オルフェーヴル、見据えるゴールは9600キロの彼方!!…平林雅芳の目

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13年3月31日(日)阪神4日目11R 産経大阪杯(GⅡ)(芝2000m)
オルフェーヴル
(牡5、栗東・池江厩舎)
父:ステイゴールド
母:オリエンタルアート
母父:メジロマックイーン

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昨年はフランスでも日本でも悔しい思いをしたオルフェーヴル。今年の初陣だが、再び凱旋門賞への気持ちがあるだけに、ここでは負けられない想いだったはず。
向こう正面から早めの進出、4角では先頭グループのいちばん外に取り付く。
直線の半ばで先頭へ躍り出た。内へもたれるのを出来るだけ最小限に避けた印象だった。最後は、抜け出して右ステッキで小さくガッツポーズさえもした程に余裕十分。目指すゴールはここではない!と言った勝利であった…。

土曜の深夜から朝方まで、当然にドバイ・デーをライブで観ていた。
流石に日曜はテレビ観戦となった。パドックを周回する歴戦の雄を観ていたが、ショウナンマイティの黒光りする馬体。やはり一度使っている分で差が出るかな~なんて、オルフェーヴルの勝利を一瞬だけ疑った時間があったのを恥じた。そんな強さだったオルフェーヴルの初陣であった。

スタートも五分に出て、スッと中団より後ろの内目に納まる。ショウナンマイティの方が後ろで、ブービーの位置で1周目のゴールを過ぎて行った。意外にもコパノジングーが逃げて行く。トウカイパラダイスダークシャドウが2番手グループを形成。エイシンフラッシュが中団の真ん中で内ラチ沿い、オルフェーヴルはそこから3馬身ぐらい後ろ、最初のカーヴは小さく廻ったが、2コーナーを廻った時には、少し外目へと出てきている。ショウナンマイティは前の馬から2馬身ぐらい離れてブービー。最後方はタガノエルシコだ。

コパノジングーが後続を3馬身ぐらい離しての逃げ。《1000メートルを61.5で通過》とアナウンスがあった。2番手トウカイパラダイスが少し前との差を詰めて行く。次の1ハロンを過ぎるあたりでブービーだったショウナンマイティが、やや順位を上げて行く。前を行くオルフェーヴルが上がって行くタイミングと一緒だった。

オルフェーヴルが上がって行くあたりから、ちょうどペースも速くなってきた時。それまで12秒台だったラップが11秒台と上がる。オルフェーヴルの鞍上池添Jの手が少し動きながらの進出だ。
もう一気に勝負態勢となって、先頭もコパノジングーにトウカイパラダイスが並び、その後ろもダークシャドウ、エイシンフラッシュ、ヴィルシーナの3頭が横並び。ローズキングダムの外まで上がってきたオルフェーヴルは、さらに前へと進む。

4コーナーのカーヴを廻る時には、左肩にムチが入ってゴーサインを出していた。その後をショウナンマイティも当然についてきている。
直線に入って、今度はトウカイパラダイスが先頭。その後からエイシンフラッシュが前へと出てくる気配。そこへオルフェーヴルも並んできた。エイシンフラッシュの勢いより、オルフェーヴルの勢いが優る。半馬身、1馬身と前に出て行く。その外を漆黒の馬体のショウナンマイティがやってきたが、もうオルフェーヴルは勝利を確信した佇まいをしていた。右ムチで最後に1発入れた池添J。そのステッキを納めず、勝利の歓喜のために使った。二度ほど小さくアクションをしていたのが見えた。

競馬場でライブで観ているのがいつもだが、家で民放とグリーンチャンネルをチャカチャカして観るのも面白い。引き上げてきた池添Jが、枠場に入る前に言葉を発したのも聞こえた。
そしてインタビュー。なかなかにいい。最大目標の凱旋門賞の時、その馬上にいられたら…の想いが実にいい。
ショウナンマイティは半馬身届かなかった。エイシンフラッシュにクビ差先着して使った脚はメンバー随一。オルフェーヴルを負かすには、後ろから一気に交す乗り方しかないと腹をくくったものと思えた。ゴール前の2ハロンめが10.9。そこを一気に加速していったオルフェーヴルの強さに歯が立たなかっただけ。着差は半馬身だが、とてつもない差を感じたものでもあった。
そのオルフェーヴルの本当の戦いは秋、10月6日彼の地での戦いへとまだ動き出したばかりなのである…。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。