ピオネロ(先駆者)が直線で外から伸びてデビュー勝ち

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13年6月23日(日)3回阪神8日目5R 2歳新馬(芝外1800m)

ピオネロ
(牡2、栗東・松永厩舎)
父:ネオユニヴァース
母:クルソラ
母父:Candy Stripes
通算成績:1戦1勝


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朝からややこしい空模様。黒い雲が覆ったり青空が出たりと。今年最初の新馬1800戦。圧倒的1番人気のヴァンクウィッシュがスローペースに落として逃げた。1000メートル通過が1.06.1と、これ以上ない流れを演出。実際、残り1ハロンを前にして断然有利なはずだったのだが、スローなだけに追走が楽で、終い脚を温存できた後続馬から、4角で大外へ上がってきたピオネロが、終いまで渋太い脚を使っての抜け出しとなった。
2着には一番内をついたレッドラヴィータ。ヴァンクウィッシュは、カレンヴィットリアにも先着を許しての4着で初陣を終えた…。

今日は宝塚記念デーという事で朝から人が多い。なかなか思うように場内を歩けない状態となっている。この新馬戦のパドックも、いつもとは違って満員御礼ぐらいの盛況ぶり。そのパドックの周回をジックリと見ていたが、あまり食指の出る馬はいない。雰囲気的にカレンヴィットリアかな~と見立てていた。582キロと超大型のマウンテンライオンはやはりデカク、返し馬もややスピード感はどうかなの感じ。それとイダスの硬さにはビックリ。これでいいんだろうかと思ってもいた。

スタートでウルパラクアキエレメムーチョがやや置かれた。中からダッシュ良く出ていったのがそのイダス。押して押して行くが、その内からすーっとヴァンクウィッシュが出ていく。2番手がイダスで、3番手に内からレッドラヴィータが外にマウンテンライオン、シゲルシモツケと続く。その後の位置にカレンヴィットリアとピオネロで、出の悪かった2頭が最後尾。
2ハロンを過ぎたあたりでは最後方まで6馬身ぐらいで固まり、ピオネロがジワっとその大役を務める。
3角をヴァンクウィッシュが1馬身リードでカーヴを廻る。もう13.2とかなりペースダウンだ。その後も13秒台が2ハロンも続く。

残り800を過ぎるあたりで、最後方だったピオネロが前へと順位を上げて5頭目の外へ並ぶ。ややピッチが上がった感じだ。4角が近づいた時に、このゆったりした流れの中でイダスだけが手が動いている。4番手の外へと上がろうかのピオネロ。鞍上蛯名Jがもう追い出しにかかっている。
直線に入ってきたが、逃げたヴァンクウィッシュはやや進路を外目に取る。その内へレッドラヴィータが入り、さらに後ろからのカレンヴィットリアも内へ潜りこむ。

残り300を過ぎるあたりで追い出すヴァンクウィッシュ。しかし一番内をついたレッドラヴィータが前へと出だす。外ではピオネロの伸びがいい。
前は4頭が混戦気味となってくる。最内をレッドラヴィータが、その外にカレンヴィットリア。そしてヴァンクウィッシュだが、何か一番伸び脚がなさそう。外からピオネロの蛯名Jが猛然とステッキを使っての追い出し。計12発ぐらい入っていた様子だ。ヴァンクウィッシュは4着に敗れ、大型馬のマウンテンライオンは5着。最後の2ハロンが11.0~11.3の切れ味勝負。そこへ持っていったヴァンクウィッシュが逆に伸びあぐねていた。

蛯名Jに、レース後に少し時間を置いてから聞いたが《まだまだ子供っぽい。何かしてやろうの気ばかり。それでいてこれだけ走るのだから悪くない。いいものは持っている~》と。ついでに関東馬との比較を聞いてしまう。《そんなに東西の差は現時点ではないのでは…》が、両方をしっかりと乗っている者の実直な意見でありました…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。