疾風の如き、タニオブローズが大外を駆け抜ける!!

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日曜京都6R
3歳新馬
芝1600m
勝ちタイム1.37.7

タニオブローズ(牝3、父ネオユニヴァース・栗東・鮫島厩舎)

疾風の如き、タニオブローズが大外を駆け抜ける!!

1000メートルを1.01.8といつものスローな流れとなった。当然に前に行っている馬の優位な競馬。直線残り1ハロンから、その先行グループの中からラプタが何とか抜け出るかという勢いとなった。しかしそう思えたのも束の間、馬場の大外を、それこそ桁違いの脚色でタニオブローズが一瞬のうちに駆け抜けて行った。疾風の如きとはこのことか・・と思えるほどの勢いであった・・。

火曜の朝に、調教スタントで鮫島師に声をかけた。すると《この馬のお祖母さんが走った馬でね。この母の初仔ですが秘密兵器なんですよ》であった。母レインボーローズを紐解いてみた。(そうか・・。エルプスの頃の桜花賞に出ていた馬だったか・・)と、聞き覚えのある馬名だが映像は思い出せない。何せ、胸のすく様な勝ちっぷりだったタニオブローズ。

ではレースを振り返ろう。後ろで2頭が離れて進んではいたが、後の14頭はそんなに差のない集団で向こう正面を進む。速かったのは2ハロンめぐらいで、後はもうジワっとした流れで前半の3ハロンを36.4と、平均ペースで進む。1番人気のエンドレスエイトでその集団の真ん中より少し前目ぐらい。内にディオーサシチーと並んで進む。そこから2馬身開いて2番人気シープシャンクス。その直後にタニオブローズが追走する。3番人気スカイキューティーは後ろから3頭目とちょい後ろだ。
3コーナーの坂を下って行く時には、先頭から最後方までは10馬身ぐらいと、グッと間隔がなくなる。ピッチが上がらないから、4コーナーに入るあたりでは一列に3、4頭ずつでの5列ぐらいとさらに固まってきた。

カーヴを廻って直線に入ってきた時には、先頭のミラクルメジャーが一番手応えが良くて、2番手にいたラプタは、気合をつけるが前の列から下がり気味となる程の手応え。外をエンドレスエイトが押して押して前へと促している。
前半ユックリと行っているだけに、内目を進んでいた馬の伸びが悪くない。残り1ハロンから、ラプタが盛り返し気味に伸び出す。それをアスカリンカーンが追う。
中からディオーサシチーが伸び出す。しかし大外タニオブローズが、内の各馬を上廻る勢いでゴールを目指す。直線半ばで入れていたステッキを納めて、手綱で押すだけ。もうゴール前の2完歩は流し気味であった。
その後を追う様にスカイキューティーもいい脚を使ってきて、3着の写真判定まで詰め寄っていた。

馬場が内がかなりはげてきて外の方が伸びる感じはあろうとも、流れが前有利。そこを強烈な末脚で差し切っておつりがあったタニオブローズ。426キロと小柄な牝馬だが、切れ味は抜群である。次走、どこかのトライアル戦にでも潜りこんでも、少し応援したくなる様な末脚であった・・・。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。