王者の貫録!ロードカナロア、レコードで完勝!…平林雅芳の目

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3月24日(日)中京11R 高松宮記念(G1)(芝1200m)
ロードカナロア
(牡5、栗東・安田厩舎)
父:キングカメハメハ
母:レディブラッサム
母父:Storm Cat


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朝から込み合うスタンドの内外。パドックも上階からでないと見えない状態。《スターター》が壇上へ上がっただけで、拍手の連続。名古屋のファンはホットである。
スタート直後に位置が後ろとなった主役であったが、直線半ばで上がってくる脚色を見ていたら盤石の構え。鞍上岩田Jの例の追い方でグイっと伸びてくる。最後は抜け出て流し気味のゴール前。逃げ粘るハクサンムーンを、ゴール寸前で外からドリームバレンチノが差して2着に上がった。電光掲示板にレコードの表示だった。揺るぎない勝利、もうロードカナロアは神の域に達した…。

パドックは電光掲示板の裏手から観ていた。ハクサンムーンにアイラブリリの発汗がやや多いな~なんて思いながら。ロードカナロアは僚馬ダッシャーゴーゴーの後ろを周回している。前が大型だけに余計スッキリ感がある。丸みはもちろんあるが、まとまりがいい…なんて。そしていち早く、いつも馬場入りを観る場所に移る。

他の馬よりも前に出す馬がいる。内馬場のダートコースの入り口から入ってくる。ハクサンムーンが一番先…だったが、後から来たサンカルロマジンプロスパーが先に芝コースへと入って返し馬をして去っていく。結局、ハクサンムーンは、全馬がコースに入ってキャンターに移った後で、しばらくしてからJRA職員の手を借りてやっと馬場入りを果たした。何やら波乱の予感・・がと思えたものだった。
ロードカナロアが堂々と返し馬をして行く時には、場内のボルテージはかなり上がっていた。

そしてゲート・オープン。メモリアルイヤーの出がいちばんに早い。しかし直ぐにその内からハクサンムーンが内へ切れ込む様に出て行った。これは速くなる…ぞと見ていた。

ハクサンムーンが先手を取るまでに、半ハロンはかかった。メモリアルイヤーが2番手に控えた。3番手アイラブリリ。マジンプロスパーが4番手。その後ろにサクラゴスペルがいた。ロードカナロアはその少し後ろの馬群の中。マジンプロスパーが内へ潜りこんでアイラブリリの内となって、3コーナーのカーブへと入る。ロードカナロアはちょうど馬群の真ん中。外にダッシャーゴーゴー、内にシルクフォーチュン。ドリームバレンチノが真後ろにいる。サンカルロは最後方だった。
3コーナーを過ぎて4コーナーにかかるあたりが、一番中京は見づらい。内馬場の山や小屋が邪魔して、どうやっても見えない。オーロラビジョンは後ろを撮っていて、前がおざなりとなる映像だ。その間にダッシャーゴーゴーら後続が前との間隔を詰めていた。ロードカナロアも、前との差が3馬身程度の好位置で4コーナーのカーヴへと入ってきていた。

どの馬も手綱を抑えたままでカーヴを廻って直線へと入ってくる。残り400のハロン棒。ハクサンムーンが先頭。外からサクラゴスペルが追い出す。少し内へと入ってくる。その瞬間に前がポッカリと開いたロードカナロア。岩田Jが左ステッキで追い出して行く。
残り300のオレンジ棒を過ぎた。ダッシャーゴーゴーの外をドリームバレンチノも出て来る。ハクサンムーンがまだ粘る。それを追うロードカナロアが交したのが残り100の白赤の棒。
ロードカナロアが出た!ハクサンムーンが粘った…と思った瞬間に、外を漆黒の馬体が交した。
ドリームバレンチノが2着に上がった。マジンプロスパーは内ラチ沿いで6着。サンカルロは外を追い上げてきていたが、9着敗退…。

前半3ハロンが34.3の入りである。上がりが33.8とまるでスローな流れだ。最後の2ハロンが11.0~11.6と、上がりは速い展開に持ち込んだハクサンムーンの酒井学J。そんな流れをも吹き飛ばして伸びていくロードカナロア。

もう日本の短距離界では負かす馬は4歳上ではいないのかも知れない。王者の貫録、そんな表現がピッタリの高松宮記念でありました。安田厩舎のスプリント路線は、今まさに完熟の域に達した感でした…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。