージで1番人気に推されながら5着に敗れた英国産、ビートホロー産駒の4歳の牡馬シームーンが20/1、バリードイルのG1パリ大賞典勝馬インペリアルモナークは、愛国産、ガリレオ産駒の3歳の牡馬だが、トライアルを使えなかっただけに間に合うのかどうか心配。倍率は25/1。キングジョージ4着のリライアブルマンは、21日メゾンラフィットのG3ラクープドメゾンラフィットを使って2着。英国産、ダラカニ産駒の4歳の牡馬は33/1、昨年の凱旋門賞が15着である。

尚、個人的に密かに期待していた仏ダービー馬でG2ニエル賞を勝った、フランス産、チチカステナンゴ産駒の3歳の牡馬ソノワ。追加登録料を払うのを渋ったか、前売り人気から名前が消えている。

海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。