19日(日)は2つの国際G1レース[和田英司コラム]

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今週19日の日曜日は、日本時間の朝に米三冠の第2戦プリークネスSが行なわれ、日本のオークスを昼間に挟んで、夜はシンガポールのクランジ競馬場からクリスフライヤー国際スプリントとシンガポール航空国際カップ、2つの注目の国際G1レースが組まれている。

第138回プリークネスSは、ケンタッキーダービーから中1週間、舞台はメリーランド州ボルティモアのピムリコ競馬場に移る。ケンタッキーダービーは極端なハイペースとなり追い込み馬の上位独占となったが、16番枠で後方待機策に戦法を変えたオーブにとっては本来の好位競馬で小回りのピムリコ競馬場を攻略してくるように思える。従って二冠の可能性はかなり高くなった。

出走予定馬は、ケンタッキーダービー馬オーブの他、5着マイルート、6着オックスボウ、8着ウィルテイクチャージ、15着イッツマイラッキーデー、17着ゴールデンセンツ、18着ヴァイジャックの7頭のダービー組に、G3イリノイダービー勝馬ディパーティングにボブ・バファート厩舎の2頭、G3サンランドダービー勝馬ガヴァナーチャーリーとG3ダービートライアルS4着のタイトルタウンファイヴが登録している。

今年からグローバルスプリントチャレンジの第4戦に加えられたクリスフライヤー国際スプリントは左廻りの1200m戦、日本からダッシャーゴーゴーが出走する。ダッシャーゴーゴーの国際レイティングは114、出走11頭中8番目にあたる。レイティング119でトップは豪州から参戦する5歳セン馬のベルスプリンター、ギャラクシーでは出遅れながらも突き抜けてG1初優勝、しかし前走TJスミスSはブラックキャヴィアの3着が一杯だった。

レイティング118で続くのは香港ラッキーナインと地元スーパーイージーの2頭。ラッキーナインは今年香港G1チェアマンズスプリントプライズを勝ってはいるが、成績にムラがあり過ぎる。これなら香港では右廻りに苦しんだスーパーイージーが、前哨戦のシンガポールG1ライオンシティカップを勝って予定通り駒を進めて来た。ホームでのアドバンテージを生かしてやはり中心馬となりそうである。

117のベルモントマストはG1ドバイゴールデンシャヒーンの2着馬、116のダックススカラー、南アフリカのカヴァナー、地元のミスタービッグは昨年の2着馬、ドバイを経由した3頭なら、ライオンシティカップを2着したミスタービッグでも十分勝負になりそうである。ダッシャーゴーゴーと114で並ぶ地元のゴールキーパー、113のエメラルドヒルとスピーディーキャットでは足りそうもない。

シンガポール航空国際カップも良いメンバーが集まった。レイティング122でトップに並んだのは3頭。ドバイのダグ・ワトソン厩舎に移籍したG1・3勝馬ミアンドレはドバイWC6着、香港ミリタリーアタックは香港G1香港ゴールドカップから重賞3連勝でG1QEⅡカップを勝った。絶好調だが、2年振りの左廻りを熟せるかが最大のポイント。ドイツのパストリアスは昨年のドイツダービー馬で今季初戦のガネー賞をペースメーカーの3番手から抜け出してG1・3勝馬になった。

これに続く120で英国のレッドカドー、G1香港ヴァーズを勝ち、ドバイWC2着、そして天皇賞(春)は3着。118の香港ダンエクセルは香港カップではミリタリーアタックに先着の4着、前走G1チャンピオンズマイルを勝って来た。ジョン・ムーア厩舎2頭出し、こちらも左廻りは1年半振りとなる。ゴドルフィンのハンターズライトが続く117、3連勝でG1アルマクトゥームチャレンジR3を勝ったが、本番ドバイWCは7着に終わった。

116は3連勝でG3アールオブセフトンSまで勝ち進んで来た英国のムルオブキロウと豪州のG1ドゥーンベンカップ勝馬マウィンゴの2頭。115は地元のシンガポールG1勝馬フラックスと高岡厩舎に所属する牝馬のシンガポールG1・2勝馬ベターライフ、後は111でシンガポールG3・2勝馬リザール、109でディープポケッツ、106でレディートゥストライドの地元勢が続いている。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。