トウケイヘイローが綺麗に逃げ切る!!…平林雅芳の目

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13年7月14日(日)2回函館4日目11R 第49回 函館記念(G3)(芝2000m)

トウケイヘイロー
(牡4、栗東・清水厩舎)
父:ゴールドヘイロー
母:ダンスクィーン
母父:ミルジヨージ


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朝から何となく人の入りが多く感じる函館競馬場。日向に出るとちょっと暑いな~と感じるが、日陰はこれまた涼しい。パドックを観る環境も実にいいし、馬券売り場のスペースやいろいろな工夫があり、多場とはちと違う嬉しさがある。
メインの時には、廻りをかなりのファンが囲んだ。ファンのすぐ目の前を通っての馬場入り、そして返し馬。実に盛り上がる競馬場である。
そしてファンの黄色い声に後押しされて、武豊トウケイヘイローが最後まで脚色が鈍ることもなく逃げ切ったのでありました…。

12.2~11.0~11.7~11.8~12.1~12.1~12.0~12.0~11.6~12.1。これが今年の函館記念のラップである、というかトウケイヘイローが刻んだ数字だ。一番遅い処がゲートを出てからの最初の1ハロン。前半3ハロン34.7で通過だが、1000M通過が58.8。1600M通過が1.34.9。決して遅い流れではない。マイペースとはいえ、平均より少し速いぐらいの流れだろう。最終カーヴを廻るあたりの最後の2ハロンめが、何と11.6と加速して後続を離し、最後はその差を持続してのゴールであった。2番手をモズが行って内の3番手に同厩のアンコイルド。やはり内々を廻る馬は最後の伸びも違う。
3着のアスカクリチャンは、この枠ながら最初のうちに内の方へと入れてきている。枠ながら少しずつ内へと入ってきて、極めつけは最後のカーヴを内から2頭目で廻り、最後の直線は内ラチ沿いを伸ばしてきた…。

巴賞の1,2着馬が、その着順どおりに人気した。中1週の間隔だけに、馬体はそのまま維持している様に見受けた。ところが1番人気エアソミュールは、この流れのなかで行きたがっている様で、鞍上が手綱をかなり引いているシーンがあった。向こう正面に入るあたりでそれが顕著だったがその後、3コーナーに入るあたりでいちはやくゴーサインを出した時に即、反応という感じではなかった。
もう1頭の人気馬サトノギャラントは、スタートで内へ少しもたれた様で、しばしロスの時間があった。その間に馬群はかなり前へと動いている。押してそこそこの位置とはなっているが、先頭からは少し差のある位置でもあった。
アスカクリチャンは、この外から道中は少し内目に入ってきていたが、3角からさらに内へと潜りだし、4角ではモズとエアソミュールの間に入ってきてと、カーヴを小さく廻って直線へと入ってきた。最後の1ハロンは、アンコイルドのさらに内、ラチをみながらの伸びであった。2着から4着までがクビ・ハナの際どいものとなった。

トウケイヘイローという馬は、調教の時でもそうだが、歩いて周回している時はボケーとしているのかと思う様な馬である。そして体型がアンコ型というのか少し腹ボテ。ところが一旦馬場入りすると、首をグイと下げて鞍上をさらっていく様な動きになる馬である。おそらくパドックで見限った方が多かったのではなかろうか。

芝コースから引き上げてきて、検量室前の枠場に入っていく時に武豊Jは《この前よりもまだ良くなっている~》と上昇度を告げていった。その枠場の前にある洋芝を踏みしめて感じたことは、かなりの粘着力のある芝である。これは終始外々を廻るのと道中内を廻っている差は直線、ゴール前で違ってくるのではないかと思える。
トウケイヘイローは、これで鳴尾記念と函館記念と、2000芝を1分58秒台で駆け抜けた。次なるステージは皐月賞馬ロゴタイプが出て来ると思われる札幌記念か。まだまだありそうな馬である。楽しみにしたい。

そうそう、函館のファンは優しいですぞ~。武豊Jが勝ってウイナーズサークルへと入って行く前に『お帰り…!』と、ルーツを知っての応援をしてくださる。函館の人は本当に心優しい人ばかり…だ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。