-若葉S-平林雅芳の目

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土曜阪神11R
若葉S
芝2000m
勝ちタイム 2.00.7

レッドルーラー(牡3、キングカメハメハ・栗東・松田博厩舎)

レッドルーラーが外から差し切る!!

皐月賞のボーダーラインがかなり高いと聞く。このレースで2着まで入ると優先出走権となる。そんな思惑を考えると、余計に難しい一戦である。
レース自体も、何か重苦しい流れとなってしまった。マズルファイヤーの先手は読めたが、道中で息の入らない流れになるとは思いもしなかっただろう。
2コーナー過ぎから掛かってしまって前進したメイケイペガスターナリタパイレーツも行き出した時だった。終始流れるペースとなった。3コーナーではブービーの位置にいたレッドルーラー。と言っても馬群はひと塊り。直線でインパラトールの外へ出したレッドルーラーが先行した馬達を呑み込む豪快な脚でゴール板を駆け抜けた。
2着には前々で競馬をしたクラウンレガーロ。これも苦しい競馬内容だったが、見事に差し返す内容。
収穫のあった馬もいれば、マイナスの面が浮きぼりになった馬もいた、そんな競馬であった…。

スタートから観てみよう。メイケイペガスターはジワっと出て悪くないスタートだ。内へと入れていく。ナリタパイレーツは、出た時に小牧Jが気合を入れたのが見えた。しかし内のマズルファイヤー、外目のクラウンレガーロが速い。
火曜朝に宮本師と話す機会があった。《行く気でいたんですが、行けなかったんですわ~…》と、馬自身が2000では先手を取るまでは速くない様だ。1コーナーでは3番手で廻ったナリタパイレーツ。メイケイペガスターは後ろにアルヴェロンだけがいるブービーの内ラチ沿い。

ところが2コーナーのカーヴを廻っていくまでの間に、異変が起きていた。内ラチ沿いを進んでいたメイケイペガスターが、どんどんと前へ上がって行く。3ハロンを過ぎて4ハロンにまだかからないというのに、もう前から6頭目。ナリタパイレーツの直ぐ後ろだ。内から外へと出してきたメイケイペガスター。ちょうどナリタパイレーツが前の2番手クラウンレガーロを交して行く時と重なった。だいぶ外へ出して折り合おうとしているメイケイペガスターだが、クビをぐっと下げてスイッチが入り加減である。クラウンレガーロが後ろをチラっと観て、3番手のラチ沿いに下げる。前半1000メートルは1.00.8だが、この間のラップは11.5と考えらない速さである。サトノロブレスが5番手、アドマイヤドバイレコンダイトと続き、インパラトール、そしてレッドルーラーがブービー追走。ドンジリが東からのアルヴェロンだ。

3コーナーを廻って流れは速くなっていく。前はマズルファイヤーに、半馬身差にナリタパイレーツが並び、その後ろも3頭。真ん中にサトノノブレスを挟んで内がクラウンレガーロ、外がメイケイペガスターで並ぶ。
馬群はさらに凝縮していき、残り800を過ぎるあたりでは、もう11頭がほぼ4馬身ぐらいの塊となって、最終カーヴへと向かう。
4角を廻り、真っ直ぐに向いた時には、先頭はサトノノブレス。前へ行った2頭を上廻る脚色だ。メイケイペガスターもまだ4番手だが、やや手応えが怪しい。その内からクラウンレガーロの脚色がいい。

残り1ハロンで、サトノノブレスをクラウンレガーロが抜く。しかしその後ろからレッドルーラーがインパラトールを引きつれている。
クラウンレガーロとの叩き合いでなったレッドルーラー。半馬身ぐらい前に出た処がゴールだった。
その後ろは4頭が接戦。3着には何とかサトノノブレスが粘り、インパラトールが届かずの4着。ナリタパイレーツ5着、マズルファイヤー6着。メイケイペガスターは、最後は内へもたれ気味でゴールへ入っていた。

平均に流れてしまったこのレース。差し馬の競馬となった感じだが、立派だったのはクラウンレガーロ。4角で前の馬が壁となり、少し外へ出してきたのだが、そこがスムーズだったらもっと際どい競馬になっていたかも。

火曜朝に日吉師も『エエ、収穫大だった一戦でしたよ。これで胸を張って皐月賞へと行けます』であった。レッドルーラーは5戦してスミヨンJとビュイックJが乗ったレースで4着だが、日本人騎手が乗って3勝。川田Jで前走と連勝となった。メイケイペガスターは、道中で行きたがる面をどうするのかが今後のテーマとなりそうだ。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。