2013ロイヤルアスコットを振り返って[和田栄司コラム]

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初日のオープニングを飾る直線のマイル戦クイーンアンSには、ドバイワールドCを圧勝した2011年のケンタッキータービー馬アニマルキングダムが出走した。しかし1番人気に推されたものの追走一杯で脱落の11着、やはりタフな馬場が合わなかったのだろう。代わって道中5番手にいたデクラレーションウォーが、先に抜け出したグレゴーリアン(3着)と交わしにかかるアルジャマヒア(2着)をまとめて捕え、G1初優勝した。

続く直線の5ハロン戦キングズスタンドSは、後方にポジションを取ったジョニー・ムルタ騎乗のソウルパワーが残り2ハロンからニアサイドに動いて、最終ハロンでファーサイドから抜け出したG1・3勝馬シェイシェイをクビ差差し切って、2010年のナンソープSに続くG1・2勝目を挙げた。シェイシェイから1馬身4分の1差の3着に、ニアサイドに動いたパールシークレットが上がった。

3歳牡馬によるセントジェームズパレスSは英愛2000ギニー馬の対決となったが、2000ギニー馬ドーンアプローチが直線での不利にも拘らず、一捲りで1ハロン残して先頭に立ち、2000ギニー4着馬トロナードの追撃を短頭差凌いで優勝した。愛2000ギニー馬マジシャンは、3番手の好ポジションも残り2ハロンで苦しくなり外によれて、ドーンアプローチやトロナードに少なからず影響を及ぼした。ドーンアプローチは今後マイル戦を使われていくのだろうか。

2日目は、古馬のマイル&クォーター戦プリンスオブウェールズSがメイン。先行するムカドラムを、道中4番手のアルカズィームが2ハロン残して2番手に上がり、残り50ヤードで捕えクビ差優勝した。後方9番手から今季初戦のザフューグが追い込んで3着、しかし2着ムカドラムからは3馬身4分の1差があった。人気のキャメロットは今季3戦目となったが、良さが見られず4着は期待外れ。タタソールズゴールドカップに続くG1連勝のアルカズィームは、中16日でエクリプスSに向かう。

3日目は、古馬の2マイルと4ハロンのマラソン競走ゴールドカップがメイン。女王陛下のエスティメイトがライアン・ムーア騎手を鞍上に、好位5番手から直線4番手に上がり、残り100ヤード残して先頭に立ち外から伸びるシメノンの追い込みをクビ差凌いで優勝した。外から伸びたトップトリップが1馬身差の3着。昨年の覇者カラーヴィジョンは、残り2ハロンで先頭に立ったものの4着、昨年3着のサドラーズロックはバテて8着に終わった。

4日目は、3歳牝馬によるマイル戦コロネーションSがメイン。1000ギニー馬スカイランターンが、リチャード・ヒューズ騎手を鞍上に最後方からラストトゥファーストを決めて4馬身差で圧勝した。1000ギニー2着の後、愛1000ギニーを勝って臨んだジャストザジャッジは、好位競馬からスカイランターンの2番手に収まったが、最後は後方から追い込んだケンホープにクビ差交わされ3着に終わった。

王室開催最終日は、直線の6ハロン戦ダイアモンドジュビリーSがメイン。アダム・カービイ騎乗のリーサルフォースが、ニアサイド9頭の先頭を走り逃げ切ってG1初優勝を挙げた。後方から半ばでニアサイドに動いた人気のソサイエティーズロックが2馬身差2着。昨年のドバイゴールデンシャヒーン勝馬クリプトンファクターがニアサイドの4番手から1馬身4分の3差3着したものの、豪州のG1・3勝馬シーサイレンは伸びきれず8着に終わっている。

2013年のロイヤルアスコット、最多勝利騎手には最終日のハードウィックSで4勝目を挙げたジョニー・ムルタ騎手、最多勝利トレーナーにはエイダン・オブライエン調教師、いずれもアイルランド勢の活躍が目を引いた。


海外競馬評論家 和田栄司
ラジオ日本のチーフディレクターとして競馬番組の制作に携わり、多岐にわたる人脈を形成。かつ音楽ライターとしても数々の名盤のライナーを手掛け、海外競馬の密な情報を把握している日本における第一人者、言わば生き字引である。外国馬の動向・海外競馬レポートはかねてからマスメディアで好評を博しており、それらをよりアップグレードして競馬ラボで独占公開中。