マジンプロスパーがレコードV、福永J今季の重賞初勝ち!!…平林雅芳の目

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13年6月30日(日)3回中京2日目11R 第49回 CBC賞(G3)(芝1200m)

マジンプロスパー
(牡6、栗東・中尾厩舎)
父:アドマイヤコジーン
母:ハリウッドドリーム
母父:バブルガムフェロー


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中京競馬場は風が良く通り抜ける。パドックからスタンドへと抜ける風が春の時はたまらなく冷たかったのだが、初夏の今は心地よい。家族連れでアチコチで場所取りをして、和んで競馬をしている人達が多い。そして名古屋の人はけっこう熱い人が多い。馬場入場の時からジョッキーへの声援がよく通り抜ける。
そんな中でのサマー・スプリントの第2戦。気持ち良く逃げてのまま粘ろうかとするハクサンムーン。それを残り50メートルの処で捕えたマジンプロスパー。ハンデ1位が勝って、2位が首差の2着。上位人気馬が、そのまま電光掲示板に並んだ人気通りの結果となった…。

パドックで馬を見渡す。アイラブリリが相変わらず小うるさい。いつもの事だが…と。馬体増だがそんな感じにはまったく見られず。
ハンデ戦かと思えるほどに、斤量を背負っている馬達の気配がいい。夏場でもあるのに元気一杯である。マジンプロスパーにハクサンムーンとサドンストームもいい汗をかき、いい感じだ。ザラストロはと見ると、何となく歩きが硬く見える。こんなものかな~とやや不安になる。一番最後にアイラブリリがパドックを出て行った。

そして馬場入りを経て返し馬。眼の前を各馬がキャンターで2コーナーへと通り過ぎていく。一番先にゲート入りしたアイラブリリがゲート内で大きく立ち上がってしまう。馬体検査の後、異常なしで外枠発走となった。これでこの馬が先手を取っていく事はなくなったと思う。もう一度立ち上がったが、大丈夫。
治まってすぐゲートが開く。やはりアイラブリリの出は鈍い。エーシンダックマンの方が出が速い。しかし、押して押していくエーシンダックマンを後目にハクサンムーンがスッと出て行く。エーシンダックマンが2番手。ハクサンムーンが迷わず内へと入る。エーシンダックマン、ボストンエンペラー、マジンプロスパー、バーバラと続く先行グループ。サドンストームは後ろから4番目のインで前半3ハロンを通過。

3ハロン通過の時に、ハクサンムーンの外へエーシンダックマンが半馬身後ろまで迫っていく。しかしコーナーワークもよく、ラチ沿いの近くをハクサンムーンがまたリードを広げつつ残り400を迎える。
マジンプロスパーが3番手に上がって前を伺う。白い馬体のザッハトルテがその外へ出してくるのが見える。なかなか追わないハクサンムーンだが、残り300を少し過ぎてからの追い出し。一時は2馬身以上の差が広がったハクサンムーン。しかし追うのはマジンプロスパー。福永Jの左ステッキに呼応して少しずつ伸びて、ハクサンムーンとの間合いを詰めていく。

あと1完歩のところで、ついにハクサンムーンを捕えたマジンプロスパー。クビ差ではあったが、もっとあったかの様に思えたゴール前の差だった。酒井学Jが、首をうなだれながらゴール板を過ぎていったかの様に見えたものだった。3着には少し遅かったが、サドンストームが最後にいい脚を使って伸びてきた。
ザッハトルテ、バーバラと続き、ザラストロはちょっぴりだけ伸びてきて7着同着だった。

高松宮記念ロードカナロアが残したレコードを、コンマ1秒差詰めての1.08.0で勝ったマジンプロスパー。3番手から伸びてのもので、前が十分に残る流れの中でのタイム。もっとメンバーが揃う一戦とならば、7秒台は確実に出る決着になる事だろう。何よりも、このハンデ戦でありながら、この重い斤量を背負った1,2着馬が、3着以降にけっこうな力の差をみせつけた感じ。ハンデ戦でありながらまるで別定戦の様な結果。短距離路線は、上には上がいるものであります…。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。