-阪急杯-平林雅芳の目

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日曜阪神11R
阪急杯(G3)
芝1400m
勝ちタイム 1.21.0

ロードカナロア(牡5、キングカメハメハ・栗東・安田厩舎)

王者の走り、ロードカナロア完勝で今年のスタートを飾る!!

圧倒的な人気のロードカナロア。58キロの斤量ながら負けられない一戦となった。スタートから出していったロードカナロア。先手でも奪えるぐらいの気迫。そしてジワっと下げて好位のイン。絶好の位置どりで4角を廻った。迷わず外へと出してきて、一瞬のうちに先行グループの外へと取りつく脚が速かった。後はもう独走。すぐ後ろを追走していたマジンプロスパーが残り1ハロンから脚を伸ばしてきたが、オリービンをクビ差交わすまでが精一杯。
大事な今年の初陣。着差は1馬身に満たないものだが。その大きさは無限に近いものを感じさせるものであった・・・。

阪神競馬場で実際にライブで観ている時には、ロードカナロアが好発ぐらいに見えていたのだが、後でビデオ等で見直すと、ゲートが開いた瞬間にはそんなに早くない出具合である。むしろ外目の白い馬体のシゲルスダチフラガラッハインプレスウィナー、そしてエピセアローム等の出が早い。
しかしその後の二の脚、三の脚でロードカナロアが一番前まで出てきた。その内マジンプロスパーも続く。オリービンもいいポジションだ。ロードカナロアが先手!マジンプロスパー2番手か!と思った処を、クィーンズバーンが押して押してロードカナロアの外から先手を取って行く。ここまで1ハロンには満たないがけっこうな時間を消化していた。

その1ハロン通過時には、先頭がクィーンズバーン、1馬身差でオリービンとロードカナロアが並んで2番手、その内の4番手がマジンプロスパー、外にミトラが半馬身差で5番手に位置する。シゲルスダチが外。内ではシュプリームギフト、エピセアロームがその後ろといい位置だ。サンカルロがその列の後ろの最内を追走だ。シゲルスダチが外を順位を上げていく。
2ハロンを過ぎ、シゲルスダチがさらに順位を上げ、クィーンズバーンのすぐ後ろ、いやもう先頭に並ぶ勢いで3コーナーのカーヴへと入っていく。2馬身後ろの2番手グループが、オリービンにミトラ。そこから3馬身後ろの3列目がロードカナロア、シュプリームギフト。マジンプロスパーが少し後ろの内目だ。
残り600のハロンを過ぎるあたりでは、今度はシゲルスダチが先頭となる。オリービン、ミトラも接近して4頭が2馬身の塊となる。そこから3馬身離れてロートカナロアがラチ沿いを。その後ろをマジンプロスパーが。またその後ろをサンカルロがと、内ラチ沿いを有力馬が走る。
4コーナーのカーヴへと入ってきた時には、前の4頭がほぼ横並びとなっていた。

カーヴを廻る前にロードカナロアは少しゴーサインを出される。岩田Jが手綱が押しているのが見える。前の4頭のいちばん外のミトラへ、馬体をあっという間に並べたロードカナロア。伸び出したオリービンと馬体を並べていたのも少しだけ。
残り100の時点では完全に先頭に立った。その後を追う様に脚を伸ばしてきたサンカルロとマジンプロスパー。マジンプロスパーの伸びが優り、オリービンを交して2着となった。

着差は1馬身に満たないものだったが、58キロと他馬よりも1キロ重い斤量を背負ってのもの。抜け出すタイミングといい勢いといい、もうとてつもない差を感じるものであった。先頭に立ってからは、もう流していた様な感じさえ受けた。
そして上位に入った馬達は、みな内目を通ってきた馬ばかり。馬場のいい阪神は、先行有利のイン有利な馬場。外を廻った馬は直線で同じ、いや内の馬からは落ちる脚勢になる様に思える。

どうやら春のドバイ遠征はなくなったらしいロードカナロア、唯一の3着となった高松宮記念制覇へ向けての初陣を、いい形でスタート出来た様だ。
そして安田厩舎。先週のG1制覇に続いて、短距離路線の王者ロードカナロア。そして桜路線のレッドオーヴァル、と毎週の様に強者を送り出す。春を先取りしている厩舎である・・。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。