雨の中、レインボーダリアが最後はグイっと出た!

トピックス


日曜京都11R
エリザベス女王杯(G1)
芝外2200m
勝ちタイム 2.16.3

レインボーダリア(牝5、ブライアンズタイム・美浦・二ノ宮厩舎)

雨の中、レインボーダリアが最後はグイっと出た!

ひとつ前のレースを終えてから、いよいよ雨脚が強くなってきた。前のレースでは内目がまだ伸びる馬場で、外の伸びより優っていたものだった。しかしさすがにその内もだいぶ悪くなってきた。その内を突いたのがフミノイマージン。しかし思う様に脚が伸びていかず、直線半ばで敗戦が決定。途中からマクったエリンコートは先頭に立つ前に下がり、4角先頭となったのはオールザットジャズ。そのまま押し切るかと思えた直線の伸び具合だったが、やはり内目は止る。馬場の真ん中をヴィルシーナとレインボーダリアが馬体を併せて伸びて来た。さらに外をピクシープリンセスが追いこんでくる。内ヴィルシーナ、外レインボーダリアの叩き合いは、外レインボーダリアが優った。ゴールを過ぎて少しして、渋く柴田善Jが右こぶしで小さいガッツポーズを決めていた・・。

柴田善J。どうしてもあの髪の毛に眼がいってしまう。この年齢であれだけ多いのか・・?と。しかしその風貌の割には年はとっていないのを知っている。石橋守Jと同い年なんである。凄いベテランで、長い間現役にいる・・なんてイメージが出来上がっているジョッキーだ。でもすれ違ってもキッチリと挨拶をしてくれるちゃんとした人だ。
『雨が降って外々を通る馬が結果を出したんだ・・』と思ってPVを見た。失礼しました。最初から外を廻ってはいない。道中、1周目のスタンド前では内に入れて脚を温存している。2コーナー過ぎから外へと出始める。向こう正面で後ろにいたエリンコートが行った時でも、まだ無反応で過ごす。3コーナーの下りから少しずつ動き出す。ちょっと前にはヴィルシーナがいた。しかしそのヴィルシーナが4角手前で手が動いている。しかしそんなヴィルシーナでありながら、馬場の外目を出してきてちょうど上がってきていたレインボーダリアと馬体を併せて、また伸び出している。
果たしてステッキはどれくらい入れたのかと数えてみる。左ステッキで9発入っていた。それも最後は渋く2,3発入れた後は手綱をシャクっての追い合いだった。ゴールを少し過ぎて右手で小さくガッツポーズ。これがいい。あまり馬の上で余計な動きはして欲しくない。それでなくとも、激走で疲れている馬に負担をかけるのは良くない。ベテランらしい所作で納めた、ゴール過ぎのちょっとしたものだが、実に好感であった・・・。

レジェンドブルーが先手を取って行く。ヴィルシーナも好発して、好位の3番手。マイネジャンヌの後を行く。オールザットジャズが続く。最後方にピクシープリンセス。内ピッタリを廻っている。レジェンドブルーの逃げは向こう正面で3馬身ぐらい離す。ヴィルシーナの内にはスマートシルエットホエールキャプチャは真ん中の外目。後方にフミノーイマージンで少し前にレインボーダリアがいる。エリンコートはブービーぐらい。ピクシープリンセスはまだ内の最後方だ。
坂の下りでエリンコートが上がって行く。4コーナーに向かう時には先頭に立つ勢いだったが、それにあわせて動いて行ったのがオールザットジャズ。エリンコートの内目のポジションを譲らない。その直後でヴィルシーナの手応えがかなり悪く映る。
ちょっと場内がどよめく。ペースアップについて行けないのか・・?。その少し後ろにレインボーダリアが上がってきているのが見えた。後ろの方ではフミノイマージンが相変わらず内にいる。もしかして、そのまま外へ出てこないのか。

4コーナーを廻り、当然に内へ進路を取るレジェンドブルー。オールザットジャズも内目で前を抜く勢いだ。真ん中をエリンコート。ヴィルシーナはその後ろ。レインボーダリアが上がってきている。
直線に入ってオールザットジャズが先頭に立つ。残り300のオレンジ棒を過ぎたが、ゴールまでたっぷりと距離がある。1ハロンを過ぎるあたりでもオールザットジャズは2、3馬身のリード。最内をついたフミノイマージンの伸びは目立たない。ヴィルシーナとレインボーダリアの伸びがいい。内田Jの右ステッキ、柴田善Jの左ステッキで2頭が馬体を並べて進む。
もう勝負は2頭である。勢いは外のレインボーダリア。ゴールが近づくにつれ、柴田善Jはステッキを納めて両手で手綱を握り、首差早くゴールした。その少し後にピクシープリンセスが強襲。クビ差と良く追いついてきていた。

またしても2着のヴィルシーナ。今回は目標がいなかったからなのだろうか。この馬場も響かなかったわけはない。しかし、それはどの馬も同じこと。レインボーダリアが道悪はこなす馬なのだろうが、前半は内で脚を貯めて、坂の下りから外へ進出。これはピクシープリンセスのデムーロJも同様の乗り方をしている。やはり馬場が悪いからこそ、最後のスタミナを温存させるためにも肝心な事なのだろう。渋い柴田善Jが、渋い乗り方で勝利を掴みとったもの。だからこその小さなガッツポーズだったのだろうと思える。
フミノイマージンも、外から来て欲しかった。それで伸びないのだったらあきらめもつくはず。外へ出す余裕がなかったのかも知れない。
それにしてもヴィルシーナ。来年こそは晴れてG1勝利へと思うばかりだろう・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。