-京都金杯-平林雅芳の目

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土曜京都11R
京都金杯(G3)
芝外1600m
勝ちタイム 1.33.5

ダノンシャーク(牡5、ディープインパクト・栗東・大久保龍厩舎)

ついにダノンシャークが重賞制覇、好位からスルリと抜け出す!!

前へ行った馬ばかりが電光掲示板に乗る、完全なる先行有利な流れとなった。それもラチ沿いを進んだ内の3頭が馬券上位を占める結末。逃げたヤマニンウイスカーと3番手(内ラチ沿いでは前から2番目)のトライアンフマーチが2着争い。勝ち馬はそのトライアンフマーチの直後でじっと脚を貯めていたダノンシャーク。直線残り1ハロンから、サウンドオブハートとの内を瞬時に前と出てきた。後は前の2頭をあっと言う間に抜き去っての楽勝。昨年2着からついに重賞初制覇を果たした。サウンドオブハートは4着。先行したブリッツェンが5着と、絵に描いた先行競馬であった・・。

朝から《G1か?》と思えるほどに人、人で移動もスンナリは行かない状態。これは嬉しい事であるぞ・・なんて主催者か?と思える考えに驚く。パドックも、この寒いのにと思えるほどに囲んで見ている。
トーセンレーヴが実にいい感じだ。返し馬もそのまま続く雰囲気だ。トライアンフマーチは《少し気合いが乗り過ぎているな~》なんて思いながら、レースを迎える。
スタートは横一線。すんなりヤマニンウイスカーの先手と安易に考えていたのだが、現実はそんなに甘くない。後でPVを観ると、武豊Jがスタート直後にステッキを入れているなんて年間にあんまり見ない。それに呼応してやっと単騎で行き出す。楽逃げの展開になると予想されていたのだが、そんな流れでもない。一応、単騎では逃げられているがおいで、おいでのペースではない。2番手にブリッツェン。トライアンフマーチが内で鞍上岩田Jがかなり抑え込むのが見える掛かり方だ。その真後ろにダノンシャークがいる。もちろん近くにはサウンドオブハートがいる。3コーナーを過ぎて少し下って行く。『前半800メートルを47秒台で通過』と場内アナウンスが聞こえた。

4角もヤマニンウイスカー先頭で廻る。
各馬が一斉に外から追い上げてきている。トーセンレーヴがいい感じで上がってきているのが見えた。クルっとカーブを廻って直線に入る。『ヤマニンウイスカーが2馬身のリード』と流れるが、そんなにあるか~なんて思いながら見つめる。でもいい感じでまだ余力がありそうだ。
と思う間もなくトライアンフマーチが並びだす。しかし少し後ろの横一列の中からダノンシャークが《ピューン》と伸びてきだした。内2頭が追い合って頭の上げ下げをしてるのを後目に、完全にダノンシャークが抜け出して今年の初陣を重賞初制覇で飾った・・。

サウンドオブハートの枠場の傍に寄って、松山康師に年始の挨拶をする。《少し掛かった分だね・・》とすぐに応えてくれた。武豊Jは《直線入り口で夢を見たが・・》と語って検量室の中へと入って行った・・。
前半1000メートルがけっこう速く59.0で通過。1400メートル通過が1.21.7とやはり速さもあったし、最後は切れまで要求される展開と馬場であった。
前へ行った馬の内ラチから二列の馬ばかりが上位を独占した。外を廻ったトーセンレーヴなどは、いい感じで来ていても最後は同じ脚色になってしまっていた。
内有利、先行有利の京都コース。枠順も最内を引いて経済コースで脚を温存したダノンシャークが、絵に描いた様に勝った京都金杯でありました・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。