トレイル最終追い切り、池江師も好評価…平松さとしの現地レポート

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濃い霧を割いてトレイルブレイザーが現れた。フィニッシュラインで待つ池江泰寿調教師の視界にトレイルが入ったのはものの30メートルほどだろうか。それでも池江師は「良い動き」を確信した。

11月3日の土曜日、アメリカ・サンタアニタ競馬場で行なわれるブリーダーズC。そこに出走を予定しているトレイルブレイザーは、現地時間10月30日の朝、ハリウッドパーク競馬場で最終追い切りを行なった。この日は生憎の濃霧。しかし、前日、日本から駆け付けた武豊騎手が、十分に手応えをつかむ動きをしてみせた。

「併せた相手を4~5馬身、追走する形でスタート。3コーナー過ぎからはトレイルは自然と良い動きになり、4コーナーでは射程圏に捉えていました。ラスト2ハロンくらいでは並んで突き放す格好でした」

ここで、最後は何馬身くらい離れていたかを逆質問。4馬身くらいと答えると「うん、やっぱり良い動きでしたからね」と微笑してみせた。

5ハロン地点に人を立たせ、携帯電話で連絡を取りながらストップウォッチを押したのが池江師だ。

「現地の調教師さんに併せる相手を用意してもらったのですが、その馬がテンから飛ばしてくれたお陰で5ハロン61秒を切るくらいで走れました。良い負荷をかけられたと思います」

ブリーダーズCが行なわれるのはサンタアニタ競馬場なのに、池江師は敢えてトレイルをハリウッドパーク競馬場へ入れた。

「幸いサンタアニタまでもそう遠くないし、調教も競馬も同じ場所だと変に慣れてボケてしまう可能性もありますからね」

このような物理的な部分は勿論だが、それ以上に「管理馬をこの地へ送り込みたい」という気持ちも強く持っていたようだ。調教助手時代と技術調教師時代に、この地で研修をした。勝手知ったるこの競馬場に、恩返しをしたいという気持ちは少なからずあるのだ。

「とりあえずここまでは無事に来ました。明日の早朝には、いよいよサンタアニタ競馬場へ移動します」

決戦の地に入ってからも、トリッキーな2400メートルのコースをスクーリングさせる予定など、最後の最後まで、気は抜けない。次回はサンタアニタ競馬場から、情報をお伝えしよう。


(続く)

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平松さとし
ターフライター。1965年2月生まれ。
昭和63年に競馬専門紙「ケイシュウNEWS」に就職。その後、2紙経た後、フリーランスに。現在は雑誌や新聞の他にテレビの台本書きや出演、各種イベントの演出などを行う。毎年のようにブリーダーズCや凱旋門賞、ドバイワールドCを観に行くなど、世界中を飛び回る。そのお陰もあって、欧州におけるJRA所属馬のG1全17勝(平成24年現在)のうち16勝をライヴで目撃している。