ホッコータルマエ、G1馬を退けて3連勝!…平林雅芳の目

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13年4月13日(土)2回阪神7日目11R アンタレスS(G3)(ダ1800m)

ホッコータルマエ
(牡4、栗東・西浦厩舎)
父:キングカメハメハ
母:マダムチェロキー
母父:Cherokee Run


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昨年のJCD勝ち馬、ニホンピロアワーズの今年の初陣。59キロを背負っての登場だが貫禄が違う。後は使っている馬との差だけ。1番人気は地方交流重賞ながら連勝中のホッコータルマエ。やはり使っている分と2キロ軽いのも大きい。バーディバーディを加えた3頭が4角で馬体を並べて直線に入ってきたのだが、そこから伸びたのはやはり人気の2頭。前へ行っていたニホンピロアワーズと追いかけたホッコータルマエとの叩き合いとなったが、ホッコータルマエに軍配があがった。
乾いたダートでこの速い上がり時計。35.9と後続が来れない決め手勝負での決着となったものだった…。

バーディバーディが楽に先手を取って行けると読んでいたものだが、実戦ではまったく違った。バーディバーディ自体のダッシュがそんなに速くない。むしろ人気の2頭の方が早い出であり、スタートして少ししてバーディバーディの先行優位の形は速くもなくなった。

ニホンピロアワーズが、最初のコーナーを2番手で廻る。ナリタシルクロードが先手を主張。内にトミケンアルドール、バーディバーディは3番手の外目で廻る。そのすぐ後ろをホッコータルマエが続き、内にハートビートソングがいた。最後方には1年4ケ月ぶりのオーブルチェフ。今回コンビを組む横山典Jはこのひと鞍だけの騎乗だ。パドック、キャンターと見たが馬体のシルエットは悪くない。後は久々の点だけ。

2コーナーのカーヴを廻ったあたりがこのレースで一番遅かったぐらいで、向こう正面に入っては好位グループ、中団グループが前との差を少し詰めて続く。ソリタリーキングが前と少し開いて後ろから3頭目。最後方はさらに2馬身でオーブルチェフだ。

コーナーを廻るあたりで、1000メートル通過が1.01.5ぐらいと告げる。しかし先頭のナリタシルクロードにピタっと半馬身差でニホンピロアワーズがへばりつく。さらに半馬身でバーディバーディ。同じ差で内にトミケンアルドール。すぐ後ろをホッコータルマエとハートビートソングが続き、ピッチが上がる準備万端な感じだ。4コーナーが近づくと、ホッコータルマエがさらに前へと進める。バーディバーディの鞍上がしきり手綱をしごいているのに、スーッとその外へ並び加減に上がって行く。

カーヴを廻ってくる。早くもニホンピロアワーズが先頭となると思えた瞬間に、ホッコータルマエが馬体を並べる。まだ残り300を残すハロン棒あたりだ。この2頭で後続を一瞬に離しての追い合いとなる。
やや前に出るホッコータルマエ。しかし内のニホンピロアワーズも離れずに食いさがる。しかしホッコータルマエが半馬身、そして最後はもう1馬身近い差を開けてゴールに入った。前の2頭から離された3着にハートビートソング。そしてゴール前で、ソリタリーキングが最内をなかなかの伸び脚で4着に上がってきていた。

勝ち時計と上がり時計をすぐに観る。上がり時計の35.9に驚く。この乾いたダートでこの切れ味である。まるで芝なみのタイムだ。これでは後続の付けいる隙もない。
今年すでに4戦目のホッコータルマエと、ここが初陣となるニホンピロアワーズ。斤量の差もあった。しかしその2頭が後続につけた差が2馬身半。強い馬はどこまで行っても強いのである。

この後に『かしわ記念』や『帝王賞』とあるG1競走。火曜朝に大橋師には話は聞けた。《背負っている分、前で競馬をしたのだろう。負けたが内容は悪くなかった。この後ね~。かしわ記念の1600では忙しすぎるから使わない。京都の『平安S』(G3・5月18日・1900ダート)へ。59キロではあるが、そこから帝王賞(6月26日)までタップリ時間もあるからね・・》だった。何でも、今年のJBCは金沢であるらしい。

まだまだ今年の古馬・ダート路線は始まったばかりである。今日の戦いには出ていないが、他にもっともっと強い馬がいるのだから…。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。