トレイルブレイザー決戦の地へ到着…平松さとしの現地レポート

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現地時間10月31日の早朝。

約1カ月半を過ごしたハリウッドパーク競馬場を発ったトレイルブレイザー(牡5、栗東・池江厩舎)とその陣営は、車で約1時間かけて、サンタアニタ競馬場に移動した。今年のブリーダーズCターフが行なわれる競馬場の国際検疫厩舎に、ついに入ったのだ。

「輸送もスムーズにいき、落ち着いています。それでも環境が変わったことで、適度に気合が乗ってくれています」

管理する池江泰寿調教師はそう言って、一つ頷いてみせた。

11月1日の午前7時に、検疫厩舎を出発し、馬場へ向かったトレイルは、池江師のその言葉を証明するように、ピリッとした仕種をみせる。周囲の人や馬のほんのちょっとの動きにも反応して、尻っ跳ねをしてみせたり、首を上下に振ってみせた。

それでも二人曳きで乗り運動を続けるうち、徐々に落ち着きを取り戻していくのは、さすが“大人”な馬。最後は1人だけが曳く形で、馬場へと入っていった。

「予定通り、ダートコースで1周半の普通キャンター。上々の動きだったと思います」

その様子を見守り、このように語った池江師の顔には笑みが浮かんだ。

「レース前日となる明日の朝はもう1度、(武)ユタカに乗ってもらう予定です」

主戦を背に据え、サンタアニタの名物と言える山を下るシュートコース、そして、周回コースに入る前に横切るダートコースをスクーリングさせる予定でいる。

武豊騎手自身は、「落ち着いている馬なのでそのあたりはしてもしなくても問題ないと思う」と言いつつも、この日も午後から競馬場に姿を現していた。2000年にはこの地に長期滞在し、戦ってきた勝手知ったる競馬場。それでも、気を抜くことなく、アンテナを張り巡らせる。
また、池江師にとっては、フランスで涙を呑んでからほんの1カ月にもならない期間に、アメリカで新たなチャンスに懸けることになる。

「あの悔しい思いをいくらかでも晴らせるような結果になるよう、全力を尽くします」

決戦の時までは、いよいよ丸二日を切った。アメリカから朗報が届けられることを期待したい。


(続く)


左は池江泰寿調教師



平松さとし
ターフライター。1965年2月生まれ。
昭和63年に競馬専門紙「ケイシュウNEWS」に就職。その後、2紙経た後、フリーランスに。現在は雑誌や新聞の他にテレビの台本書きや出演、各種イベントの演出などを行う。毎年のようにブリーダーズCや凱旋門賞、ドバイワールドCを観に行くなど、世界中を飛び回る。そのお陰もあって、欧州におけるJRA所属馬のG1全17勝(平成24年現在)のうち16勝をライヴで目撃している。