ヴィルシーナ人馬悲願のG1Vはハナ差で制した!

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13年5月12日(日)、2回東京8日目11Rで第8回ヴィクトリアマイル(GⅠ)(芝1600m)が行なわれ、内田 博幸騎手騎乗の1番人気・ヴィルシーナが優勝。勝ちタイムは1.32.4(良)。

2着にはハナ差で12番人気・ホエールキャプチャ(牝5、美浦・田中清厩舎)、3着には5番人気・マイネイサベル(牝5、美浦・水野厩舎)が続いて入線した。

久々のマイル戦。距離を不安視する向きもあったヴィルシーナだが、好スタートから2番手を追走。
直線ではいったんはマイネイサベルに差される形になったが、「手応えがなくて、これは参った、と思った」という内田騎手がステッキを連打。そして、気迫溢れるスパート。
マイネイサベルを差し返したところに、外からもホエールキャプチャが追い込み、ゴール前ではクビの上げ下げの大接戦。どちらに軍配が上がったか、固唾を飲んで大観衆も見守ったが、僅か約12cmのハナ差をヴィルシーナが制した。

内田博幸騎手は「蛯名騎手と『どっちが勝った?』という感じで、蛯名騎手も僕もわからなかったのですが、スローのビデオを観て、勝ちを確信しました。
本当にハラハラさせてくれましたが、馬主さん、友道厩舎の方々になんとかG1を勝ってもらいたかった。こうしてリベンジできて、良かったと思います」と頬を緩ませれば、「またも2着か?」陣営をはじめ、誰もがそう思っただろう。そこからの巻き返しだっただけに、レース後の検量室前の関係者の雰囲気は、一層の安堵と歓喜のムードに包まれた。

昨年は周知の通り、桜花賞からのクラシック3冠は全て2着。古馬に挑んだエリザベス女王杯でもクビ差の2着。この日も決して、楽なレース内容ではなかったが、ゴール前は人馬の執念が乗り移ったかのような走り。悲願のG1タイトルは精神力でもぎ取った。

「負けるよりは『せめて同着にでも』と思いましたが、今日は本当に馬に助けられました」と内田騎手もヴィルシーナの走りをたたえる。

G1馬の仲間入りを果たし、気になるところは次走だ。戦前から友道師も「ジェンティルドンナともう一度やりたい」と、昨年、4戦2着になったライバルとの再戦を意識していたが「オーナーとの相談になりますが、宝塚記念も選択肢には入っています」とリベンジマッチに含みを持たせた。ようやくつかんだタイトルを手にヴィルシーナ(ロシア語で頂上の意味)更なる頂きを目指していく。

1着 ヴィルシーナ(内田博騎手)
「ゴール前は確信が持てず、またやられたかと思った。やっと勝てたよ。ようやくヴィルシーナにG1をプレゼントでき、本当にうれしい。最後は接戦になったが、いつも以上に力を振り絞ってがんばってくれた。すごい馬だと再認識したよ」

(佐々木主浩オーナー)
「いい手応えで直線に向き、いけるかなと思いましたが、意外と伸びない。あせりましたよ。つい声も、手も出ましたよ。秋華賞のときは勝ったと思って喜んでいたら、僅差で差されていましたからね。VTRのスロー再生をよく確認しました。勝てたと確認し、本当にうれしかった。昨年はずっと悔しい思いをしてきましたが、それでヴィルシーナも強くなったのでしょう。よくがんばってくれました。近々、母親のハルーワスウィートに会いに行き、勝利の報告をしたいです。これからも無事に走ってほしい」

(友道康夫調教師)
「ほっとしました。昨年は一年間、よくがんばりながらも不完全燃焼でしたから、なんとかG1を獲らせたかった。普段は本当に素直でかわいい女の子。でも、競馬では抜群の勝負根性を発揮してくれます。すばらしい馬ですよ。
久々のマイルとなりますが、どんな距離でも乗りやすく、競馬をしやすいのが長所。行く馬も見当たらず、後ろから届かないと見ていました。ジョッキーもいい位置を取りたいと話していましたよ。ゲートをスムーズに出て、絶好のパターン。手応え良く4コーナーを回ってきて、これはやれると思いましたね。ただ、エンジンのかかりは少し遅いんです。ゴール前はひやっとしました。それでも、最後の最後になって、勝負根性に火がついたのでしょう。精神力で凌げました。
前走は休み明けで体にも、動きにも余裕がありましたが、使った効果は明らかでした。マイルにも対応し、すっと動けるように調整できましたし、馬も賢く吸収。マイルのお手本のような走りでしたよ。
2歳のデビュー以降、まったく手がかからない優等生。きょうはオークス時より落ち着きがありました。体も20キロくらい増え、ボリュームアップしています。この間の成長も大きいですよ。ここに目標を定めていましたので、今後のことは白紙です。これからオーナーとゆっくり相談します」