ジョシュアツリーとソレミア、JC参戦か[和田栄司コラム]

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14日カナダ、トロントのウッドバイン競馬場で行なわれたG1第75回カナディアン国際S(芝1M&4F)は、英国から遠征したジョシュアツリーがフランキー・デットーリ騎手を鞍上に逃げ切り勝ち、自らこのレース2度目の優勝を飾った。

モンジュー産駒の5歳の牡馬ジョシュアツリーは、2番人気で5.35倍。1番人気は愛バリードイルのG1パリ大賞典勝馬インペリアルモナーク2.8倍、但し、7月のパリ大賞典から間が開き過ぎ、ここもジョセフ・オブライエン騎手が119lb(54キロ)で乗れない為、ライアン・ムーア騎手に乗り替わった。

8番枠からスタートしたジョシュアツリーは、先行馬不在のレースでクラブハウスターン(1コーナー)から主導権を奪う。半馬身から1馬身差を付けて先行、雨が降るグッド表示の馬場、2ハロン25秒52、4ハロン51秒59、6ハロン1分17秒17、1マイル1分43秒05、10ハロン2分07秒41、直線ではリードを2馬身に広げ、後続に半馬身差を付け走破タイム2分30秒89で優勝した。

残り1ハロンで英国から米国に移籍したフォルテデイマーミが2番手に上がったが、直線9番手から英国のダンディーノが大外を強襲して半馬身差2着、同じく半馬身差3着にフォルテデイマーミが残った。インペリアルモナークは直線伸びを欠いて6着、ジョシュアツリーと2番人気を分けた仏国のリライアブルマンは後方のまま8着に終わっている。

ジョシュアツリーは2年前、エイダン・オブライエン調教師のバリードイルに所属していた3歳時にこのレースを勝っている。その年のジャパンカップにも出走したが、10着と見せ場なく終わった。昨年は現在のマルコ・ボッティ厩舎に移っての出走となったが、勝ったサラリンクスの2着とウッドバイン競馬場との相性も良い。

これで2010年と2012年の2度にわたる優勝、これは1965年と66年を連覇したジョージロイヤルと1982年/1984年を優勝したマジェスティーズプリンスに次ぐ3頭目の記録となった。またフランキー・デットーリ騎手は、2000年のムタファウェク、2004年のスラマニに次ぐ3回目の優勝である。世界を旅するジョシュアツリーの通算成績は、24戦6勝、2着6回、3着3回である。

マルコ・ボッティ調教師は「オーナーと話さなければなりませんが、ブリーダーズカップは使わないでしょう。メイダン競馬場以来、一年間休まず走って(今年10走)来たので、少し休ませたい気持ちです。ウッドバイン競馬場はとても合っているようだ。ドーヴィルで勝った(8月のケルゴルレイ賞)時から、オルフェーブルの3着したロンシャン競馬場と今日の走り、フォームがとても良くなったと思います。私個人としてはジャパンカップが1番合っているように思いますが、これもオーナーと相談して決めます」とJC出走に傾いている様子である。

凱旋門賞を勝ったポリグロート産駒の4歳牝馬ソレミアは、ヴェルトハイマー兄弟とカルロス・ラフォン=パリアス調教師共にブリーダーズカップターフ出走を決めていたが、間隔が短いことから極東に目標を変更した。11月25日の東京ジャパンカップか12月9日の香港シャティン競馬場で行なわれる香港ヴァーズのどちらかになる模様。

4歳牝馬で凱旋門賞を勝ってジャパンカップに参戦するとなると、1993年のアーバンシー以来となる。不良の凱旋門賞でホワイトマズルにクビ差優勝したアーバンシーは、ジャパンカップでレガシーワールドの4馬身4分の3差8着に敗れたが、間隔が空き過ぎるのも考えものである。来季から繁殖入りが決まっているソレミア、どちらにしてもソレミアの最後のレースは極東に舞台が変わることになった。

海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。